「長崎市民は自転車に乗れない」という噂があるほど、坂だらけで自転車に向かない長崎。そんな街の観光、街歩きをe-bike(電動アシスト付き自転車)が変えるかもしれません! 最新の自転車事情をお届けします。

長崎はどんな地形の街?

ここは長崎駅前。7月某日、依頼されたハウステンボス(佐世保市)の取材が終わり、約1時間半電車に乗って、街の様子を見ようとやってきました。JR長崎駅では、2022年9月23日の西九州新幹線開業を控え、周辺の再開発が進んでいます。工事のため高い建物がなくなった空き地からは、坂が多い街の姿がよく見えます。

長崎は海と山に囲まれており、少ない平地部分に市街地が点在し、それらをつなぐように路面電車が走っています。大きめの車道から横道に入ると、突然の急坂、階段、崖! 起伏に富んだ地形のため、自転車は頼りになりません。人々の交通手段はクルマやバイク、路面電車、バスがメイン。徒歩でしか通れない道だってあります。

そんな土地事情から、「長崎市民は自転車に乗れない」という噂があり、筆者も実際に「長崎を出るまで自転車に乗れなかった」という長崎出身者を何人か知っています。

「カフェと宿 ROUTE」の電動レンタサイクルサービス

長崎のような地方に出かける時、ちょっと空いた時間に足を伸ばして観光するときはレンタサイクル(できれば電動)を探します。JR長崎駅にもほど近く、路面電車の長崎駅前電停からは徒歩3分、「カフェと宿 ROUTE」という店を見つけ、訪ねてみることにしました。

駅からの直線距離はそれほどないはずなのに、坂の途中にあるので息が上がりそう。ガウディを思わせる華麗な建築の「フィリッポ教会」の手前で、青地に白の「ROUTE」と書かれた看板が目に飛び込んできました。

1階がレンタサイクルのガレージで、2階が受付兼カフェ、3階がゲストハウス(キャビンフロア)となっていて、屋上もあります。ちなみに、0階は家族やグループで使えるファミリールームです。

カフェには宿泊客だけでなく、観光客、カフェ目的の散歩者などさまざまな人が訪れていました。

地元ガイド本や観光マップなども置かれていて、地元情報の発信基地となっている様子。サイクリング、情報収集、宿泊と、旅行の要素がぎゅっと詰まったおもしろい施設です。

3時間2000円~のe-bikeで観光もラクラク!

「カフェと宿 ROUTE」で電動アシスト付き自転車を借りる場合の利用料金は、3時間2000円~、1日プラン2800円~、2日プラン4800円~(すべて保険料込・税込)。

取材当日は以下の車種があり、さらに増える予定があるそうです。

スポーツバイクの爽快感を気軽に楽しめるパナソニックの「ジェッター」

台湾のe-bike専門メーカー「BESV(ベスビー)」のこれはヨーロッパモデル。バッテリーは車両フレームと一体となっている。

折りたたみができるパナソニックの「オフタイム」

イタリアのオートバイメーカー「BENELLI(ベネリ)」のモデルで、こちらも折りたたみ可能

小さくて小回りが利き、スカートでも乗りやすいフレームデザインのパナソニックの「Jコンセプト」

平和公園や中華街をぐるり! フラットな川沿いは自転車散策にもピッタリ

坂が多い長崎の街では、ウーバーイーツなどのフードデリバリーでも自転車はあまり使われておらず、ほぼバイクの独壇場。しかし電動アシストで急な坂道もグイグイ上れるe-bikeは、長崎を移動する際の新しいモビリティーとして可能性がありそうです。

そして実は、長崎の観光エリアは平地にも多いそう。長崎は港からすぐに急斜面が続く地形ですが、平和公園や浦上天主堂は市内北部から流れる浦上川沿いに、日本三大中華街のひとつ・新地中華街や眼鏡橋は中島川沿いにと、高低差が緩やかな川沿いには多くの見どころがあります。長崎港に沿って走れば、大浦天主堂や旧グラバー住宅のあるエリアにも。

鎖国以前の貿易や和漢蘭文化(日本の「和」+中国由来の「漢」+オランダ由来の「蘭」がミックス)など、歴史や地形の魅力がたっぷりの長崎。ルートによっては、あまり坂を上らずに細い路地探検を楽しんだり、e-bikeの電動アシストを活用して坂の上から市街地の景色を見下ろしたり、走りごたえのあるヒルクライムにチャレンジしたりと様々な楽しみ方ができそうです。

また「カフェと宿 ROUTE」では、オリジナルの観光&サイクリングマップ「Ring Ring! MAP」も制作しています。マップを見ながら1人や少人数で気ままに乗るのもいいし、ガイドが案内してくれるツアーに参加しても。こちらのガイドツアーは、長崎市の地域活性への取り組みの一つ「まちぶらプロジェクト」認定事業でもあります。

「Ring Ring! MAP」では、細い路地裏を探検する「ねこのコース」と、平和のシンボルを巡る「はとのコース」、アップダウンに富んだ眺望を楽しむ「とんびのコース」の3つの走行ルートが紹介されています。

  • 提供:カフェと宿 ROUTE

ホテルと公共交通を使う旅行ももちろん楽しいですが、ゲストハウスに宿泊し、ガイド付きの自転車ツアーで観光すれば、地元の人ならではのオススメスポットも見つかるかもしれません。長崎に行った際は、ぜひe-bikeでぐるっと散策してみては?

カフェと宿 ROUTE
長崎県長崎市西坂町5-14
Webサイト:https://nagasaki-route.com/ja/