フジテレビ系バラエティ番組『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』が、あす27日(19:00~)に、日本テレビ系大型特番『24時間テレビ』の裏で、2年連続となる特大スペシャル『ドッキリも地球を救う 4時間テレビ』を放送する。名物コーナー「秒でドッキリ」を筆頭に、次々にドッキリが繰り出されていくが、そのアイデアを具現化して実際に仕掛けていく番組スタッフたちは、ターゲットや視聴者に満足してもらおうと日々、策を練っている。

レギュラー放送がスタートしてまもなく5年目に突入し、ドッキリのバリエーションは大きく増え、技術面も進化。一方で、BPOが「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について見解を出すなど、ドッキリを取り巻く環境が変化する中で、制作現場はどのように臨んでいるのか。総合演出のフジテレビ・中川将史氏に話を聞いた――。

  • 『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』MCの東野幸治(左)と小池栄子 (C)フジテレビ

    『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』MCの東野幸治(左)と小池栄子 (C)フジテレビ

■『みなさん』で形成された「現場」の意識

今や常連のターゲットたちに、その姿を見られただけで『ドッキリGP』の仕業と認識されるようになり、いわば自らの顔がかつての「ドッキリ大成功」の看板の役割を果たすようになってきた中川氏。このため、「初めてお会いする方以外は、ネタばらしまで前に出られないので、最後まで自分の姿が一切見えないように、声も漏れないように気をつけています」(中川氏、以下同)と、細心の注意を払って現場に潜んでいる。

その上、ドッキリとは全く関係ない番組で顔を合わせても、「皆さん周囲をキョロキョロしてますね。ちょっと実害が出てきています(笑)」と、警戒されるようになってしまったそうだ。

総合演出は、現場を回すディレクターたちをまとめる“司令塔”の役割を果たす立場だが、このように率先して現場に立ち続ける中川氏。「常に自分で撮り続けていないと、少しでも現場を離れたら感覚が変わってしまうのではないかという不安があるんです。それと、単純に現場が好きなので、1人のディレクターとして変わらず撮っていきたいという思いが強いですね」と、その理由を語る。

この姿勢が形成されたのは、中川氏が以前担当していた『とんねるずのみなさんのおかげでした』で総合演出を務め、厳しく育てくれた師匠・マッコイ斉藤氏の影響も大きい。

「『みなさん』はディレクターが3人しかいなかったのもあって、マッコイさんも総合演出でありながら自分で撮っていましたし、(YouTubeチャンネル『貴ちゃんねるず』などで)今も撮ってらっしゃいますよね。総合演出であろうが撮るのは当たり前という文化で育ってきているので、やっぱり自分で撮りたいんですよね」

■最新テクノロジーで進化するドッキリ

10月でレギュラー番組になって5年目に突入するが、ドッキリの内容は進化を遂げている。初期には「800m走った直後に差し出された水が実はお酢」といったシンプルなものもあったが、「最近ではパターンも増えてきて、より巧妙に、より高度なものにして、常に新しい切り口を模索しています。レギュラー番組という性質上、ターゲットの方や視聴者の皆さんを裏切り続けなければいけない。『またこれか』とは絶対思われたくない。予想外のものをずっと仕掛けていくという意識を持ってやっています」

  • 東野の顔犬 (C)フジテレビ

最近の放送ではロボット犬にMC・東野幸治の人形の頭を乗せた「東野の顔犬」など、最新テクノロジーを活用したドッキリも誕生。「新しい技術はヒントになるので、いつもチェックしています。だからこの番組も世の技術の進歩とともに、進化し続けているんじゃないですか(笑)」と胸を張る。

「東野の顔」はもともと、ビジュアルの恐ろしさから封印された「おしり人間コージくん」というキャラクターの1パーツ。多額の制作費を回収しようと頭だけ保管され、炊飯ジャーや冷蔵庫などに潜むドッキリの小道具として使用し続けているが、「よく見るといろいろ改造された跡が残っているんです。一点物なので、修理しながら大事に使ってます」といい、最新技術に頼るだけでなく、手直しによるアナログな技術も生きている。