2022年7月9日よりテレビ東京系で放送開始するウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンデッカー』。前作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021年)の最終回から数年後、人類の未知なる世界への探求心「ネオフロンティアスピリッツ」が宇宙へと拡大した時代を舞台とした本作は、平成ウルトラマンシリーズ第2弾『ウルトラマンダイナ』のエッセンスを採り入れながらも、いくつもの新しい試みをも盛り込んで、新鮮さに満ちたシリーズになるという。

  • 武居正能(たけすえ・まさよし) 1978年生まれ、山口県出身。日活芸術学院在学中から数々の作品に参加。ウルトラマンシリーズには『ウルトラマンコスモス』(2001年)の助監督に就いたのが最初で、『ウルトラマンオーブ』(2016年)から監督ローテーションに入り、『ウルトラマンR/B』(2018年)ではメイン監督を務め、作品の骨子を担う重要エピソードを演出した。 撮影:大塚素久(SYASYA)

今回は本作のメイン監督を務める武居正能監督がインタビューに登場。『ウルトラマンデッカー』とはいかなる作品なのか、その見どころを大いにアピールしてもらった。

――武居監督がウルトラマンシリーズのメイン監督を務められるのは『ウルトラマンR/B』(2018年)以来のことですね。本作の基本設定はどのように作られたのでしょうか。

前作の『ウルトラマントリガー』(2021年)が始まったころから、次回作は『トリガー』と地続きの作品にしようという方針は決まっていました。かつての「平成ウルトラマン」である『ウルトラマンティガ』(1996年)とその続編『ウルトラマンダイナ』(1997年)との関係にならって、『トリガー』の世界観を受け継いだ作品ということです。そういった方向性だけは決まっていましたが、全体については僕やシリーズ構成の根元歳三さん、足木淳一郎さんが参加してから、ほぼほぼゼロスタートに近い形で作っていきました。

――『ウルトラマンダイナ』は『ウルトラマンティガ』の数年後が舞台で、人類が宇宙へ進出していく「ネオフロンティア」がテーマとなっていました。『デッカー』でもそのような要素が受け継がれているのでしょうか。

人類の宇宙進出を脅かす「スフィア」という敵が襲ってくるところも含め、『ダイナ』を受け継いだ要素もいくつかありますが、『ダイナ』のストーリーにはとらわれない、新しい物語にしていこうという姿勢が大前提になっています。スフィアの扱いについても『ダイナ』とは違いますからね。『トリガー』では『ティガ』の設定やエッセンスを用いながら、結果的にはまったく印象の異なる作品になったでしょう。

あくまでも『トリガー』から数年後の未来でのお話を作っていきましょうと取り決めましたし、実際のストーリー作りに関して、ことさら『ダイナ』を意識せずにやっています。目指すところは『デッカー』単体でも面白く観られる作品であること。その上で前作『トリガー』を観ているといっそう深く理解できたり、楽しめたりする要素も入っているといいですね。1話1話、単体のエピソードを子どもたちに楽しく観てもらえるように、と思って作っています。

――武居監督は今年公開された映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』も手がけられていますし、『トリガー』への思い入れも強いのではないですか。

それはもちろん、自分が『トリガー』で担当したエピソードは全体の中でも重要な回が多かったですし、『エピソードZ』でひとつの区切りを付けられたという意味で、思い入れはありますね。だからこそ、次の『デッカー』では『トリガー』とは大きく印象の違うものにしたいと思っています。『トリガー』と、いい意味で対比がつけられるように、さまざまな部分に注意を払いました。

――『デッカー』では、『トリガー』のエキスパートチーム「GUTS-SELECT」が新チームに再編成されるという設定なんですね。前回と今回では、チームの印象はどんな風に変化しているのでしょう。

写真をご覧になるとわかると思いますが、今回のユニフォームは「戦闘服」のほうにイメージを振っています。前回のGUTS-SELECTは怪獣攻撃用の武装を持ってはいますけれど、超古代遺跡の調査・分析を行う学術寄りのチームという印象が強かったんです。対して今回は、地球平和同盟「TPU」の設定はそのままながら、スフィアの脅威に人類が立ち向かわなければならないので、GUTS-SELECTも戦うことを目的としたチームだという部分を意識しました。

――GUTS-SELECTメンバーの俳優陣も発表され、早くもファンの間で話題を集めましたね。キャスティングのねらいについてのお話を聞かせてください。

ムラホシ タイジ隊長役の黄川田雅哉さんは、前のタツミ隊長(演:高木勝也)がコワモテ風の魅力だったから、そことの対比を意識しました(笑)。防衛チームの隊長って、どちらかといえば武闘派というか、大人の厳しさを示してくれるイメージがあるんですけれど、今回のチームをどう作るか根元さんと話したとき「若い隊員たちを見守る存在」みたいな関係性でいこうとなりました。厳しい面ももちろんあるのですが、ことさら厳しすぎず、どんなことでも相談することができる、頼れる「理想の上司像」をムラホシ隊長に込めてみました。