メルセデス・ベンツ日本(MBJ)は電気自動車(EV)「EQB」を発売した。シートが3列あり最大7人が乗れるEVは現状、かなり珍しい車種なので、EQBは多人数乗車×EVの貴重な選択肢になりそうだ。グレードは2種類で前輪駆動モデルの航続可能距離(WLTCモード)は520km。
航続距離はEQシリーズ最長の520km
EQBは2019年7月発表の「EQC」、2021年4月発表の「EQA」に続くMBJのEV第3弾。ベースとなっているのは3列シートSUVの「GLB」だ。全長4,685mm、全幅1,835mm、全高1,705mmのボディサイズは日本でも取り回しがしやすそう。7人が乗れるEVといえばテスラの「モデルX」が思い浮かぶが、こちらは全長5m、全幅2mを超える。対するEQBはかなりコンパクトな印象だ。
3列目シートは身長165cmが上限。使わない場合は折りたたんで収納し、ラゲッジスペースとして活用できる。
2列目シートは前後に140mmのスライドが可能な60:40の分割可倒式。後ろにスライドさせれば後席乗員の居住性が向上し、前にスライドさせれば後部のラゲッジスペースを拡張できる。
EQBのグレードは「250」(788万円)と「350 4MATIC」(870万円)の2種類。バッテリー容量は2グレード共通で66.5kWhだ。
「250」はフロントに永久磁石同期モーターを搭載する前輪駆動。最高出力は190ps(140kW)、最大トルクは385Nm、航続可能距離はEQシリーズで最長の520kmとなっている。
「350 4MATIC」はフロントに非同期式電気モーター1基、リアに永久磁石同期モーター1基を搭載する四輪駆動。最高出力は292PS(215kW)、最大トルクは520Nm、航続可能距離は468kmだ。
日本はEVの充電施設が不十分で、普及にはまだまだ時間がかかりそうとの見方もあるが、メルセデス・ベンツ日本は積極的にラインアップの拡充を進めている。同社の2021年におけるEV販売台数は対前年で4倍に成長。2022年中にはEV専用プラットフォームを用いた「EQE」「EQS」の2台も投入する方針だ。日本にEV専売の拠点を設ける計画も進めているという。
同社の上野金太郎社長も日本におけるEV普及の遅れや難しさは認めるが、出の悪いボトル入りケチャップでも振っていればそのうち「ドバッ!」と出るように、EVも何かのきっかけで一気に普及する(上野社長はこの現象をケチャップボトルエフェクトと呼んでいた)と見ているという。「EVこそ最適な選択肢だと思ってもらうことが、世界で初めてクルマを作ったメルセデス・ベンツの使命」(上野社長)というのが同社の意気込みだ。