東京メトロと三菱電機は、鉄道用の同期リラクタンスモーターシステム「SynTRACS」の長期評価試験を実際の鉄道車両で行い、省エネ化が可能であることを確認したと発表した。誘導モーターシステムと比べて約18%の省エネ化を確認したという。

  • 東京メトロ日比谷線13000系車両で長期評価試験を実施した

両社は回転子鉄心内の磁気抵抗差によって生じる磁極との相互作用で発生する「リラクタンストルク」で駆動し、省エネ性能の高い同期リラクタンスモーター「SynRM」と、それを制御するインバーターで構成される同期リラクタンスモーターシステム「SynTRACS」を日比谷線13000系の2両に試験搭載。夜間走行で実証試験を行ってきた。

同期リラクタンスモーターは、鉄道車両に広く採用されている誘導モーターと比べて回転子の発熱損失が小さく、効率や質量特性に優れている特徴を持つ反面、高出力化が難しいとされてきた。今回、営業運用における消費電力量評価等の長期評価試験を行った結果、南北線9000系大規模リニューアル工事車両に搭載している誘導モーターシステムとの比較で約18%の省エネ化を実現可能であることが確認されたという。

これを踏まえ、両社は今後、同システムを新造車両や大規模リニューアル工事車両へ導入できるようにし、鉄道車両のさらなる省エネ化に取り組む考えを示している。