1909年に登美農園として開園以降、100年以上にわたり、ぶどうづくり・ワインづくりを行っている「サントリー登美の丘ワイナリー」がリニューアルされ、9月9日から一般公開を開始した。

これを記念し、サントリーワインカンパニーの吉雄敬子社長らが登壇するオープニングセレモニーが開催され、ぶどう畑や貯蔵庫などワインづくりの現場を見学する一般来場者向けのワイナリーツアーの体験会が行われた。

■新ブランド「SUNTORY FROM FARM」を立ち上げ

「良いワインはよいぶどうから」の理念のもと、日本の風土と向き合い、栽培・醸造技術を磨き上げ、ぶどうづくり・ワインづくりに取り組んできた「サントリー登美の丘ワイナリー」。同ワイナリーの「登美」をはじめとするワインは、国内外のコンクールで多数受賞するなど、高い評価を得ている。

より多くの人にその魅力を伝えるため、今回のリニューアルではぶどう畑を起点とした日本ワインの魅力や、同ワイナリーのものづくりの歴史とこだわり、持続可能な未来に向けた取り組みなどの発信を強化した。

南に富士山を仰ぎ、眼下に甲府盆地を望む立地を活かした“大自然堪能型ワインテラス”「富士見テラス」の開設、ワインショップの刷新などを実施。併せて、これまでシリーズごとに分散していたワインブランドを集約し、新ブランド「SUNTORY FROM FARM」としてリニューアルした。

  • 眺望台から望むぶどう畑

「『SUNTORY FROM FARM』という新たなブランドと、『水と、土と、人と』というぶどうを育む自然と、ワインの作り手たちの思いをお伝えするコンセプトのもとで、ワイナリー自体の魅力をより多くのお客様にお伝えしていくという強い意志で、リニューアルを進めてきました」とは、サントリーワインカンパニーの吉雄敬子社長。

“ものづくりにかける技と愛情”を中核としながら、自然の恵みとワインのおいしさを体験できるワイナリーとして、一般来場者向けのワイナリーツアーも刷新。2023年は2019年比の3倍となる8万人の来場者を目標とする。

「甲府の食材や料理とともにワインを楽しむイベント開催やオンラインショップでの情報発信など、リアルとデジタルを行き来しながら、ブランドコミュニケーションを進めていきたいと考えております」

■複数のツアーコースを用意

「これからの100年もこの土地でぶどうを育て、ワインを作っていく決意で、新たな取り組みにも挑戦し、お客様にもサステナブルなぶどう作り・ワイン作りについてもお伝えしていきたいと考えています」とも語った吉雄社長。

来賓として本セレモニーに招かれた山梨県知事の長崎幸太郎氏は、「100年の歴史を持ち、ワインの魅力をいろんな角度で立体的に体験できる『登美の丘ワイナリー』は、まさにジャパンワインの一大ミュージアムと言えるかと思います」と挨拶し、同ワイナリーとの取り組みなどを紹介した。

「県では土壌中に炭素を貯留することで大気中の二酸化炭素濃度を低減させる『4パーミル・イニシアチブ』を推進しており、こちらのワイナリーではこうした取り組みも先導するかたちで採用してくださいました。また、私どもはワイン県を3年前に宣言し、ワインを軸にした地域活性化などを進めています。登美の丘ワイナリーさんとともに、ジャパンワインと山梨県地域の振興を推進していきたいと思います」

テープカットが執り行われた後、リニューアルされたワイナリーの見学ツアーを実際に体験した。これまでも同ワイナリーでは一部ツアーを実施してきたそうだが、同伴するガイドの説明を受けつつ、ワイナリー内の各施設見学や実際にワインのテイスティングができるツアーを複数展開する。

  • 大満足のテイスティングセミナーも

今回体験したのは登美の丘ワイナリーのものづくりの歴史とこだわりを体感する「FROM FARM ワイナリーツアー」(所要時間90分、参加費 5,000円、20歳未満は参加不可)というツアー。

  • テラスの下にもぶどう畑が広がり、時期などによってはぶどうをつまみながらワインを楽しむこともできるそうだ

“登美の丘”を見渡せる眺望台・ぶどう畑・熟成庫を見学し、ワイナリーの栽培・醸造技術の奇跡の結晶ともいえる「貴腐ワイン」なども堪能できる。

今回のセレモニーの会場となった「富士見テラス」は、ぶどう畑の先に広がる甲府盆地や富士山の景観を望む「ビューエリア」、ソファーでゆっくりとくつろげる「リラックスエリア」、ぶどう畑を自由に散策できる「ファームエリア」で構成される、“大自然堪能型ワインテラス”。

来場者は雄大な景色を眺めながら、ワインのある時間を思い思いに楽しめるスペースで、隣接するワインショップには新たにプレミアムワインセラーを設置し、売場づくりの工夫や音声効果・映像の活用することで、ゆっくりとワインを選べる空間を演出する。

また、ツアー開始時の集合場所となるレセプションルーム・セミナールームでは、ワインづくりのこだわりや、つくり手自身が撮影した季節ごとのワイナリーの写真を展示。

本ツアーでは熟成庫のありのままの姿を活かしながら、照明による空間演出を施すことで、歴史を感じられる厳かな雰囲気や日本ワインが時間をかけて熟成される様子をより感じられる熟成庫見学も行われた。

  • 約16-18℃に室温が保たれている熟成庫内

他にも関心などに合わせて、「甲州ぶどう畑散策ツアー」(所要時間 30分、参加費1,000円、20歳未満は参加無料)や「ワイン熟成庫ツアー」(所要時間45分、参加費2,000円、20歳未満は参加無料)といったツアーも用意。

実際のつくり手から直接ワインづくりにかける情熱・こだわりを聞きながら、複数のワインを味わえる「ワインメーカーズ プロフェッショナルツアー」も不定期で開催するという。

なお、新ブランド「SUNTORY FROM FARM」は9月6日より発売中。同ワイナリー内ショップとサントリーのECサイト「ワイン日和」では、「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい」シリーズが、9月9日から数量限定で発売されている。