自転車の世界にも仮想空間ブーム到来

自転車や用品の販売・修理のみならず、イベント・セミナー開催などの情報発信も行っているスポーツサイクル専門店 「Y'sRoad(ワイズロード)」。同社は全国21店舗でスマートトレーナーの試乗ブースを設置中で、このほどワイズロード池袋本館で体験会が実施されたので、その様子を紹介する。

  • スマートトレーナーの体験会が開催

そもそもスマートトレーナーは、パソコンやスマートフォンなどと接続してスポーツバイクのトレーニングを室内で行うインドアトレーニングの一つ。今回は3台のスマートトレーナーが用意された。

手前から奥に向かって、「Xplova NOZA S(エクスプローバ)」、「Wahoo KICKR(ワフー キッカー)」、「SARIS(サリス) H3※ボード状装置のMP1装着」である。

メーカーやモデルごとに機能は異なるが、普通に外を走れるスポーツ自転車本体と組み合わせて使うのが基本だ。これでインドアサイクリングが可能となるが、そこにバーチャルサイクリングアプリを組み合わせれば、楽しみ方がさらに広がる。

自転車の前方に設置されたディスプレイは、バーチャルサイクリングアプリ「Zwift(ズイフト)」というアプリの稼働画面。

このようにセットし、自転車を漕ぎだせば、自分(ライダー)はアバターとなって画面に映し出され、仮想空間でサイクリングを楽しめるというわけだ。

仕組みを簡単に説明すると、スマートトレーナーの中にセンサーが仕込まれており、ペダルを漕ぐパワーが計算され、それに従ってアバターが前進するといった感じ。

ちなみに、自転車はクロスバイクでもロードバイクでも対応OK。スポーツ自転車は天気に左右されがちだが、これなら一歩も外に出ずに自分の自転車でサイクリングできる。もちろん、晴れた日はスマートトレーナーから自転車を外していつも通りに走りに行けばよい。

スマートトレーナーの選び方

室内で使うものなので、音の問題は重要。マンションなどの集合住宅で使う場合、家族と同居している場合は、大きな音や振動のないモデルを選ぶといいだろう。

価格で選ぶなら、一番シンプルでお手頃なのが「エクスプローバ」だ。

「ワフー」は、テクノロジー的には最先端を行っている。

このモデルは、前輪を支えるフロントフォークがアプリのコースの勾配に応じて車両が上がったり下がったりするので、坂道をリアルに体感できる。写真には写っていないが、スマート送風機(別売り)も気が利いている。

ライダーの速度や心拍に連動して風量が変わるもので、室内は外と違う無風状態なのでこれはいい。自分のためだけに冷房を使い、家族に「寒い」と怒られるのも避けられそう。

「サリス」は、足元のボードが目を引く。

自転車の状態に応じて前後左右にこのボードが動くため、外で走る時と似た動きが実現される。その結果サドルとお尻の接点、ハンドルと手のひらの接点などへの負担が軽減できるのだ。

ズイフトアプリで世界のライダーと交流

スマートトレーナーは予算や目的に応じて選んでいただくとして、ズイフト(アプリ)をもう少し説明しよう。

コースは、東京をモチーフにしたコース、ニューヨークをモチーフにしたコースなど実に多彩。東京コースは、サイバーパンク的な雰囲気が漂っていて親しみを覚える。

おもしろいのが、オンライン上でユーザーが集まったり、レースで対戦したりできること。家から一歩も出ずに、世界中の知らない人たちと走れるのだ。自転車でなく「ランナー(実際はトレッドミルで参加)」として画面に現れる人もいたりと、細部まで遊び心にあふれている。

またワイズロードでは、ズイフトコミュニティを主催したり、「SARIS H3」のレンタルサービスを行ったりと、バーチャルサイクリングの国内普及に努めていて、日本全国からユーザーが参加しているという。