――デッカーに変身するアスミ カナタ役の松本大輝さんを起用された決め手は何でしたか。

困難にぶつかっても、常に明るく前向きでいられるカナタのイメージにピッタリでした。たくさんの人を集めてオーディションをしたのではなく、ある程度初めから人数を絞り、ひとりずつ面談を行って松本くんに決めたんです。カナタの実家が「せんべい屋」という設定は、僕の好みとするところですね(笑)。カナタはさっぱりしていながら熱い部分もある猪突猛進タイプ。時には悩み苦しむこともあるのですが、決してへこたれないヤツとして描いていきたいんです。どんなときでも一歩一歩、前に進んでいくカナタの姿を子どもたちにお見せしたい、そのキャラクターづくりの一端として、せんべい屋という設定があるんです。

――ヒロインのキリノ イチカ役・村山優香さんは、ちょっと見たところ怪獣と戦う女性隊員とは思えないくらい可憐なイメージがあり、そこがミスマッチ感として魅力になっているようですね。

イチカについては、健気でどんなことにも一生懸命頑張る女の子を描きたいと思って村山さんに演じてもらっています。そんな風に受け取っていただけたのなら、僕らの狙いは成功したのかなと思っています。

――『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)の小柳友(アサカゲ ユウイチロウ博士役)さんや『ウルトラマンサーガ』(2012年)の宮澤佐江(カイザキ サワ副隊長役)さんのように、ウルトラマンシリーズの劇場版の出演経験のある方たちがキャスティングされているというのは、長年のウルトラマンファンへのサービス的なことなのでしょうか。

基本的には、脚本によって作り上げられたそれぞれの人物のイメージにあった方々に演じてもらいたい意図で、チーム全体のバランスを取りながら選んでいきました。でも、小柳さんや宮澤さんが出てくれると聞いたときは、びっくりしましたし、うれしかったですね。

――ウルトラマンデッカーと怪獣との戦闘シーンについては、どういった部分に重点を置かれていますか。

『デッカー』では「新しいものを作ろう」というテーマがありますので、できる限り新怪獣を出したいと思っています。僕自身、ウルトラマンの身長よりも大きな怪獣が好きですから(笑)。ウルトラ怪獣の魅力は、ウルトラマンと対峙した際でも「でっかいなあ、こんなやつと戦って、果たして倒せるのかな」と一目見てわかるほうが面白いと思うんです。合成やCGを交えた撮影を行っていますが、結局はウルトラマンと怪獣との「肉弾戦」が魅力ですから、そこを重要視しています。特に目新しい演出というわけではないですが、ウルトラマンシリーズをやるにあたっては、絶対に外せない要素のひとつですね。

――武居監督がウルトラマンシリーズを演出する際、常に意識していることは何ですか。

「まず面白いドラマを作る」が大前提だと思っています。プラスアルファとして特撮の見事さ、怪獣の強さ、ウルトラマンのカッコよさなどがあり、トータル的に面白くなればいいなと。人間同士で織り成すストーリーをしっかり描くことによって、ウルトラマンが地球を守って戦う意義が出てきます。そして、怪獣のキャラクター性にも強い影響を及ぼすことができるんです。『デッカー』は『ウルトラマンギンガ』(2013年)から始まるニュージェネレーションシリーズの10作目ですし、シリーズの決定版にするつもりで取り組んでいます。1話1話単発でも面白く観られますし、連続してご覧になるとわかってくるような連続性のある「仕掛け」も用意していますので、楽しみにしていただきたいです。

――第1話の見どころを武居監督からお願いします。

特にこだわったのは「ウルトラマンらしいとはどういうことか」の部分です。ある意味「ニュージェネ」らしい作品になったのではないか、と思います。主人公のカナタと仲間たちが、この世界でどのようにして「戦い」に赴いていくのかが、第1話で描くべき内容。しっかりワクワクしてもらって、次のエピソードが観たくなるようにしています。毎週土曜日朝はぜったいにテレビを観ていただきたいです。ぜひ、ご期待ください。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京