東京都交通局は、都営大江戸線都庁前駅にて、5G環境を活用した実証プロジェクトを開始すると発表した。

  • 高精細カメラを設置してトンネル内を撮影する保守用車

東京都交通局は情報通信インフラのJTOWER(東京都港区)と協力し、今年5月、全国の地下鉄駅で初めて都庁前駅に5G環境を整備していた。今回、ローカル5Gについても実証環境を駅構内に新たに構築し、電波状況などの技術的検証を行うとともに、ローカル5Gを活用した保守点検作業や顧客サービスについて検証する。

一例として、保守用車に設置した高精細カメラでトンネル内の線路や天井・壁など撮影し、駅構内にある記録装置に5Gで伝送する実証を夜間に行う。伝送された画像はAIが解析して異常を検知し、効率的な維持管理に向けた活用手法を検証する。

  • 保守用車で撮影した画像を5Gで駅構内に伝送する

  • AIカメラで撮影した駅構内の映像を駅係員の業務に活用する

都庁前駅の地下2階改札付近では、AIカメラで撮影した高精細な映像について、ローカル5Gを活用して駅係員のモバイル端末へリアルタイムで伝送する実証を行う。あわせてAIカメラの映像解析により、車いす利用者や白杖を使っている人を認識して駅係員に通知するなど、接客サービスへの活用について検証する。10月21日からスタートしており、実施期間は2023年1月5日までを予定している。

実施期間中、データ容量の大きい動画広告コンテンツを5Gを活用し、AIサイネージに伝送する実証も同じ場所で行う。サイネージに内蔵したカメラで駅利用者の視聴状況の計測と広告内容に対する反応を確認し、効果的な情報発信への活用を検証する。

  • AIサイネージでの動画コンテンツ放映にも5Gを活用する

AR(拡張現実)を用いたナビゲーションも実施。5Gを活用して駅構内のナビゲーションデータを駅利用者のスマートフォンに伝送し、そのデータと利用者の位置情報を重ね合わせることで、目的地までの案内ルートを表示するという。