ビジネスシーンでもよく登場する「頒布」という言葉。その読み方や詳しい意味、使い方を解説します。類語や対義語、英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「頒布」の意味について解説します

    「頒布」の意味について解説します

「頒布」とは

まずは「頒布」の基本的な意味を見ていきましょう。

「頒布」の読み方

「頒布」は、「はんぷ」と読みます。日常生活でもよく目にする言葉ですので、しっかりと読み方を覚えておきましょう。

「頒布」について、よく見られる読み間違いとして「りょうふ」があります。これは「頒布」の「頒」を、「領土」「領地」「領域」などの「領」と間違え「りょう」と読んでしまうことで起こるとされる誤読です。「頒」には「りょう」という読みはありませんので、注意しましょう。

「頒布」の意味

「頒布」には、「品物や資料などを、広く配って行き渡らせること。また広く行き渡ること」という意味があります。「宣伝用のパンフレットを頒布する」などの形で使用します。

「頒布」の「頒」には、「分ける、分け与える」や「広く行き渡らせる」などの意味があります。「布」も「ぬの」という意味のほかに、「流布」や「布教」などで使われるように「広く行き渡らせる」という意味があり、この2つが組み合わさって「頒布」となります。

なお「頒布」にはもう一つ、「法律などを発表して、広く知らせること」という意味もあります。こちらは、同じ意味を持つ「公布」の方が一般的によく使われているようです。

「配布(はいふ)」との違い

「配布」は「配って広く行き渡らせること」を意味します。「店頭で割引券を配布する」などの形で使用します。

「頒布」は無料・有料を問わず、一般に広く配ることを表します。一方「配布」は、無料で配ることを前提としている点で意味の違いがあります。

「販売(はんばい)」との違い

「販売」は「商品、品物を売ること」を意味します。つまり、利益を上げることが目的です。「頒布」は前述のように無料・有料を問わず、一般に広く配ることを表しますが、「販売」は、有料であり、営利目的であるという点で意味が異なります。

「頒布会」とは

「頒布会」という言葉もよく耳にします。読み方は「はんぷかい」です。これは会費を納めている会員に向けて、定期的に商品や刊行物などを配る会のことを指します。

「頒布」の使い方と例文

「頒布」は、「品物や資料などを、広く配って行き渡らせること。また広く行き渡ること」を表すために用いられる言葉です。次の「頒布」の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう。

・希望者には全員、サンプル品を頒布することにした
・その神社では、恋愛成就のお守りが頒布されていることで有名だ
・そのイベントでは、北海道の特産品が頒布された
・わが社では毎年、自社のカレンダーを顧客に無料で頒布している
・新年限定の厄除け(やくよけ)の御朱印は、昨日をもって頒布が終了しました
・新たなビジネスとして、ワインの頒布会を立ち上げようと考えている

「頒布」の類語

言葉の意味をより深く理解するためには、類語や言い換えを確認することも大切です。「頒布」にも多くの似た意味を持つ言葉がありますので、いくつかご紹介しましょう。

配付(はいふ)

「配って一人一人の手に渡すこと」を意味します。「広く一般に配る」という意味の「頒布」や「配布」に対し、「配付」は特定の人に渡すという点で異なります。例えば、「会議資料を出席者に配付する」「生徒にテスト用紙を配付する」などの形で使用します。

配賦(はいふ)

意味は「割り振ること、割り当てること」です。「頒布」のように「広く配る」ではなく、「全体量が決まっているものに対して、量を割り当てて配る」という意味のため使い方が異なります。「各部に予算を配賦する」などの形で使用します。

分配(ぶんぱい)

文字通り、「分けて配ること」です。こちらも「広く配る」ではなく、「割り当てて配る」こと自体を目的にしている点が「頒布」との違いになります。「関係者全員に利益を分配する」などの形で使用します。

配分(はいぶん)

こちらも「分配」同様、「配って分けること」を意味しますので、「広く配る」ことではなく、「割り当てる」ことにウエートがある表現です。

ディストリビューション

英語「distribution」から来ていて、「分配、配送、流通。配布物や分配されたもの」などを意味します。

流布(るふ)

「るふ」と読み、意味は「世に広まること、広く世間に伝わり行き渡ること」です。品物や資料ではなく、情報やうわさなどが広まる際に使用する表現となります。

公布(こうふ)

「一般に広く知らせること」のほか、前述のように「成立した法令などの内容を一般国民に広く知らせるために公示すること」という意味があります。

  • 「頒布」の類語は、シーンに応じてニュアンスの合うものを選んで使用しましょう

    「頒布」の類語は、シーンに応じてニュアンスの合うものを選んで使用しましょう

「頒布」の対義語

次に、「頒布」の対義語を見てみましょう。

回収(かいしゅう)

意味は「一度大勢の人に配ったものを、また集めること」です。使い方は、「アンケート用紙を回収した」などとなります。「廃品回収」などでも日常的に接する表現ですね。

「頒布」の英語表現と例文

「頒布」を表す英語は、類語の項でも触れた「distribution」が挙げられます。動詞「頒布する」は「distribute」となります。

以下に例文を紹介しますので、使い方を確認しておきましょう。

distribute

「distribute」は、「配る、分配する、配布する」などの意味を持つ動詞です。

The company distributed samples to their customers.
(その企業は顧客に試供品を頒布した)

「頒布」の意味を知って正しく使おう

「頒布」は、「品物や資料などを、広く配って行き渡らせること。また広く行き渡ること」などを表す言葉です。

サンプル品や宣伝物を顧客に配布する際や、あるいは「頒布会」などの形でビジネスシーンでもなじみ深い言葉となっています。

「頒布」は、初見では「りょうふ」などと誤読をしてしまいがちな言葉でもあります。意味も含め、しっかりと理解したいものです。

皆さんもこの記事を参考に、「頒布」という表現を正しく使いこなしてみてください。