改めて、とも子さんの印象を聞くと、「本当にどこにでもいる39歳の女性なんです。その方が、すごく特異な状況に置かれてしまったのですが、やっぱりずっと美咲ちゃんのことを思って暗い気持ちでいるわけではない。それは美咲ちゃんのことを忘れているわけではなくて、彼女の中である程度気持ちを切り替えないと自分の生活が成り立たないということが分かっているから、笑うときもあって、それが本当に素敵な笑顔なんです」といい、だからこそ、「外では笑顔を見せられないとか、何もできないという状況になってしまっていることが、僕も見ていてすごくつらいところがありました」という藤田D。

その思いから、「街にいる女性と本当に同じ人なんだということを視聴者に伝えることが、とも子さんに対する正しい理解につながると信じて、取材を続けてきました。なので、視聴者の方に何か伝えたいというよりも、“とも子さんのために”という気持ちで番組を作りました」と打ち明ける。

一方で、「特に美咲ちゃんの死亡発表があった後から、とも子さんは“自分と同じような境遇の人に勇気を与えられたら”ということを口に出すようになったんです。『私、今なんで取材を受けてるんだろう』と思って落ち込むことが何度もあったそうなんですけど、そうしたときに自分の中で“これは人のためになる”と言い聞かせていたんですよね」というだけに、番組でとも子さんが気丈に振る舞う姿を映し出すことで、「結果として、お子さんを亡くされたり、行方不明になっていている方へ勇気を与えられるということになれば、それは僕としてもすごく望ましいことです」と願った。

今回の番組は、とも子さんがこの3年に一区切りを付ける場面でエンディングを迎える。そのため、「今後の取材は、今のところは考えていないです。とも子さんも、本当にいっぱいいっぱいの中で我々を受けて入れてくださったので、これ以上は難しいと思います」と、この取材も区切りを付ける意向だ。

  • 小倉美咲さん (C)フジテレビ