大みそかにその年を代表する一流アーティストが集結する『NHK紅白歌合戦』の裏で、“素人”による歌番組を放送するというのは、他のテレビ局ではなかなか決断できないだろう。この編成の狙いは何か。
「大みそかは皆さん、テレビをザッピングすると思うので、テレ玉を見てもらえる機会が増えると思うんです。そこに、全然知らない人が出てきて、いい具合に“ふざける”番組をやっていると、取っ掛かりがあって話題になるのではないかと。また、出場者の皆さんに『紅白』の裏で歌えるという価値を提供できるのも、テレ玉ならではの企画になると考えました」
その中で意識したのは、“ちょうどいい内輪感”だ。
「出場者の皆さんは知り合い同士が多いので、内輪になりすぎて見ている人がテレビの前で置いてけぼりになるのは避けたいと思いつつ、その内輪の中に視聴者も一緒に入っていける感じになれば、面白いと思ってもらえるのではないかと考えました。素人の方の歌やパフォーマンスは、いわば忘年会の余興や宴会芸みたいなものなので、テレビの前で『あの人ちょっと緊張してるんじゃない?』とか、『なんでボーカルの人はノリノリなのに、バックダンサーの人は無表情なんだろう』とツッコんでもらい、完成されていない芸であるゆえに視聴者も参加できるような形を目指しています」
一方で、「“本気でふざける場”を用意したい」と、スタジオセットを組み、スポットライトを当て、スモークを焚くなど、カラオケやスナックでは体験できないショーアップにこだわった。『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』も手がけるディレクターが演出を担当しており、一般参加者が主役の音楽番組のノウハウが生きている。
■「向こう5年間は出場を予約したい」と言う出場者も
この番組の放送を通して、「現場で働いている皆さんにスポットが当たるようになればいいなと思います」と願う諸星氏。収録を終えて、“向こう5年間は出場を予約したい”とまで言ってくる出場者もいるほど、皆楽しんでいたといい、「『職人歌合戦』の話題で働く現場がまた盛り上がって、『今年はどうする?』なんて会話でコミュニケーションが広がっていけばいいなと思います」と、早くも第2弾へ意欲を示した。
恒例番組になれば、回数を重ねるごとにパフォーマンスに磨きがかかり、放送を見てより多くの職人から参加応募が集まることも期待されることから、「元日の『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』と、タイプの違う番組で二枚看板のようになれば」と意気込んでいる。