――今回のライブのコンセプトにちなんで、学生時代の文化祭の思い出を教えてください。

有輝:僕は文化祭の後夜祭で、漫才コンビを組んで参加して、男女のカップルで文化祭デートをする設定コントのネタをやったんです。それが人生で死ぬほどスベッたんです。人生で一番スベッたのが、文化祭の漫才。その時の忘れ物を取りに帰る気持ちはありますね。

卓也:それ『M-1』のコメントじゃん(笑)。

有輝:いやいや、だいぶ忘れ物したので(笑)。その時の青春を取り戻したいです。この前、文化祭の準備で学校に行ったんですよ。僕と同じ学年だったヤツが先生として学校に在籍していて、文化祭の話になった時に「めちゃくちゃスベってたよな」と言われたんです。自分1人が勝手にスベってると思い込んでいただけかと一時期考えたんですけど、皆もそう思っていたんだと実感しました。

――その高校時代のネタの敗因は?

有輝:自分を過信しすぎていた。ネタの台本は作ったんですけど、箇所によっては「ここはフリー(アドリブ)で」とか調子乗ったことしてたんです。

卓也:だいぶ調子乗ってるな~! フリーなんて今でも怖いわ!

有輝:今でも鮮明に覚えているんですけど、舞台に立った瞬間、頭が真っ白になりました。僕がなぜかツッコミやったんですけど、相手にわけのわからないツッコミ入れて、とにかくいっぱいしゃべっているという、ウケない典型に。台本の大切さを身にしみて感じました。

――ダウンタウンの松本人志さんと浜田雅功さんのフリートークのように、あのノリでさらりとお客さんの大笑いをとれると考えた?

有輝:本当にそれ思っていました! まっちゃんと浜ちゃんみたいに、気だるいあのダラッとした感じで舞台に出てきて、颯爽と笑いがとれると思ったら、ぜんぜんできませんでした。

卓也:僕も当時のその映像見ましたけど、見れたもんじゃなかったですね。自分のことのようにきつくなって「もう、止めてくれ」と要求しました。

有輝:だからこそ、今回のライブであの過去のトラウマを楽しい思い出に塗り替えたいです。

――先ほど少し話にも出ましたが、人気の高校生ネタを始めたきっかけは?

有輝:始めたのは2019年4月頃です。僕らはそれまで兄弟設定の漫才やモノマネをしていて、前説の仕事が多かったんです。そのときの楽屋で、高校生キャラになりきって僕が兄に絡むちょっかいを出すのを見せたら、まわりに「それ面白いな。動画にしないか」と言われて。そこからなんとなく始まりました。

――高校生ネタは日頃どうやって考えているんですか?

有輝:高校時代の自分たちを、そのまま投影してやっている感じです。「この行事のときどうしてたっけ?」とか「こういうとき、こういうやついたな」とか思い出してネタにしています。

――ネタが尽きそう……みたいな心配は?

卓也:僕は一切思いつかないです(ドヤ顔)。

一同:ハハハ!

卓也:弟が作ったネタを見て「あぁ、そういうやついたな~!」となる。でも僕がそう思い出すようなことは、お客さんも「あぁいたな!」と共通理解が芽生える。僕はいわゆる1人目の視聴者ですね。

有輝:お兄ちゃんがネタ作れる人だったら、もう3年は確実に行けると思うんですけど。

卓也:絶対できない(ドヤ顔)。

有輝:僕が引き続き頑張りたいと思います(笑)

――コロナ禍の影響で、実家の一室を教室風に改造して動画を撮影しているそうですが。

有輝:そうですね。リアリティのある動画にしたかったので、ずっと母校や学校のセットをお借りして撮影していました。そこはこだわってやっていました。コロナ禍で行けなくなって「やばい、どうしよう」と。ちょうど実家の子供部屋みたいな場所が物置になっていたので、教卓や黒板を置いてセットにしました。完全に手作りです。ファンの人が、『私たちも手伝いたいです』と言ってくれて、学年便りや表彰状を作って送ってくれたりしたんです。

卓也:作業している風景も、インスタグラムのストーリーでアップしたんですよ。そうしたらファンの方々が「これ使ってください!」といろいろくださって。

――愛されていますね。

有輝:本当にありがたいです。ライブに向けたセットなども高校生と一緒になって作っている真っ最中です。

――高校生の若いエネルギーに圧倒されることはないですか?

有輝:「いいな~!」って思いましたね。

卓也:高校生のリアクションって、すべてが新鮮なんですよ。差し入れのケータリングとか来ただけで「うわっ! いいな~!」って喜んで群がる。

――青春ですね。お二人が思う青春とは?

卓也:今の高校生って、コロナ禍で皆マスクしてるし、同学年でも他のクラスと交流が一切ないんです。今回のライブの準備で、クラス関係なくやりとりしていて、はじめましての子たちもいるんですよ。「高3で初めて出会えてうれしい」という声が聞こえたりしました。青春って出会いだな、と思いました。

有輝:皆ワイワイお菓子を食べながら「昨日の千鳥のお笑い番組見た?」とかしゃべっている。作業はぜんぜん進まない。その作業進まない感じが「うわっ、本当に文化祭みたい。いいな~! 青春だな~!」と思いました。僕ら大人にとっては非日常な瞬間が、彼ら高校生にとっては日常。青春って日常ですね。

卓也:うわ~キツいなこの兄弟。青春は出会いと日常(笑)