誰かと顔を合わせるたびに、私たちは挨拶(あいさつ)の言葉を使っています。家族や親しい友人などであれば、それほど言葉選びに困ることはないかもしれません。しかし特にビジネスシーンでは、時間帯や相手に合わせて適切な挨拶を選ぶ必要があります。
ここでは挨拶の中でも特に使われることの多い「おはようございます」ついて、意味や語源、使い方などについてご紹介します。
「おはようございます」は何時まで使える?
「おはようございます」は、主に朝の時間帯の挨拶として使われています。毎日のように使っている挨拶だけに、この言葉について深く考える機会は今まではあまりなかったかもしれませんね。ここではまず、「おはようございます」は何時まで使っていいのかという点について考えてみましょう。
「おはようございます」を使用する時間に関しては、明確なルールがあるわけではありません。しかし、一般的には朝の9~10時くらいまでとされているようです。あまり神経質になる必要はありませんが、10時頃を過ぎると違和感を覚える人もいるので、注意するようにしましょう。
時間にかかわらず「おはようございます」には同じ言葉で返す
前述の通り、一般的には朝9~10時くらいまで使われることの多い挨拶である「おはようございます」ですが、相手から「おはようございます」と挨拶をされた場合は、時間帯にかかわらずなるべく同じように返すようにするといいでしょう。
例えば「おはようございます」に対して時間が遅いからといって「こんにちは」と返してしまうと、「揚げ足を取られた」、または「『何時だと思っているんだ』という意味で嫌みを返された」と受け取られてしまう可能性があります。
そのため「おはようございます」に限らず、本来は時間帯などによって変化する挨拶であっても、返事は相手の言葉に合わせた方が無難です。特に目上の方に対しては失礼に取られないよう、注意しましょう。
「おはようございます」が一日中使われるケース
「おはようございます」が一日中使われるケースもあります。例えば、テレビ業界やコンビニ、ホテル、飲食店など、24時間態勢または交代制でさまざまな時間から勤務を開始する人がいる業界では、スタッフ同士の挨拶として、時間を問わず「おはようございます」が使われることも慣習的にあるようです。
このような業界では人によって一日が始まる時間が異なります。そのため挨拶が「おはようございます」に統一されたのではといわれています。
「おはようございます」の意味
「おはようございます」について、改めて詳しい意味や、語源などについてご紹介します。
「おはようございます」とは
「おはようございます」は、前述のように、主に朝、誰かに会ったときの挨拶として使われています。「おはやく」のウ音便がもととなった「おはよう」の、丁寧な形です。「ございます」が「ある」の意味の丁寧語で、「あります」よりもさらに丁寧な言い方です。
「おはようございます」の漢字は?
漢字で書くと「御早う御座います」です。ただし一般的には漢字で書くことは少ないようです。
「おはようございます」の語源
「おはようございます」の語源には諸説ありますが、中でも特に有力なのが、歌舞伎が起源になっているというもの。歌舞伎の世界で、「お早いお着きでございます」が転じて「おはようございます」になったといわれているのです。
ではなぜ「お早いお着きでございます」なのかというと、練習や準備のために早くやってきた役者を、裏方や見習いの若い衆などが気遣って使われた、また本番でトリを務めるので遅くやってきた座長に対して、周囲が気遣うために使われた、などといわれています。
また朝の時間帯のみに限定されず、公演時間によってさまざまな時間帯で使われていたとされています。
「おはようございます」は目上の人にも使える敬語表現
「おはようございます」は前述のように「おはよう」の丁寧な表現なので、身近な人や同僚などにはもちろんのこと、目上の人などにも使うことができる挨拶です。
そもそも挨拶が持つ意味
私たちは日常的にさまざまな挨拶の言葉を交わしています。あまりにも当たり前に使われており、その意味については考えたことがないという人も多いでしょう。
ここでは、「おはようございます」をはじめとした挨拶には、一体どのような意味があるのかという点について詳しく考えてみましょう。
敵意がないことを伝える
私たちが挨拶を交わす理由として、相手に対して敵意がないことを伝えるため、いう点が考えられます。
人間には理性があり、他の動物とは違って感情を隠すことができます。そのため、相手が敵であるのか味方であるのかわかりにくいのです。そこで、相手にとって敵意がないということを伝えるために、挨拶をするようになったという説があります。
また「おはようございます」にはもともと、語源の章でご紹介したように、気遣いの意味合いがあったのではないか、とされています。「おはようございます」のように、相手に対して気遣いの気持ちを伝えて、味方であるという安心感を伝えるための言葉が、挨拶であると考えることもできるでしょう。
相手の存在を認め、関係性を示す
挨拶には、敵意がないことを伝える他に、相手がそこに存在していることを認めるという意味合いもあるでしょう。
人間関係の構築とは、まず挨拶によってお互いの存在を認めることから関係性を築き、信頼性を深めていく流れが一般的です。それだけに挨拶はとても重要となります。つまり、挨拶は人の関係性の入り口ともいえるのです。
いろんな言語の「おはようございます」
業界を問わずグローバル化が進んだこともあって、さまざまな言語圏の人と挨拶を交わすケースも増えています。そこで、ここからはさまざまな言語での「おはようございます」の表現をご紹介します。
英語
英語では「Good morning」と表現されます。この表現は一般的に知られているので、スムーズに出てきたという人も多いでしょう。
目上の人に対して使う場合は、男性であれば「sir」、女性であれば「ma'am」といった敬称を語尾に加えるといいでしょう。
中国語
中国語では「早上好」と表現します。読みは「ザォシャンハォ」です。ビジネスシーンや目上の人に対しても使うことができます。
スペイン語
スペイン語では「Buenos dias」で、「ブエノスディアス」と発音します。こちらは丁寧な表現で、カジュアルな挨拶としては「Hola(オラ)」が時間帯を問わず使われています。
フランス語
フランス語では朝の時間帯だけの挨拶が存在せず、朝でも昼でも「Bonjour」です。読みは「ボンジュール」です。日本でもおなじみの言葉なのでご存じの人も多いでしょう。
こちらも英語と同様に、目上の人に対して使う場合は、男性であれば「Monsieur」、女性であれば「Madame」を語尾に付けると丁寧な表現になります。
「おはようございます」という挨拶を使いこなそう
日常的に使われている挨拶である「おはようございます」ですが、その詳しい意味までは考えたことがなかったという人も多かったのではないでしょうか。
本記事ではその意味や使い方などについてご紹介しました。ビジネスシーンにおいても挨拶は重要な意味を持つので、ぜひ使いこなせるようになりましょう。