日本テレビは、アナウンサーの声から生まれたアパレル事業「Audire(アウディーレ)」を立ち上げることを発表。22日、都内で行われた「Audire」ローンチ記者会見で、提案者である郡司恭子アナウンサーが、この事業にかける思いを語った。

  • 郡司恭子アナ

郡司アナは、企画した背景にコロナ禍があったと説明。「現場に行けないということ、そしてアナウンサーという働き方以外に、会社や社会に対して何もできていないんじゃないかという思いがあって、自分が大変もどかしくもありました」といい、そんな中で、日テレが中期経営計画で掲げる「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」というコンセプトに背中に押される形で、昨年8月に提案したと明かす。

株式会社CEORYとパートナーシップを組み、アナウンサーならではの視点や声を取り入れながら、ブランドのコンセプトの設計からネーミング、縁取りのカラーリングまで、日テレのアナウンサーたちが主体となって推進。「ただ会議で意見を述べるだけではなくて、しっかり作るという過程にアナウンサー自身が関わるというのは、これまでアナウンサー職の中ではなかった働き方だなというふうに私自身も感じています」というほど、前例のない事業になった。

一方で、アナウンサーという特殊性の高い立場から新たな事業に取り組むにあたって、様々な壁にぶちあたったと告白。「私は社会人になってアナウンサーしかやったことがなかったので、お金の管理ですとか、事業計画の作成、連絡表を作ったり、社内調整をすることが本当に大変でした(笑)」と振り返る。

そこでくじけそうになったときに励みになったのは、先輩である藤井貴彦アナの「壁は情熱だけでしか壊せないんだ」という言葉だったそう。また、社内調整をする中で、「アナウンサー10年目にして、自分の中ではなかった、会社員としての新しい筋肉を見つけたような気がしています。アナウンサーとして働く中で見つけた発見や気づきというものを、アナウンス部の仲間とともに形にできたので、とてもうれしいです」と充実の表情を見せた。

Audireとは、ラテン語で「聴く」という意味で、現代を生きる女性の声に寄り添うブランドを目指す。9月30日~10月2日には、一般向けの試着展示・受注会を開催。まずはECサイトでアナウンサーの着用画像を見せるという形で展開し、現時点で地上波での露出は予定していない。

郡司アナは、今回の事業について「洋服、スタイルの提案だけではなく、女性のあり方や生き方に関して、“心地良いわたしを纏(まと)う”過程もしっかりと提供していける日本テレビの事業でありたいと思っております」と力説。会見ではこれをテーマにした、徳島えりかアナ、モデルの有末麻祐子、LIFE CREATE代表取締役社長の前川彩香氏によるトークショーも行われた。

  • (左から)徳島えりかアナ、有末麻祐子、前川彩香氏

アナウンス部を統括する日テレの森實陽三コンテンツ戦略局長は「この事業の提案を頂いたときは、皆さんが想像してらっしゃるアナウンサーの業務の枠を超えているということで、非常にびっくりしました」と回想。

その上で、「アナウンサーがどうあるべきか、どのような存在かというのも考え直すいいきっかけになりました。SNSの発達がありまして、Instagram、あるいはYouTubeといったところで、世界中に瞬時に情報を届けられる、自己表現ができるということを非常に実感している中で、アナウンサーがこのままであってはいけないだろうということで、アナウンサーの活動の多様化を進めなければいけないということも痛感しております。女性の活躍を支える衣装を提供して、社会貢献ができるというのは非常に大きな意義のあるチャレンジだなと思っております」と強調した。

  • 郡司恭子アナ(左)と森實陽三コンテンツ戦略局長

今後の展開について、郡司アナは「この洋服を手に取ってみたいと思った方と、私たち日本テレビのアナウンサーがいろんな声をお互いに届け合って、プロダクトだけではなくて、豊かな情報発信というのもしていきたいと思っています」と述べ、さらに、「日本テレビに入社して『24時間テレビ』というものがとても身近にありましたので、売上の一部をチャリティーにするということもできたらいいなと思っています」と構想を披露した。

  • (左から)忽滑谷こころアナ、郡司恭子アナ、佐藤真知子アナ