「跋扈」の意味や使い方を解説します。類語や対義語、英語表現も詳しく紹介。社会人としての教養として、しっかりと把握しておきましょう。

  • 「跋扈」の意味について解説します

    「跋扈」の意味について解説します

「跋扈」の意味

まずは「跋扈」の基本的な意味を見ていきましょう。

「跋扈」の読み方

「跋扈」は、「ばっこ」と読みます。初見ではなかなか正確に読むことが難しい漢字かもしれません。この機会に、正しい読み方をしっかりと覚えましょう。

「跋扈」とは

「跋扈」は、「ほしいままに、勝手に振る舞うこと」や「のさばり、はびこること」といった意味を持っています。基本的にはネガティブなニュアンスがあり、「近年は、悪徳商法が跋扈している」といった形で使用します。

「跋扈」の語源

『後漢書』の崔駰伝によると、「跋」は「越える」という意味、「扈」は魚をとる竹かごの意味を表します。そこから「跋扈」は、「魚がかごを越えて跳ねること」、転じて「わがもの顔に振る舞うこと」を意味する言葉となったそうです。

なお中国の後漢時代の将軍である梁冀(りょうき)は、権勢を振るい好き勝手に行動したことで、「跋扈将軍」とあだ名を付けられていました。そこから「好き勝手に振る舞うこと」という意味の「梁冀跋扈(りょうきばっこ)」という四字熟語も生まれました。

「跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)」など、「跋扈」を含む四字熟語

前述の「梁冀跋扈」以外にも、「跋扈」を含む四字熟語がいくつかありますので、意味とともにご紹介しましょう。

跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)・跋扈跳梁(ばっこちょうりょう)

「跳梁跋扈」は、「悪者などが勢力を振るい、好き勝手にしてのさばること」という意味です。「その街ではマフィアが跳梁跋扈していた」といった形で使用します。「跋扈跳梁」とも言います。

横行跋扈(おうこうばっこ)

こちらも、「主に悪人がのさばり歩き、わがもの顔で勝手気ままに行動すること」という意味です。「横行」は、「横向きに進行すること、枠をはみだして行くこと」という意味を持ちます。

飛揚跋扈(ひようばっこ)

「思うがままにのさばり振る舞うこと。また、臣下が権力をほしいままにして君主をしのぐたとえ」という意味です。「飛揚」は、「空高く飛び上がることや、高い地位に上がること」を指します。

専横跋扈(せんおうばっこ)

「他人の土地で、わが物顔に振る舞うこと」という意味です。「専横」は、「横暴でわがままなこと」を意味します。

これらも、もし余裕があれば覚えておきたい表現です。

「跋扈」の使い方

「跋扈」は、「ほしいままに、勝手に振る舞うこと」や「のさばり、はびこること」を意味する言葉です。次の「跋扈」の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう。

例文

・その繁華街では、犯罪者が跋扈していた
・専務は、会社中をわが物顔で跋扈している
・悪質なビジネスが跋扈する世の中になってしまった
・悪性のウイルスが世界を跋扈する
・昨今のネット上では、タチの悪いデマが跋扈している
・いくら権力があると言っても、彼の跳梁跋扈ぶりは目に余る

「跋扈」は「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」とセットで使うことも

「魑魅魍魎」は、「人に害を与える化け物や妖怪の総称」という意味ですが、「私利私欲のために陰で悪巧みをする者のたとえ」という意味も持ちます。そこで、「跋扈」とともに下記のような使い方もよくされています。

・あの病院の上層部では、魑魅魍魎が跋扈しているそうだ
・悪徳商法業者が、魑魅魍魎さながらに跳梁跋扈している
  • 「跋扈」の意味や四字熟語を知って、正しく使いこなしましょう

    「跋扈」の意味や四字熟語を知って、正しく使いこなしましょう

「跋扈」の類語

言葉の意味をより深く理解するためには、類語や言い換えを確認することも大切です。「跋扈」にも似た意味を持つ言葉がありますので、いくつかご紹介しましょう。

跳梁(ちょうりょう)

先ほど「跳梁跋扈」でもご紹介した「跳梁」は、「跳ね回ること」から転じて「好ましくないものが、思うがままにのさばりはびこること」を意味します。例文は、「極悪人が跳梁している」などとなります。

横行(おうこう)

こちらも「横行跋扈」でご紹介したように、「横向きに進行すること、枠をはみだして行くこと」や、「勝手気ままに歩き回ること、悪事がしきりに行われること」という意味を持ちます。「街に暴力行為が横行している」などの形で使用します。

氾濫(はんらん)

意味は「川の水などが増えて勢いよくあふれ出ること」のほかに、「事物が出回ること」です。「情報の氾濫」といった、あまり好ましくない状態を指して使う表現です。

蔓延(まんえん)

「蔓(つる)草がのび広がること」から転じて「悪習や病気などがいっぱいに広がること」を意味します。新型コロナウイルス感染症対策の一環としてすっかり有名になった「まん延防止等重点措置(通称:まんぼう)」の「まん延」は、この「蔓延」です。「蔓」という漢字は常用漢字外のため、よくひらがなでも表記されます。

蔓延る(はびこる)

上記の「蔓延」に送り仮名をつけ、「はびこる」と読ませます。意味も同様です。

のさばる

「ほしいままにのび広がる」や「わがもの顔で振る舞って勢力を振るう」という意味を持つ表現です。「乱暴者がわが物顔でのさばっている」といった形で使用します。

猖獗(しょうけつ)

読みは「しょうけつ」で、意味は「悪い物事がはびこって、勢いを増すこと」です。「新型コロナウイルス感染症が猖獗を極めている」といった形で使用します。

巣くう(すくう)

鳥などが「巣を作って住む」ほかに、「好ましくない人間が集まって住んだりたむろしたりすること」、また「悪い病気や考えなどが宿る」といった意味があります。

彌漫(びまん)

「びまん」と読み、「瀰漫」とも書きます。「水が満ちてあふれること」から転じて、「一面に広がり満ちること、広くはびこること」という意味です。

「跋扈」の対義語は?

ここまで見てきたように、「跋扈」には「ほしいままに、勝手に振る舞うこと」や「のさばり、はびこること」といった意味があります。

それでは、「跋扈」の対義語は何になるでしょうか。ここでは、反対の「善きものが広がる」という意味を持つ言葉を考えてみましょう。

膾炙(かいしゃ)

「膾」は「なます(細く切った生の肉)」、「炙」は「あぶり肉」の意味で、いずれも美味であり、多数の人の口に喜ばれることから、「世の人々の評判になって、広く知れ渡ること」という意味の言葉です。

多くは「人口(じんこう)に膾炙する」という形で使われます。例文は「彼女はその生涯を通じて、人口に膾炙する作品を作り出してきた」などです。「人口に膾炙する」という使い方は、「膾炙」と、人々の口やうわさを意味する「人口」とが合わさった、「人口膾炙(じんこうかいしゃ)」「膾炙人口(かいしゃじんこう)」という四字熟語からきています。意味は「多くの人の話題にのぼり、世間に広く認められてもてはやされること」です。

「跋扈」の英語表現と例文

「跋扈」を表す英語は「rampancy」、「跋扈する」では「be rampant」「be infested with」などが挙げられます。文脈やシチュエーションなどを考慮しつつ、適切なものを選びましょう。

rampancy

「rampancy」は、「跋扈、蔓延」という意味の名詞です。

They were afraid of the rampancy of foreigners.
(彼らは外国人の跋扈を恐れていた)

be rampant

「be rampant」には、「茂る、跋扈する、横行する、はびこる」などの意味があります。

Crime was rampant in the city.
(その街には犯罪が跋扈していた)

be infested with

「be infested with」は、「横行する、跋扈する」と追う意味の言葉です。

This sea was once infested with pirates.
(かつてこの海では海賊が跋扈していた)

「跋扈」の意味を知って正しく使おう

「跋扈」は、「ほしいままに、勝手に振る舞うこと」や「のさばり、はびこること」を意味します。

ビジネスシーンで使用することはあまりない表現かもしれません。ただ難読の漢字でもあり、社会人の教養の一環として、意味も含めて押さえておきたい言葉です。「跳梁跋扈」などの四字熟語も含めて、会話の中でスマートに使いこなせるようになりたいものですね。

ただし、基本的にネガティブな意味を持つ言葉ですので、使用に際しては注意が必要です。不用意な使い方をしないよ心掛けましょう。皆さんもこの記事を参考に、「跋扈」という表現を正しく使いこなしてみてください。