「第33回フジテレビヤングシナリオ大賞」が決定し、25日、フジテレビの金光修社長が『踊り場にて』で大賞となった生方美久さんらに賞状を授与した。大賞作品はドラマ化され、フジテレビで放送される。

  • 「第33回フジテレビヤングシナリオ大賞」に決まった生方美久さん=フジテレビ提供

1,978作品(昨年1,567作品)の中から大賞に選ばれた『踊り場にて』は、プロのバレエダンサーを目指して海外で活動していた主人公・美園舞子(29)が、夢を諦め、高校教師として復職し、個性的な生徒達との交流を通して人生を見つめ直し、一歩前に踏み出すヒューマンドラマ。

生方さんは「脚本家なんて夢を持ってしまうと、どうしても『いつか諦めること』を想像します。何年までに大賞がとれなかったら、一次審査落ちが何回続いたら、と諦めどころを考えます。それでも、とにかく書いて評価してもらわない限り、諦めようもない。自分の実力が明らかになるまでは、諦められない。そう思い、書き続けました。で、ヤンシナ大賞です。それも、諦めたときの心の支えにするために書いた作品で。人生だなァ、と思いました。私が書きたいのは小説でも漫画でもなく、脚本です。映像になってはじめて完成するエンタメです。今まではパソコンのなかにあるただの文字列でした。それがようやく映像になる機会にたどり着きました。階段をのぼり始めて、まさにちょうど踊り場に着いた感じです。ここからは少し方向を(プロという道に)変え、上へ上へとのぼっていきます。上の階に着くまでは、やっぱり諦められません。趣味にするつもりはありません!」と喜びを語った。

佳作には、金民愛さんの『消え失せろ、この感情』、深澤伊吹己さんの『すりーばんと』、北浦勝大さんの『7階エレベーター無しに住む橋本』が決定。

審査員長の並木道子第一制作部副部長は「候補作の中で圧倒的に支持が集まったのが大賞の『踊り場にて』。作者の生方美久さんは構成、台詞ともに群を抜いていた。登場人物たちの点と点が繋がっていく構成の巧みさ。ユーモアのある台詞の掛け合いと、シリアスな感情シーンとのバランスの妙。学校の踊り場が目に浮かんでくるような描写も素晴らしい。読み終わった後、すがすがしい気持ちにさせてくれる作品であった。惜しくも大賞を逃した佳作の3作品も、その個性を強く推す声が上がった」と話している。

  • (左から)深澤伊吹己さん、生方美久さん、金民愛さん、北浦勝大さん=同

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