また、良子の出産シーンでは、実際に母でもある仲間がアドバイスをしたとのことで、仲間は「それほどのものではないのですが、自分は出産の経験があるので少しだけ」と恐縮し、柔らかい笑みをこぼす。

「妊婦さんといってもいろんな方がいらっしゃると思いますが、呼吸法やどれぐらい苦しくて声が出ないかということを、私の分かる範囲でお伝えしました。また、妊娠中の動き方というか、体のどこが重いのか、どこがだるいのかという実感が自分の体験としてあったので、春奈ちゃんにもできうる限りをお伝えしたら、彼女はすぐに取り込んでいました。実際に素晴らしい妊婦さんぶりで、出産シーンも本当に頑張ってやっていらしたと思います」

どんなことが起こっても、常に懐の深い愛情を持って、子供たちに接してきた優子。そんな優子の母性は、実際に母である仲間だからこそ、より一層深く醸し出されるだろうか。仲間は「どうなんでしょうか? 自分では分からないですが、子役の時代から子供たちの成長を見ているという設定なので、あんなに小さかった子たちがいろんな壁を乗り越えて、それぞれに自分のやりたいことを見つけ、踏み出しているんだと思うだけでも泣けてきます」と述懐。

そこは、朝ドラならではの長いスパンでの撮影も影響しているようで、仲間は「これだけ長い時間一緒にいるので、子供たちに対して愛情や母性は完全にあるという実感があります。自分が本当にこの子たちの長い人生を見ているという気持ちが、自然と自分のなかに湧いてくるので、みんなが頑張っている姿を見るだけでも、気持ちがジーンとなります」としみじみ語る。

確かに仲間の表情からは、リアルな母性がにじみ出ていて、心がほっこりする。今後も人生のいろんな荒波にもまれていくであろう比嘉ファミリーを応援していきたい。

■仲間由紀恵(なかま・ゆきえ)
1979年10月30日生まれ、沖縄県出身。1995年にドラマ『日本一短い母への手紙2』で女優デビュー。主演を務めた『TRICK』シリーズで注目され、その後も主演ドラマ『ごくせん』で人気を博し、『相棒』シリーズにも長きにわたって出演。NHK大河ドラマは『功名が辻』(06)で主演を務めた。NHK連続テレビ小説は『天うらら』(98)、『花子とアン』(14)に続き、『ちむどんどん』で3度目の出演。映画の近作は『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(22)、『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(22)が現在公開中。

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