政府は10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定しました。我々の生活に直結するものとして、電気やガス、ガソリン代の軽減、子育て世代への支援などの内容が盛り込まれています。どのくらい安くなるのか、どんな条件でいくら給付されるのか、家計への影響を分かりやすく解説します。

  • 、電気やガス、ガソリン代はどのくらい安くなるのか、子育て世代への支援はどんな条件でいくら給付されるのか

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■総合経済対策とは

10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」とは、物価高や円安を克服し、経済再生を実現するために、家庭や企業の電気料金の負担緩和策などを盛り込んだ、財政支出39兆円、事業規模72兆円程度を見込んだ新たな総合経済対策のことです。

総合的な経済対策として次の4つを柱としています。

(1)物価高騰・賃上げへの取組・・・電気、ガス、ガソリン代の負担軽減など
(2)円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化・・・全国旅行支援や観光産業への支援など
(3)「新しい資本主義」の加速・・・構造的な賃上げや子育て世代への支援など
(4)国民の安全・安心の確保・・・ウィズコロナの下での感染症対応の強化など

この中で、家計への影響が大きい、電気、ガス、ガソリン代の負担軽減と子育て世代への支援を取り上げて、詳しい内容を見ていきましょう。

■電気、ガス、ガソリン代の負担軽減

*電気料金

2023年1月から2割引き下げます。1kWh あたり7円(家庭の現行の電気料金の2割程度に相当)の補助となります(2023年9月からは補助幅を縮小)。

標準的な世帯(2人以上の世帯)として、月間 400kWhとすると、2800円の軽減となります。

*都市ガス

2023年1月から1立方メートルあたり 30 円の補助が行われます。

標準的な世帯(2人以上の世帯)として、月間 30 立方メートルとすると、900円の軽減となります。

*ガソリン代・灯油代

1 Lあたり30円の補助を2023年1月以降も継続します(6月以降は補助を段階的に縮減)。

標準的な世帯(2人以上の世帯)として、ガソリンを月間 35L、灯油を月間 15L使用とすると、ガソリン代1050円、灯油代450円が軽減されます。

これらの措置により、標準的な世帯において1ヵ月の光熱費、燃料費が5000円程度安くなる見込みです。2023年1月から9月にかけて、標準的な世帯において総額4万5000円程度の負担軽減となります。

■子育て世代への支援

子育て世代への支援として、妊娠届出時および出生届出時を通じて計10万円相当の支援を行います。

届け出をした日を基準とする基準日が前倒しとなり、2023年の年初を基準日として実施します。実施にあたっては経過措置が設けられています。基準日以降に出産した人は、妊娠届出時の支援も遡って受けることができ、2022年4月以降に出産した人も、妊娠届出時および出生届出時の支援を遡って受けることができます。つまり、2022年4月以降の出産であれば、計10万円相当の支援が受けられます。

また、出産育児一時金の大幅な増額を行うことも総合経済対策に盛り込まれています。2023年4月から現行の42万円から47万円に引き上げる案が検討されています。

■まとめ

今回の総合経済対策によって、電気・ガスなどの光熱費とガソリン・灯油などの燃料費を合わせて、一般的な家庭でひと月5000円程度の負担が軽減できます。また、子育て世代には10万円相当の支援が受けられます。

経済対策は継続的な効果がなければ、根本的な解決にはなりません。対策の効果と今後の取り組みにも注目していきたいと思います。