JR東日本とENEOSは25日、鉄道の脱炭素化に向けたCO2フリー水素利用拡大について、共同検討を行うための連携協定を締結したと発表した。2030年までの社会実装をめざし、国内初となる水素ハイブリッド電車と同車両向け定置式水素ステーションの開発を連携して進める。

  • 総合水素ステーションのイメージ(提供 : JR東日本)

定置式水素ステーションは、水素ハイブリッド電車をはじめ、多様なFCモビリティ(燃料電池車、FCバス、FCトラックなど)と駅周辺施設へCO2フリー水素を供給する総合水素ステーションを想定している。

両社は首都圏を中心とする鉄道への電力供給の脱炭素化についても共同で取り組むとしており、京浜臨海部におけるENEOSの拠点からJR東日本川崎火力発電所へCO2フリー水素を供給し、同発電所で水素混焼発電を行うことを検討。これにより、2030年代早期における鉄道への水素混焼発電による電力供給の実現をめざすという。

JR東日本は将来にわたり環境優位性を向上し、社会に新たな価値を創造する企業グループであり続けるため、2050年度のCO2排出量「実質ゼロ」をグループ全体の長期目標とする「ゼロカーボン・チャレンジ2050」に取り組んでいる。この一環で、川崎火力発電所での水素利活用を検討するとともに、水素ハイブリッド電車「HYBARI」の実証試験を2022年3月から開始するなど、水素社会の実現に向けた取組みを進めている。

ENEOSは2040年グループ長期ビジョンにて、ありたい姿のひとつに「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいる。この一環で、水素大量消費社会の到来を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築と、幅広い事業分野への水素供給拡大を推進していく。

両社は鉄道事業、エネルギー事業で培った知見を生かし、製造・輸送・利用全体にわたるCO2フリー水素サプライチェーン構築を牽引することで、脱炭素社会の実現に貢献していくとのこと。