埼玉県の独立局・テレビ埼玉(テレ玉)が、大みそかの国民的番組『NHK紅白歌合戦』の裏で新たな音楽特番を立ち上げる。埼玉の“職人”たちが自慢の歌声を披露する『大晦日職人歌合戦 ~2022年もおつかれさまでした~』(31日20:00~)だ。
建築業を中心に、埼玉、日本を支える人たちが主役となり、企業PRも兼ねて歌唱とトークを展開。11月に行われた収録では、社長自らの独唱や、社員たちによるバックダンサーを従えたパフォーマンスなどが繰り広げられ、テレ玉のスタジオは熱気に包まれた。
同局といえば、県知事をはじめとする自治体の首長、企業のトップらが大ホールで熱唱する元日恒例の特番『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』が、県を越えて“埼玉の奇祭”とネットで盛り上がるようになったが、『大晦日職人歌合戦』は双璧をなす名物番組になることができるのか。企画したテレ玉営業部次長の諸星和義氏に、誕生の経緯や番組に込めた思いなどを聞いた――。
■職人のカッコよさや素敵なところを伝えたい
この番組を立ち上げるきっかけは、今回の出場者である建築金物販売店「秀久」の阿部博生社長との会話がきっかけ。テレ玉にCMを出稿し、諸星氏が営業を担当する同社には、職人のカッコよさや素敵なところを伝えたいというテーマがあり、その思いを受けて職人たちが登場して“歌合戦”を繰り広げるという企画を立案した。
“歌合戦”というアイデアは、かつて「木遣り歌」や「梯子乗り」など、職人が古くから伝わる伝統芸能の主役となり、芸能人ではない身近な市井の人が芸を披露して地域を盛り上げてきた歴史があったことから着想。さらに、「阿部社長から、職人さんはみんな歌がうまいという話を聞いていて、スナックとかで飲んで歌っているイメージがあるじゃないですか。明るい方が多い印象もあるので」(諸星氏)と、本格的なステージを用意することを思いついた。
秀久側に提案すると、「ぜひやりたい」と反応があり、そこから阿部社長の兄で今回の出場企業である建築金物販売店「かじ兵衛」の社長や、友人で審査員を務める外装工事「J’sホールディングス」の地蔵堂忠律社長も賛同してスポンサーとなり、番組制作が決定。県内有数の販売店である秀久から声をかけ、常連やつながりのある企業が次々に名乗りを上げて、8社が出場することになった。
■選曲は一任、長渕剛だらけになると思ったが…
建設業や道具の販売店に加え、塗装業、太陽光発電工事、さらには便利屋まで幅広いジャンルから参加するが、「“職人”の定義はある程度ファジー(曖昧)にして、“プライドを持って働いている人”と考えています」とのこと。
選曲については、「被ったら被ったで、例えば長渕剛さんの曲だらけになっても面白いかなと思ってたんです(笑)」と出場者に一任したが、J-POP、演歌、昭和の名曲、パーティーソング、TikTokの流行曲、さらにはオリジナル曲と、見事バラエティに富んだラインナップになった。
また、「こちらからは『スナックみたいな感じで楽しんでください』くらいしか言っていないのですが、それぞれの会社さんが個性を出してきてくれて、独自性が出たと思います」と手応えを語る。