“死を執筆する男”の物語を、どうドラマとして成立させるのか――。WOWOW『連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―』(6月7日スタート、毎週日曜22:00~/WOWOWプライム・WOWOWオンデマンド、全6話 ※第1話無料放送・配信)のトークイベントが21日に都内で行われ、監督の中田秀夫氏、脚本の戸田山雅司氏、プロデューサーの廣瀬眞子氏が(WOWOW)、モノローグの多用、暗殺トリック、近未来設定に込めた狙いを語った。

  • (左から)脚本の戸田山雅司氏、監督の中田秀夫氏、プロデューサーの廣瀬眞子氏

    (左から)脚本の戸田山雅司氏、監督の中田秀夫氏、プロデューサーの廣瀬眞子氏

伊崎の頭の中をどう映像化するか

本作は、韓国の作家イム・ソンスン氏による小説『コンサルタント』を原作に、小説家志望の青年・伊崎耀(伊藤健太郎)が、現実の死を設計する“暗殺コンサルタント”へと変貌していくダーク・サスペンス。WOWOWが韓国小説を原作としてドラマ化するのは初の試みとなる。

原作は、主人公が頭の中で考え続ける描写が多い作品。脚本の戸田山氏は「これをドラマにするんだったら、その部分を書かないわけにはいかない」と考え、伊崎の思考をモノローグとして脚本に書き込んでいった。

ただ、ドラマとしては異例ともいえるモノローグの多さに、戸田山氏自身も不安を抱いていたのだそう。「書きまくって、こんなものが許されるのかって思ったんですけど、結構OK出してくれたんです」と明かし、「これたぶん、地上波だったら“ブー”って言われます。WOWOWさんだからこんなモノローグの多いドラマを許してくれたんだなと思います(笑)」と笑わせた。

さらに中田監督からも、「“これモノローグ多すぎだ、減らしてよ”って言われなくて、そのまま走ってしまいました」といい、その結果「面白い作品になったと思っているので、その辺も楽しんでいただければ」と自信をのぞかせた。

“暗殺”をどう成立させるか

一方、中田監督が映像化で難しさを感じていたのが、“暗殺”の描き方。本作で描かれるのは、明らかな殺人ではなく、病死、事故死、自然死のように見せかける高度な“死の設計”であり、「そこが視聴者の方にとっても“なるほどね”思うレベルに行かないと」と考えたという中田監督。リアリズムに寄せすぎれば作品の寓話性が失われ、逆に浮きすぎれば視聴者が納得できない。そのバランスを探る作業が、脚本・演出の重要なポイントになったようだ。

また、物語の年代設定にも工夫が加えられた。第1話の冒頭では、舞台が2028年であることが示されるが、これは中田監督の提案だったという。

中田監督は、本作について「ちょっと本当の地に足がついた話より少し足が浮いてるような、ある虚構性の上に成り立っている」と捉えた上で、「ほぼ現在の近未来」という距離感にすることで、現実と虚構の間にある作品世界を成立させようとしたといい、廣瀬プロデューサーも、この仕掛けについて「すごく面白いと思ったのを今でも覚えています」と振り返った。

韓国小説を日本版ドラマにするにあたっての改変について、一例として挙げたのは、原作で主人公がアフリカ・コンゴへ向かう展開。戸田山氏は、廣瀬プロデューサーに「コンゴには行かせません。そんなロケ予算ありません!」と言われたというエピソードを明かし、会場を和ませた。さらに、原作に登場する複数の女性キャラクターを、桜井日奈子演じる斎藤良美に集約するなど、ドラマならではの整理も行われている。

モノローグの多用、暗殺トリックの説得力、現実から少し浮いた近未来設定、そして原作からの取捨選択――戸田山氏は「2話、3話、4話と、いろいろ仕掛けたものがあって、必ず1話で1回“え?”か“あ?”となるシーンがあると思います」と予告している。