全試合無料生中継が発表されてから、ABEMAに対して「救世主」と感謝するコメントもSNS上で見られる。

野村氏は「インターネット上で『ありがとうございます』と言っていただくことが多く、藤田(藤田晋社長)も『今までで一番感謝された』と言うくらい、そういった声をいただいています」と反響を実感。「だからこそ、皆さんに満足していただけるような中継やサービスの提供をしなければいけないという責任感を感じています」と気を引き締める。

そして、「画質への不安の声をいただくことがありますが、本大会ではライブ配信史上最高峰であるフルHD(1920x1080p)の映像解像度の提供に加え、動きの速い競技シーンをなめらかに捉えた映像と、地上デジタルテレビ放送、BS デジタルハイビジョン(2K)放送同等以上のABEMA開局以来最高の映像品質を実現しています。さらに、ABEMAでの過去最高のトラフィックを想定した配信キャパシティを構築し、たくさんの方に見られても安定した配信が提供できるように準備をしているので、現時点でやれることは最大限やっているかなと思います」と胸を張るが、「64試合生中継を同一プラットフォームでやること、そしてインターネットでやるというのは日本では初めてのことなので我々としても挑戦をする部分が非常に多い。そういう意味で応援していただきたいなと。皆さんに満足いただけるように頑張りますので、期待して、そして応援していただきたいです」と呼びかけた。

ABEMAのサッカー中継としては、イングランド・プレミアリーグの2022-23年シーズンも配信。日本人選手が出場する試合など、日本人にとって注目度の高い試合を無料で配信しており、プレミアリーグに関しても感謝の声が上がっている。プレミアリーグの無料・有料配信の判断基準を尋ねると、「ABEMAとしてはできるだけ多くの皆さんに楽しんでもらえるようにしていきたいと考えています」と語った。

“新しい未来のテレビ”と掲げているABEMAは、地上波のテレビのように無料でコンテンツを提供するというのが基本的な考えとしてある。有料のABEMAプレミアムは、追っかけ再生ができたり、ABEMAプレミアム限定の作品が見られたりと、従来のサービスをさらに快適に便利に楽しむための追加のサービスを提供するもので、野村氏は「動画配信サービスとひとくくりにされがちですが、掲げているビジョンが違います」と話した。

そして、地上波で当たり前のように見られていたものが見られなくなっているという状況について、「サッカーに限らず、熱量を持って頑張っている才能ある人たちがいても、それが多くの方たちに届かず、発展していくことが難しくなってきているように感じます」と野村氏。

「メディアの役割として、ABEMAがいろいろな競技や才能などを流通させる、ある種インフラのような立ち位置が担えるようになりたいというのはすごく思っていて、我々が頑張っていろんな競技や才能を多くの方に知ってもらえるようにすることで、少しでも業界のさらなる発展につながったらうれしいです」との思いも明かした。