体調を崩してしまった人に対してよくかける言葉に「お大事に」や「お大事になさってください」があります。
普段から何気なく使っている場合が多いものの、その本当の意味は理解できているか自信がありますか?
また、社会人になってからは同僚だけでなく、目上の人やお客さんとの付き合いも増えていくでしょう。その際に相手の体調を気遣う表現として、「お大事に」という言葉を使用していいのでしょうか?
そこで今回は、日常生活でもビジネスシーンでもよく使う「お大事に」という言葉について、正しい意味と使い方を解説します。
この記事をチェックして「お大事に」や「お大事になさってください」という言葉に正しい理解を持ち、時と場合、相手によって使いこなせるようになりましょう!
「お大事に」の意味とは
「お大事に」は省略された言葉です。最も単純に文にするなら「お大事にしてください」の略語であると説明できます。
「お大事に」の基本的な意味として、相手の身に起こってしまっている体調不良に対して気遣いの意味を示す言葉であると理解しておきましょう。
上記の意味を考えればわかる通り、相手を気遣う気持ちを示したい状況なら、いつでも使用できます。
相手に対して病気やけがを気遣って、早く治るように祈っていますという意思表示ができる便利な言葉ですよね!
「お大事に」の一般的な使い方
「お大事に」あるいは「お大事にしてください」という言葉は、家族といった身内や友達など親しい相手に使うほうが無難です。
例えば以下の例文のように、友人や身内・同僚といった近い関係の人に対する入院したときのお見舞いの言葉、あるいはケガをした姿を見たときに相手の回復を願う気持ちを表す言葉として使われることが多くあります。
例文1
A:おととい骨折して、入院が決まったんだよね。
B:そうだったんだね。お大事にね。
例文2
A:Bさん、その指、どうしたんですか?
B:包丁で指を切っちゃって。
A:今すぐ手当てしましょう。お大事にしてくださいね。
「お大事に」は目上の人にも使える?
「お大事に」は敬語として使用するのに問題はない言葉ですが、時と場合によって他の表現が適切である可能性があることを理解しておくと安心です。
また、相手の解釈次第で意味が変わることも想定しなければなりません。
知っておきたい「お大事に」の注意点
解釈の仕方によっては「お大事に」の一言だけでも、「お身体をお大事になさってください」「お大事になりませんようにお祈りしております」などと同様に敬語表現と考えられます。
ただし「お大事に」は「お大事にしてください」の省略表現であることを念頭に置かなければなりません。
言葉を受け取る側の解釈次第で意味が変わるだけでなく、「よそよそしい」という印象を与えかねません。
相手に対して意味や印象の解釈を要求してしまうため、場合によって意図していなかった意味や印象でとらえられてしまう可能性もあります。
目上の人への「お大事に」の正しい使い方とは?
前述の通り「お大事に」という言葉は基本的に敬語として使用できますので、目上の人に対して使用するのは差し支えありません。
しかし、省略された言葉であるのは事実ですので、その点を気にかけてしまう神経質な方も一定数、いるでしょう。
そのため、目上の人には省略せずに正しく表現するのが正しい使用法です。
目上の人には「お大事になさってください」が無難
「お大事に」のより丁寧な言い方として、「お大事になさってください」という表現があります。
「お大事になさってください」はもっとも単純明快で使いやすい敬語表現です。
会話の流れで使う場合など、口頭で伝える際にはこの表現で問題ないでしょう。
例文
- 「お風邪をひかれたのですね。お大事になさってください」
- 「病院に行かれるのですか? くれぐれもお大事になさってくださいね」
「お大事になさってください」をメールで伝える場合の表現
メールなど文面で伝える際には、もう少し工夫をすると意思が伝わりやすくなります。
例えば「お大事に至りませんようお祈り申し上げます」と表現すると、病気やけがが大事に至らずにすみやかに回復してほしいと願っている気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
このような形で敬語表現を使い分けると、目上の人からも評価を得られるかもしれません。
例文
「〇〇様がご病気のため、来週の打ち合わせ延期を希望されるとお伺いいたしました。
日程についてはまた後日、ご相談させていただけますと幸いです。
お大事に至りませんよう、お祈り申し上げます。」
「お大事に」以外にもある具合を気遣う敬語
病気やけがの際に相手を気遣う表現には「お大事に」以外にもさまざまあります。
定型句として多くの人に理解されているのが「お大事に」であり、誰もが幅広い場面で利用できるのがメリットです。
しかし、他の敬語表現についても知っておくとバリエーションができて、相手からの印象もよくなりますよ!
具合を気遣う敬語表現1.「回復をお祈りしております」
率直な表現として有用なのが「一日も早い回復をお祈りしております」という表現です。
「お大事に」よりも単刀直入に早く治ってほしい意思を伝えつつ、基本的な敬語のマナーを守っている表現ですので、この機会に覚えてしまいましょう!
「お大事に」と併用しても過剰になることもなく、一緒に添える言葉としても使用可能です。
具合を気遣う敬語表現2.「ご自愛ください」
「ご自愛ください」という敬語表現もビジネスシーンやフォーマルな場面で重宝します。
「ご自愛ください」という言葉がすぐに出てくるようになると、敬語がよく理解できている社会人としての評価を受けられるでしょう。
ゆっくりと休むことをうながす表現として「ご自愛」の部分を「ご静養」や「養生」と言い換えるのも、いい方法です。
うまく他の表現と組み合わせると敬う気持ちと回復を祈る気持ちが同時に伝えられます。
【例文つき】いくつかパターンを定型化しておくと便利!
状況に応じて適切な敬語表現ができると一人前の社会人として評価を得られるようになります。
そのためには、普段から「お大事に」「お大事になさってください」を基本として利用するだけでなく、より適切な表現として他の表現をいくつかパターン化しておくと良いでしょう。
先ほど紹介した「回復をお祈りしております」や「ご自愛ください」を活用し、定型句として以下のようなものを準備しておくと、いざというときに安心です。
特にメールや手紙を書く際の定型句としてあらかじめ準備しておくことで、すぐに差し障りのない敬語の文章を書けます。
- 「一日も早い回復をお祈りしております」
- 「くれぐれもご無理はなさいませんようご自愛ください」
- 「十分にご静養なさいますようお願い申し上げます」
- 「十分に養生され、一日も早くまた職場にお見えになることをお祈り申し上げます」
まとめ
「お大事に」や「お大事になさってください」について、意味と使い方、使い分けの方法をお伝えしました。
敬語表現をとっさの場面でさりげなく使えるのは社会人としての基本です。
たどたどしい感じで伝えてしまわないように、ある程度練習をしておくことをおすすめします。
ただ「お大事に」「お大事になさってください」と言うところから一歩踏み出して、目上の人から好印象を持たれる社会人を目指してみましょう!