忙しい毎日を送る社会人の場合、それこそ「朝」はバタバタと余裕なく過ごしている人も多いでしょう。しかし、「質問」によって能力を引き出して自分らしく生きるメソッドを提唱する「質問家」のマツダミヒロさんは、「朝の自分への問いかけ」が人生の質を大きく向上させると語ります。

  • 朝に自分へ問いかける「5つの質問」が、人生の質を向上させる /質問家・マツダミヒロ

なぜそういえるのか、マツダさんが朝に自分へ問いかけるべき5つの質問を挙げて解説してくれました。

■「こんなふうに過ごししたい!」という1日をイメージする

わたしは、「自分への質問が、人生の質を左右する」と提唱しています。なぜなら、「昨日、楽しかったことはなに?」と聞かれると「楽しかったこと」に意識をフォーカスし、たとえ平凡な1日であっても「昨日は楽しい1日だった」と思えるようになるというふうに、思考を大きく変える力が質問にはあるからです。

また、自分への質問は朝にすることがベストです。質問によってよい方向に変えた思考を持って1日を過ごすことになり、それだけ自分にとって有益な1日を送ることができます。もちろん、ライフスタイルは人それぞれですから、ここでいう「朝」とは早朝に限りません。夜勤をしている人なら起床する夕方など、「自分にとっての朝」に自分へ問いかけましょう。

では、具体的にどんな質問をすればいいのでしょうか? 人生の質を向上させるにあたってとくに重要だとわたしが考える質問を紹介していきます。

【人生の質を向上させる5つの質問】
1.今日、どんな1日になったら最高?
2.今日の楽しみはなに?
3.今日、しなくてもいいことはなに?
4.今日、誰をよろこばせたい?
5.叶えたいことに近づくために、今日、できることはなに?

ひとつ目の質問は、「今日、どんな1日になったら最高?」です。もちろん、運次第でなにも意識しなくてもいいことが続いて最高と思える1日になる可能性もあります。でも、「こんな1日にしたい!」という具体的なイメージを持って行動に移していけば、それだけ最高の1日を送れる可能性は高まります。

そんな最高の1日を毎日のように送れたらどうでしょう? 1日1日の積み重ねである人生の質は確実に向上していきます。

■「やるべきこと」ではなく「しなくてもいいこと」を意識

ふたつ目の質問は、「今日の楽しみはなに?」というもの。この質問は、とくに仕事をしている社会人にとって重要なものです。

それぞれの仕事に対する意識にもよりますが、生きていくためにあまり好きではない仕事を仕方なくしているという人も少なくないでしょう。そういう人にとっては、休日以外の日は苦痛なものになってしまいます。そんなことでは、楽しい人生を送れるはずもありません。

でも、1日の仕事以外の時間に楽しみを見出すこともできるはずです。限られた時間のなかにも、楽しみを見つけることを考えてほしいと思います。

もちろん、自分の仕事が好きだという人なら、この問いかけによって仕事のなかの楽しみをより強く意識することができます。1日のなかで長い時間を割く仕事からより多くの楽しみを得られるのですから、それだけ人生も充実していくでしょう。

3つ目の質問は、「今日、しなくていいことはなに?」です。1日を過ごすなかで仕事や勉強を進めたり情報を得たりすると、「あれもやりたい」「これもやらなきゃ」と、やりたいことややるべきことはどんどん増えていきます。

それこそ、仕事に使うツールの発達や人手不足によってひとりあたりの仕事量が増えているといわれるいまは、多くの社会人がやるべきことに追われている状況でしょう。

しかし、それらやりたいことややるべきことのなかにも、「今日、しなくてもいいこと」はあるはずです。一度、「それって本当に今日、しなければいけないこと?」「今日、しなくてもいいことはなに?」と問いかけてみて、「今日、しなくてもいいこと」はToDoリストから外しましょう。

そうすれば、時間的、精神的な余裕が生まれ、落ち着いたいい1日を送れるようになります。

■気持ちに余裕があるときは、誰かをよろこばせることを考える

朝に自分へ問いかける4つ目の質問は、「今日、誰をよろこばせたい?」です。この質問をするのは、毎朝でなくても構いません。ただ、気持ちにゆとりがあるときには、ぜひ問いかけてほしいものです。なぜなら、人間は誰かによろこんでもらうことに大きな幸福を感じる生き物だからです。

誰かにプレゼントをもらったとき、そのよろこびはプレゼントをもらった瞬間に生まれます。もちろん、その後もプレゼントを見返してはよろこびを感じられるということもありますが、プレゼントを渡す側はもらう側よりずっと多くのよろこびを得られます。

みなさんにも、愛するパートナーや家族のよろこぶ顔をイメージしながら、「なにを贈ったらよろこんでくれるかな?」とプレゼントを選んだ経験があるはずです。そのとき、プレゼントを選びながらすでによろこびを感じていたでしょう。プレゼントをもらう側よりずっと前からよろこびを感じているのですから、それだけ多くのよろこび、そして幸福を得ることができます。

ただ、誰かをよろこばせるという行為は、自分自身が満たされていないとできません。つまり、この問いかけは、自分自身が満たされているかどうかのバロメーターにもなるということを意味します。

「今日、誰をよろこばせたい?」と自分に問いかけて、「そんな余裕はないなあ…」と感じるようなら、ふたつ目の「今日の楽しみはなに?」という質問に戻って、まずは自分をよろこばせることを考えましょう。

■多忙な日々のなかでも、叶えたい夢を見据える

朝に自分へ問いかけるべき最後の質問は、「叶えたいことに近づくために、今日、できることはなに?」です。これも、4つ目の質問と同様に、毎朝質問しなくても構いません。気持ちや仕事に余裕があるときに問いかけてみてください。

みなさんには、叶えたい夢がありますか? 「ある」と答えた人のなかにも、忙しい毎日のなかで、その夢を叶えるための努力をつねに続けられているという人はそう多くないはずです。それこそ、「ぼんやりと夢は持っているけれど、具体的な行動に移せていない…」という人が多数派かもしれませんね。

しかし、行動しないまま夢が叶うことはありません。夢があるのなら、余裕がある日の10分だけでもいいので時間をとって、かなえたいことに近づくためにできることをしてみてください。

その10分が、1年、2年たつうちには大きな時間となり、夢に向かって自分を着実に前進させてくれるでしょう。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人