「打診」という言葉を見聞きすることがあるものの、実際にどのような意味で使われているのかは自信が無い、という新社会人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、打診の意味や使い方について、例文を交えながらご紹介します。
「打診」とはどういう意味?
「打診」とは「医療用語」と「ビジネス用語」の2つの意味を持っています。
ビジネス用語としての「打診」
現代ではビジネスシーンを中心に使われている「打診」は、相手に対して「意向を確認する」「考えを伺う」という意味で使われます。
「発言者が相手に対して言葉を投げかけて反応を見る」という意味合いが強いだけでなく、「打診」の段階では相談の意味合いが強いことがわかります。
医療用語としての「打診」
本来の「打診」という言葉は、「医師が患者の身体の状態を確認するために自分の指や打診器と呼ばれる器具を使って診察をしたことに由来する」と言われています。
この記事を読んでいる方の中にも、医者に背中をトントンと叩かれたことがあるという経験を持つ方もいるのではないでしょうか?
背中を叩くことで返って来た音を聞くことで、患者の内臓の具合を把握しているのです。「診察」や「診断」の「診」という漢字が使われているため、もともと医療行為に端を発する言葉ということも納得ですよね。
ビジネスシーンでの「打診」の使い方・例文
「打診」は名詞として単体でも用いられますし、「打診する」といったように動詞に活用して利用することもできます。
以下の例文を参考に、ぜひビジネスシーンで役立ててくださいね!
打診メールの例文
会社で仕事をしていると、職種によってはメールであなた自身が相手に打診したり、取引先から打診されたりすることもありますよね。
打診メールの例文をパターン化して覚えると便利です。
打診メールでのポイント メールは、きちんと詳細や言葉を選ばないと、受け取り手に誤解を与えてしまう可能性があります。
以下のポイントを考慮したうえで打診メールに適切に対応できるようになりましょう。
- 打診した理由や背景を簡潔にわかりやすく述べる
- 自社の情報を伝えるために公開できる範囲内で情報を展開する (会社のURLや一般向け営業資料など)
- 相手から検討してほしい内容をわかりやすく簡潔に記載する
- 相手に伝わらない、誤解される可能性がある言葉を使用しない
- 文末で「ご検討をお願いいたします」「ご検討いただけますと幸いです」など相手へ移行を伺う姿勢を丁寧に見せる
「打診」の類語・言い換え表現
「打診」にはいくつか類語表現がありますが、以下の2つのポイントで言い換えられる言葉が異なります。
- 相手の意向を知るために、こちらから何事かを提示する
- 相手の意向を尋ねる
未定の意思提示に対して、発言者が相手からどんな反応をもらいたいかによって、どの類語が適しているかが変化します。
詳しく見てみましょう。
相手の意向を知るために、こちらから何事かを提示する
言葉を投げかけようとしている相手が、まだ「イエス」か「ノー」かの反応が予測できない状態の場合、意思決定を促す意味での「打診」というよりは、自分の意見を出したうえで、相談ベースで相手の反応を伺うと言ったニュアンスがあると言えます。この場合は「提案」「提示」などが類語になるでしょう。
相手の意向を尋ねる
相手の反応を伺うという意味合いに、「イエス」か「ノー」か、あるいは別の意見があるのかを確認する場合は、「可否を問う」「是非を問う」などが類語になるでしょう。
会社で何かを「打診」されたらどうする? 立場別注意事項
会社では日々上司や先輩から業務や出張などを打診されるだけでなく、取引先や他社から勤務先への打診が行われるなど、多くの場面で「打診する/される」ことがあります。
この項目では、あなたが「打診するとき/されるとき」どうするべきかに焦点を当てて、注意事項をご紹介します。
「打診」をするとき
前述でも触れたとおり「打診」に含まれるニュアンスは、あくまでも「どのような回答をもらえるかは分からないが、まずは、相手の考えを尋ねてみる」という中立的なものであることを覚えておかなければなりません。
本来、「打診」することや「打診」の中でのやりとりは決定事項ではありませんので、早合点は禁物です。
職場で上司から「先方に打診をしておいてほしい」と言われたとき、どのように行動したらよいか、意見を伺うだけで良いのかなど、注意点を含めきちんと確認しましょう。
取引先に打診する場合
ビジネスパートナーに対して「打診」をするときには、まず丁寧かつ謙虚な姿勢で臨みましょう。
「打診」をすることは、お願いすることではなく意向を伺うことが本来の意味です。
正しく敬語を使い、相手に対して押しつけがましい態度や言葉遣いにならないように気を付けることが必要です。
「打診」した結果として相手から同意を得られることもあれば、そうでない場合もあります。
どのような反応が得られたとしても、柔軟に対応できるような心構えもしておきましょう。
賛同を得られない場合に備えて、事前に代替案や角度を変えた質問を考えておくのもひとつです。
打診のニュアンスは人によって違うことも考慮する
一方で人によって「打診」はOK前提の「お願い」や「依頼」の意味合いで受け取られることもあるため、注意が必要です。
下手に「打診」という難しい言葉を使うよりも、「提案」「意見を知りたい」など言い換え表現のほうが、あなたの意向を適切に伝えられる可能性があります。
特にメールは、かんたんに送信できてしまう反面、意思疎通が適切に測れず誤解を生みやすいため、注意しましょう。
「打診」されたときに気を付けるべきこと
ビジネスでは、相手から自分が「打診」されるといった逆のケースもありますので、その場合の対応の仕方について、念のために確認しておきましょう。
ビジネスパートナーから「打診」を受けた場合には、自分自身の責任の範囲内で判断できることについては、はっきりと自社の意向を伝えましょう。
また、会社などの組織やチームに属して仕事をしている場合、上司などの関係者に対して速やかに「打診」があった事実とその相手、詳細なやりとりについて報告することが必要です。
「打診」の結果を受けて、正式に新たな話し合いの場が設けられたり、相手からの提案がある可能性を考えて、どのような準備をすべきかを検討していきます。
まとめ
「打診」という言葉の意味や使い方、実際に「打診」が行われる現場に立った場合の適切な振る舞い方についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
だれもが気持ちよく仕事が続けられるように、「打診」をするビジネス習慣を有効活用することが大切です。「打診」が意味する微妙なニュアンスを理解できれば、誤解を招くような行動や言動をすることはなく、周囲からも厚い信頼を集めるビジネスパーソンになれるでしょう。
一方で、言葉の受け取り手によって「打診」の意味合いが違うことも考慮しなければなりません。不安な場合は無理に「打診」という言葉を使わず、言い換え表現でわかりやすく伝えることも検討しましょう。