認知症介護の費用、いくらかかってる? - 「2,000万円以上」との回答も

太陽生命少子高齢社会研究所は9月16日、「認知症介護に関する調査」の結果を発表した。同調査は8月9日～14日、40代～70代の認知症介護経験者1,000人および介護未経験者1,000人を対象に、インターネットで実施した。

あなたが被介護者の介護をしていた期間はどのくらいですか?

介護経験者に、被介護者の介護をしていた期間について尋ねたところ、「2年～3年未満」(15.8%)が最も多いが、「3年～4年未満」(15.2%)、「10年以上」(14.7%)、「1年～2年未満」(12.1%)と続き、ばらつきが見られた。介護期間の平均は4.9年だった。しかし、介護離職者(自己都合・会社都合)に絞ると、10年以上の介護をした人が 22.6%おり、介護期間の平均も約6年と長かった。

認知症介護にかかる費用を聞くと、「50万円未満」(20.2%)が最も多く、「100万～150万円未満」(14.7%)、「50万～100万未満」(13.3%)が続いた。かかった費用が「なし」も8.2%あったが、約5人に1人(18.5%)は「500万円以上」と答えている。費用の平均は258万円だったが、「2,000万円以上」と答えた人も、約2%見られた。

あなたが介護をしていた期間にかかった介護費用は総額でいくらくらいでしたか？

介護費用の主な確保手段について調べたところ、介護費用を「被介護者本人」の預貯金・資産等などによって確保していた人は9割を超えた。一方、介護を行った本人や、その配偶者の預貯金・資産等から介護費用を確保している人も4割以上となっている。被介護者本人の資産のみでは介護費用を準備できず、介護をする側の費用負担も少なからず発生していることがわかった。

介護経験者に、「成年後見制度」「家族信託」といった資産管理に関する各制度の中で、知っているものとその程度を聞くと、認知度で最も多かったのは、「成年後見制度」だった。しかし実際に制度を活用した割合は低い。「家族信託」「銀行等の代理カード・代理人指名手続き」「生命保険会社の指定代理請求制度」は、「知らなかった」が半数を超えた。

【介護経験者】資産管理に関する各制度の中で、知っているものとその程度を回答して下さい

介護未経験者に、資産管理に関する各制度の中で、知っているものを答えてもらったところ、「成年後見制度」の認知度は54.8%で他の制度より高かった。しかし、41.3%は「提示した制度をいずれも知らない」と答えている。

【介護未経験者】資産管理に関する各制度の中で、知っているものとその程度を回答して下さい

介護経験者に、これまでの介護経験から、介護にあたり準備が必要だと考えることとその程度を聞いた。「準備が必要と考える」(「必ず準備すべきだと思う」+「準備しておくとよいと思う」)の回答が最も多かったのは、「認知症の症状を理解しておくこと」と、「公的介護保険の仕組みや地域での支援サービスを理解しておくこと」で、いずれも97.1%だった。これらは「必ず準備すべきだと思う」が5割を超えている。

また、「仕事・子育てと介護の両立」について準備した方がいいと答えた人は、介護経験者は85.9%%であったが、介護未経験者は51.1%で、両者の間に30ポイント以上の開きが見られた。

あなたの介護経験から、介護にあたり準備が必要だと考えることとその程度を回答してください

介護経験者で、介護が始まった当時仕事をしていた人に、介護により自身の仕事に起きた影響について尋ねたところ、18.4%が「離職した(自らの意思・希望と、勤務先の事情)」と回答し、約5人に1人が介護離職をしていることがわかった。

「介護による仕事への影響があった」と答えた人のうち、66.6%は年間収入が減少したと回答した。介護による仕事への影響(勤務形態)と合わせて見ると、介護離職をした人の年間収入減少額は他と比べて大きく、自己都合・会社都合を合わせた介護離職者の年間収入減少平均額は259万円だった。同調査の介護離職者の介護期間の平均は約6年であったが、この数値と掛け合わせると、6年で1,500万円を超える逸失収入が発生する計算となる。