俳優、アーティスト、声優など幅広いジャンルで活躍する加藤和樹がMCを務める新番組「加藤和樹のミュージックバー『エンタス』」(WOWOW)が6月3日から放送・配信がスタートする。ミュージカルと音楽を愛するJ-POPアーティストをゲストに迎え、気心の知れたミュージカル界で活躍する"常連客"と共に、ミュージカルの世界へと誘うミュージックバーの"マスター"を務める加藤和樹に、音楽&トーク番組への想いや見どころ、日頃から大切にしているという「人との縁」について、語ってもらった。

加藤和樹
ヘアメイク:江夏智也(do:t)
スタイリング:立山 功

――まずはこの企画のお話を頂いた時、どんなことを感じましたか?

まさか自分の名前が付く番組のMCをやらせていただけるとは思っていなかったので、「僕ですか?」という驚きが正直な感想ですね(笑)。とはいえ、僕自身も音楽活動をしながら、役者としてミュージカルに携わらせていただいているので、きっとそこから見えてくるものもあるのかなと。しかも今回はミュージカルに興味をお持ちのJ-POPのアーティストの方々をゲストとしてお迎えする立場ということで、川久保拓司さんや朝夏まなとさんといった"常連客"と共にどんな風にゲストの皆さんのお話や魅力を聞き出して、ミュージカルの楽しさを伝えていけるのか。プレッシャーも感じつつワクワクしながら収録に臨みました。

――具体的にどのような番組になっているのでしょうか?

店名の「エンタス」には、J-POPとミュージカルという「2つのエンターテインメントがクロスする」「たくさんのお客様とのご縁を足す」という想いが込められていて。お酒の代わりに、音楽とトークでお客様をおもてなしする、というコンセプトの番組です。ゲストの方々には、普段歌ったことのないミュージカルの楽曲に、初めて挑戦していただいて。逆に僕はゲストの方たちが好きなJ-POPや歌謡曲を歌っておもてなしをするという内容ですね。

――1回目のゲストはオーイシマサヨシさんで、2回目が「CHEMISTRY」の堂珍嘉邦さん。3回目は「BOYS AND MEN」のメンバーの平松賢人さん&吉原雅斗さんだと伺いました。

堂珍さんはミュージカル『RENT』にもご出演なさっていて、僕も『ジャック・ザ・リッパー』で共演させていただきましたが、堂珍さん以外のゲストはほぼ初対面に近かったので、「アーティストとして第一線で活躍されていらっしゃる方たちは、ミュージカルに対してどんな思いを持たれているんだろう?」と、率直に気になる部分もあったんです。フタを開けたら、既にご経験のある堂珍さんはもちろんのこと、オーイシさんや「BOYS AND MENののお二人もミュージカルに対する熱量がすごく高くて、「自分たちはミュージカルのことをよく理解しきれていない部分があるからこそ、より魅力的に感じる」とおっしゃっていたのが、僕にとってはとても新鮮でした。

――MCとして、トーク技術を試される場面もあったのでは?

僕自身の話も織り交ぜつつ、あくまでゲストの方々にリラックスしながら楽しんでいただけるようなトークにするべく、常に頭をフル回転させながら進行していたので、もはや爆発寸前と言いますか……。心の中ではずっとドキドキしてましたね(笑)。僕が直接聞きづらいことなんかは、"常連客"の川久保さんからズバズバ切り込んでいただけました。

――本物のミュージックバーさながらの雰囲気ですね。

ピアノもありますし、バーのセットも本格的なので、訪れたゲストの皆さんにも「実際にこんなお店があったら素敵だね」と言っていただけました。ちょっと豪華なカラオケバーに立ち寄って「じゃあ、せっかくだから一曲歌ってみようかな」というくらいの気分で気軽に歌っていただけるような場所になったらいいな、とやってみて改めて感じましたね。とはいえ僕らのような経験者にとっても、馴染みのないミュージカルソングの譜面を見ながら練習して、いざ人前で初披露するのはとても難しいことなんです。でも、ご自身が歌ってみたかった、興味のある楽曲を選んでいただいて。ボイメンのお二人はミュージカル『エリザベート』より、「闇が広がる」をデュエットされたのですが、本当にミュージカルが好きなんだということが伝わってくる見事なパフォーマンスだったので、とても驚かされました。お二人は20代後半で、ちょうど僕がミュージカルを始めたぐらいの年齢でもあったので、「ミュージカルの舞台でお待ちしております!」とお伝えしました。

――加藤さんご自身も初心を思い出したりも……?

ありましたね。僕自身、初めてミュージカルの楽曲を歌った時は、普段アーティストとして歌う時との発声の違いにすごく苦労した記憶があるのですが、今回のゲストの皆さんはそういった違いもすべて取っ払って、思い思いのアプローチで臨んでくださったのが新鮮で。

――加藤さんもゲストの方からリクエストされた歌謡曲やJ-POPを披露されているとか。

やはりゲストの方にとって思い入れのある楽曲なので、大切な思い出を壊すわけにはいかないですし、せっかくおもてなしをさせていただくからには僕なりにちょっとアレンジも加えさせていただいたりもして。「ボイメン」のお二人がリクエストしてくださった「DISH//」の「猫」は、自分自身のライブでも歌わせていただいているんですけど、オーイシさんのリクエスト曲である「また逢う日まで」は、僕自身も初めてアレンジして歌ったので、さすがに緊張しました。堂珍さんがゲストの回では、朝夏さんがメインで「CHEMISTRY」の楽曲を歌われたんですが、僕らの世代の方なら誰もが知っているあの大ヒットソングをご本人の前で歌うのは、やはりとんでもないプレッシャーですよね(笑)。「あんなに緊張している朝夏さんを初めて見た!」というくらい、ガチガチでしたから。今回僕はサポートでしたが、いつかはご本人とデュエットしてみたいという夢も出来ました。