「シュール」とはどのような意味なのか理解していますか? 会話の中で聞くことのある「シュール」という言葉ですが、なんとなく把握していても意味を知らない人もいるのではないでしょうか。

この記事では「シュール」の意味をわかりやすく解説します。芸術思潮の一つである「シュールレアリスム」についてもあわせて説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「シュール」とは?

    「シュール」とはどのような意味かわかりやすく解説します

「シュール」とは?

「シュール」の意味をわかりやすくいうと?

シュールには、「非日常的・超現実的である様子」「不条理な様子」という意味があります。わかりやすくいうと、現実に起きていることに対して、「ありえない」「現実から離れている」状況を表し、「シュールなお笑い」「シュールな映画」「シュールな状況」などのように使用されます。

現在の日本では、もとの意味から少し派生し、「理解できないほどありえない」「極めて独創的だ」などといった意味でも使用されることがあります。特にお笑いや芸術などの場面で使われることが多く、その場合には高度な芸術性を指す意味でも使用されます。

「非日常的である様子」といった主な意味をもつものの、実際には広い意味で使用されており、「シュール」がもつニュアンスは非常に曖昧です。

「シュール」の語源

シュールは、もともと「シュールレアリスム」の略語であるともいわれています。シュールレアリスムは、フランスの作家アンドレ・ブルトン氏が提唱した「シュールレアリスム宣言」から有名になりました。

ブルトン氏はフロイトの心理学に影響を受け、理性に支配される現実世界ではなく夢や幻想など願望の世界を表現することで人々の心の解放を目指すといった思想を提唱しました。それが「シュールレアリスム宣言」です。

この宣言に影響を受けた画家たちが現実からかけ離れた絵画作品を生み出すようになり、シュールレアリスムは芸術運動の名前となっていきました。シュールレアリスムを代表する画家としては、サルバドール・ダリやルネ・マグリットが挙げられます。

シュールレアリスムは、のちに日本の芸術家にも影響を与えました。友部正人などの詩人をはじめ、安部公房などの小説家、古賀春江や福沢一郎などの画家も影響を受けたとされています。

現在の日本では、「シュールレアリスム」という一つの単語ではなく、「シュールな」という形容詞として使用されています。

  • 「シュール」とは?

    「シュール」は「非日常的・超現実的である様子」を表します

「シュール」の使い方と例文

ここでは、「シュール」の使い方と例文を紹介します。

シュールの使い方

ここでは、「シュール」の使い方を例を挙げて紹介します。

  • シュールな光景
    意味:不思議な光景、奇抜な光景

  • シュールな人
    意味:ツッコミどころが多い人、奇抜な人

  • シュールな感じ
    意味:ツッコミどころがが多い感じ、奇抜な感じ

  • シュールだね
    意味:突っ込みどころが多いね、おかしな状態になっているね

シュールの例文

  • テレビで漫才をしているあの芸人さんの芸風はとてもシュールだ

この場合のシュールは、非現実的に加えて「極めて独創的である」といったニュアンスを含みます。日常的ではない=心に何かを働きかけるという芸風であることを表しています。

このように、シュールは使う場面によってニュアンスが異なる言葉であることには注意が必要です。

  • 最近ハマっているドラマが、なかなかシュールな展開になってきている

「現実的でない」「受け入れがたい」「理解できない」といったニュアンスでの使用例です。最近ではこのようなニュアンスで「シュール」を使用することが多いといわれています。

  • シュールの使い方と例文

    「シュール」はさまざまなニュアンスを含みます

「シュール」の類義語

シュールの類義語には、日常的・現実的でないといった意味をもつ「不条理」「超現実的」などが挙げられます。

不条理

不条理は、道理に合わない、筋道が通らないさまを意味します。「現実には考えられないさま」である点において、不条理はシュールの類義語だと考えられるでしょう。

超現実的

超現実的は、シュールレアリスムの直訳でもあります。「現実を超越している」「現実には あり得ない」という意味で用いられることが多い言葉です。

一方で、「きわめて現実的である」「実現できる」という反対の意味で使用されることもないとはいえないので、その場合は類義語から外れます。

  • 「シュール」の類義語

    「シュール」の類義語には「不条理」「超現実的」などがあります

「シュール」の対義語

シュールの対義語としては、日常的・当たり前といった意味をもつ「ありきたりな」「平凡な」などが挙げられます。

ありきたりな

ありきたりには「珍しくなく、ありふれていること」といった意味があります。「現実からかけ離れている」といった意味をもつシュールとは対照的な言葉であり、対義語として挙げられます。

平凡な

平凡には「これといった特色もなく、当たり前のこと」といった意味があります。平凡の対義語は非凡となりますが、非凡には「普通より特に優れていること」といった意味があり、シュールとは少し異なります。

非凡とシュールは異なるものの、平凡は「日常にありふれているさま」を表し「現実的でない」とは反対の意味をもつため、シュールの対義語としても適切だといえるでしょう。

  • 「シュール」の対義語

    「シュール」の対義語には「ありきたりな」「平凡な」などがあります

シュールの意味をわかりやすく説明できるようになろう

「シュール」には、「非日常的・超現実的である様子」「不条理な様子」といった意味があります。わかりやすくいうと、現実とはかけ離れているありえない状況を表す言葉です。「シュールな状況」「シュールな映画」といった使い方をします。

「シュールレアリスム」が語源ですが、「シュール」自体は独自の和製カタカナ語です。「シュール」の意味やニュアンスを理解し、日常会話で活用できるようになりましょう。