BSフジでは、新たな朗読番組『VOICEアクト』(毎週土曜24:30~)を21日にスタート。鈴木おさむの小説『僕の種がない』(幻冬舎刊)を放送する。

『僕の種がない』は、不妊という題材をこれまでにない切り口で描いた作品。ドキュメンタリーディレクターの勝吾は、がんで余命半年の宣告をうけた芸人・一太に、死までの姿を追って欲しいと依頼される。「おもしろさ」にこだわり続ける一太に対して勝吾は、子供のいない一太夫婦に子供を作ることを提案する。しかし、一太は実は無精子症だった……。

『VOICEアクト』は、単に朗読をする俳優たちの演技を見せるだけでなく、それぞれのシーンをイメージさせる画像や動画をはさんでいく構成。登場人物を演じるのは、劇作家・演出家の横内謙介氏が主宰する劇団扉座に所属する若手俳優と、青二プロダクション所属の若手声優で、次世代を担う注目の8人が、固定の役だけでなく、様々な登場人物を演じ分けていく。

登場人物のセリフ以外の「地の文」を担当するストーリーテラーは、声優の神谷浩史。難しいテーマの土台となるストーリー進行をしっかり支えていく。録音では、深い部分まで物語を理解し、表現を試行錯誤する場面もあった。

コメントは、以下の通り。

■鈴木おさむ
この「僕の種がない」は、人の「生き方」と「死に方」を1つのテーマにしている物語で、書いたのはコロナ禍になる前でした。今、この物語が新たなエンタメのスタイルで、読むことにより、沢山の人に届くことを願っております。

■神谷浩史
――『僕の種がない』への印象。
おさむさんには何曲か作詞をお願いしたことがあるのですが、共通して「みんな特別でみんな普通」みたいなものを感じました。今作もそうで、取材する側とされる側、立場が違うだけで相手が特別のように見える…でも本人にしてみればそれが当たり前で、その当たり前を守るために必死に生きている。人を喜ばせるエンタメの最前線にいる鈴木おさむと言う人はこんなことを考えているんだな、と思いながら読ませていただきました。

――収録をやってみての感想。
特に内容を確認せずに「おさむさんのご指名ならば」と受けてしまったのですが、「神谷」と指定の入った文字だらけの原稿用紙が100ページほど、しかもそれで半分の量だと知り、安請け合いするんじゃなったと後悔しました…。とは言え受けた以上は全20話を最後まで丁寧に収録できればと思っています。小説の地の文の朗読なのであまり感情的にならず、聴いているみなさんが情景を想像しやすいリズムとテンポを心がけています。