ドラマ「ワンダヴィジョン」は、スーパーヒーロー軍団「アベンジャーズ」の一員であるスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフとヴィジョンを主人公にしたマーベル・スタジオ作品。ディズニーが運営する動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で2021年1月に配信開始されました。

ドラマの舞台となるのは、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界。マーベル・コミックに登場するヒーローたちの活躍を描いた「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」としては、フェーズ4の1作目となる作品です。

この記事では、「アベンジャーズ」シリーズや、フェーズ4以降のMCU作品を楽しむうえで欠かすことのできない重要なドラマ「ワンダヴィジョン」のあらすじを解説するとともに、登場人物や見どころも紹介します。

ドラマ「ワンダヴィジョン」の作品情報

  • ワンダヴィジョン

    ワンダヴィジョン

公開年:2021年
監督/マット・シャックマン
脚本/ジャック・シェイファー
出演/エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、テヨナ・パリス、エバン・ピーターズ、ランドール・パーク、カット・デニングス

ワンダ・マキシモフ(スカーレット・ウィッチ)とヴィジョンは、ともにマーベル・コミックのヒーロー。コミックスではともに1960年代から活躍している2人ですが、MCUに本格的に登場したのは、2015年公開の映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』です。

ヴィジョンは、人造人間でありながら高潔な精神と純粋な心を持つ存在。対するワンダはソコヴィア生まれの女性で、ヒドラの人体実験で超能力を持つようになりました。双子の弟・ピエトロとともに、かつてはアベンジャーズを悪と信じ、ヒドラやウルトロンを助けていた彼女ですが、やがてウルトロンが人類を滅亡させようともくろんでいることを知り、アベンジャーズに協力するようになります。

ヴィジョンとワンダは同時期にアベンジャーズに加入し、次第に愛し合うようになります。しかし、宇宙の支配をたくらむヴィランであるサノスとの戦いのなかで、2人は悲しい別れを迎えるのです。

ところが、ドラマ「ワンダヴィジョン」では2人そろって登場し、幸せそうに生活しています。死んだはずのヴィジョンは生きていたのか? これは夢か現実か……? 話数を重ねるにつれ、その謎が明らかになっていきます。

ドラマ「ワンダヴィジョン」のあらすじ

郊外の街・ウエストビューに引っ越してきたワンダとヴィジョン。

一見普通の人間に見えるワンダは、実は特別な力を持った魔女。実はヴィジョンは人造人間で、ワンダ以外の人と会う時のみ人間の姿に変身している。そんな人には言えない秘密を持った夫婦だが、彼らは互いに深く愛し合っており、とても幸せな生活を送っていた。

ある日、2人は記念日のために隣の家の住人・アグネスや会社の上司を招待して、家で食事会を開くことに。しかしヴィジョンは、なぜお祝いをする必要があるのか、その理由を思い出すことができない。一方のワンダも、今日が何の記念日なのかわからずにいた。

いざ食事会が始まり、ヴィジョンの上司から、引っ越してきた理由や夫婦のことを聞かれ、ワンダとヴィジョンは困惑し答えに詰まってしまう。彼女たちには、結婚式はおろか2人の記念日や過去の記憶が一切なく、結婚指輪さえ身につけていなかったのだ。ワンダとヴィジョンは、これまでの記憶がないことや次々と起こるおかしな出来事に違和感を覚える。

一方、ワンダたちが住む街とは別の場所で、ある異変が起こっていた……。

ドラマ「ワンダヴィジョン」の主な登場人物

「ワンダヴィジョン」の主な登場人物を紹介します。

ワンダ・マキシモフ(スカーレット・ウィッチ)

ワンダ・マキシモフは、このドラマの主人公。人の心を操作できるマインド・ストーンを使った人体実験により、強大なパワーを得たヒーローです。テレキネシス、テレパシー、エネルギー波などの能力をもち、大きな物を移動や破壊したり、人の心を操ったりできます。

ワンダと双子の弟・ピエトロはコミックではアベンジャーズだけでなく、X-MENの一員でもあります。この「ワンダヴィジョン」では映画「X-MEN」シリーズのファンにもうれしい演出が隠されているので、ピエトロの登場シーンに注目してみてください。

ワンダ・マキシモフを演じるのは、アメリカ出身の女優エリザベス・オルセン。子役時代から活躍しているオルセン姉妹を姉に持つことでも知られています。映画『ウィンド・リバー』では、MCUでホークアイを演じたジェレミー・レナ―と共演しました。

ヴィジョン

ヴィジョンは、このドラマのもう1人の重要人物。アイアンマンのサポート役である人工知能・ジャービス、マインド・ストーン、ウルトロンが用意した人造ボディの3つが融合して誕生した人造人間です。

ヴィジョンを演じるのは、イギリス出身のポール・ベタニーです。映画「アイアンマン」シリーズや『アベンジャーズ』では、人工知能・ジャービスの声も担当。MCUの他にも『ビューティフル・マインド』、『ダ・ヴィンチ・コード』など数多くの作品に出演しています。

モニカ・ランボー

モニカ・ランボーは、キャプテン・マーベルの友人マリア・ランボーの娘で、S.W.O.R.D.のエージェントです。

モニカ・ランボーを演じるのは、アメリカ出身のテヨナ・パリス。2023年公開予定の映画『ザ・マーベルズ』にも同じくモニカ役で出演予定となっています。

ドラマ「ワンダヴィジョン」の見どころ

続いては、「ワンダヴィジョン」を楽しむための注目ポイントを紹介します。

ワンダの望みが物語のキー

このドラマでは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後、ワンダが何をしていたのかが明らかになります。また、家族全員が健在で、幸せに暮らしていた頃の彼女の過去も描かれているのです。

ソコヴィアの地で砲撃で亡くなった両親や、ウルトロンとの戦いで亡くなった双子の弟・ピエトロ。サノスに命を奪われた愛する恋人・ヴィジョン。多くの愛する人を亡くしてきたワンダの過去と現在、心に刻まれた傷の理由と背景を知ることで、彼女が強く欲しているものが何であるかわかります。

そして、自分が望んでいるものに気づいたワンダの物語が、さらに『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』へと発展していくのです。

ワンダとヴィジョンがシットコムに挑戦!

これまで、ワンダとヴィジョンはコミカルなシーンとはあまり縁がありませんでした。しかしこのドラマの序盤には、ワンダとヴィジョンの1960年代~1980年代の「シットコム」、いわゆるシチュエーションコメディのような物語が続きます。

撮影の前に、出演者、スタッフでシットコムの人気作を実際に見て、表現方法や演技を身につけたというだけあって、仕上がりはかなりのもの! 出演者の表情の細かな変化、今まで見たことがないワンダとヴィジョンのコミカルなやりとりは必見です。

細部までこだわった衣装と映像表現

このドラマは、第73回エミー賞で衣裳賞(ファンタジー/SF部門)、美術賞(30分ドラマ部門)、音楽賞(歌曲部門)を受賞。内容だけでなく、美術や衣装、音楽など、細部に至るまでこだわりが感じられる作りになっています。1960年~2000年代までの、各時代の流行に合わせたファッション、メイク、ヘアスタイルを見ることができます。さらに、モノクロ画面からフルカラー画面への変化も描かれており、目で見て楽しめる仕掛けや工夫が施されているのです。

ワンダ自身が本当に望んでいるものに気づく物語

ドラマ「ワンダヴィジョン」は、コメディから始まりサスペンス、SF、アクションとさまざまな要素を含み、魔法まで登場するぜいたくな内容となっています。さらに、1話ごとの内容が濃く、展開が早いため最後まで見飽きることがありません。

このドラマを見れば、ワンダのことをより深く知ることができます。さらに彼女が望んでいること、その望みを何としてもかなえようとするその理由が、伝わってくることでしょう。

MCUフェーズ4の最初の作品で、“マルチバース”の世界の扉を開くきっかけとなる「ワンダヴィジョン」は、後に続く作品にも大きく関わる重要な内容となっています。MCUについて深く知りたいという方は、ぜひご覧になってみてください。