「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞」が29日に発表され、市東さやか(しとう・さやか)さんが『瑠璃も玻璃も照らせば光る』で大賞を受賞。同日に受賞会見が東京・フジテレビ本社にて行われた。

  • 左から井本智恵子さん、市東さやかさん、本山航大さん、伊藤優さん =フジテレビ提供

1,535編の応募のなかからの大賞受賞について、市東さんは「どんどん選考が進んでいくと、途中で『誰か止めてくれないかな』と思ってしまうくらい怖さを感じる部分もあったのですが、いざ受賞のご連絡を頂いたら、腹がくくれたといいますか、『絶対にやってやるぞ!』という気持ちになることができました」と回顧。

続けて「私は脚本について専門的に学んだわけではなく、経験もありません。それをカバーするくらい色々な作品を観ているかと言われたら、『観ていません』としか言えないので、自分はすごく得体の知れない存在なんじゃないのかなと思っていたのですが、そんな私に賞をくださった審査員の方々のチャレンジングな心に救われて、今ここでご挨拶をさせていただいているのかなと思いますので、微力ではありますが、恩返しをしたいという風に思っています」と謝意を表した。

また、宮藤官九郎の作品が脚本家を志すきっかけになったと言い、「宮藤さんのようにセンスが光る作品が書きたい」と切望。「あとは、自分が元々看護師をしていて、色々な方の人生を見るなかで『自分にないものを他人は持っているんだな』と。それが人が誰かと生きることの理由になるんだなと思ったので、人と人との交流を描いた作品を描いていきたいなと思います」と意気込んだ。

市東さんは現在、神戸市看護大学の大学院2年生であり、「受賞できなかったら、就職するつもりで就職活動を進めていたのですが、受賞の連絡を頂いて、採用試験を申し込んでいたところも全部断りました。大学院を卒業したら、関西から上京しようと思っています」と、脚本家として本格的に活動していくことを意思表明した。

なお、昨年の大賞を受賞したのは、現在放送中のフジテレビ系ドラマ『silent』(毎週木曜22:00~)を担当する生方美久さん。同作を観ているかを尋ねると、市東さんは「私は離婚のダメージを引きずっていて、ラブストーリーを観られないのは分かっているので……(笑)」と前置きしながら、「でも第1話は観て、生方さんのセリフのセンスがカッコいいなと思いました。でも、そこからは自分のメンタルの問題で観られていなくて。すみません!」と話していた。

佳作には、本山航大さんの『夜が明けても』、井本智恵子さんの『ラストチャンス』、伊藤優さんの『父を還す』が決定。大賞受賞作の『瑠璃も玻璃も照らせば光る』は12月27日(13:45〜)にフジテレビ系にて放送予定。