京王電鉄は2022年度の鉄道事業において、総額288億円の設備投資を行うと発表した。「京王ライナー」の車両5000系は今年度、新造車両1編成を増備。今後のおもな取組みのひとつに「座席指定列車サービスの拡充」も挙げられた。

  • 「京王ライナー」などに使用される5000系。今年度はリクライニング機構付きロング・クロスシート転換座席を搭載した新造車両1編成(10両編成)を増備する予定

京王電鉄は今年度、「日本一安全でサービスの良い鉄道」を同社のあるべき姿とし、駅・車両の安全対策や自然災害への備え、バリアフリー設備の整備といった利用者の利便性向上施策に取り組み、安全で快適なサービスの提供をめざすと説明。同社のあるべき姿を支える4つの柱として、「より高度な安全・安心の追求」「お客様ニーズを先取りしたサービスの提供」「さらなる社会貢献を通じた地域・社会との共生」「未来を見据えた盤石な事業運営体制の構築」を挙げた。

「お客様ニーズを先取りしたサービスの提供」に向けて、座席指定列車の追加導入と運行拡大も図る。「京王ライナー」など京王線の座席指定列車に使用される5000系は現在、6編成が活躍しており、今年度はさらなるサービス拡充を図るべく、新造車両1編成(10両編成)を増備。この新造車両では、日本初というリクライニング機構付きロング・クロスシート転換座席が搭載される。

車両等の省エネ対策も実施し、今年度は京王線の車両8000系1編成(10両編成)において、より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置への更新工事を行う。京王線において、車両機器情報データの活用による省エネ運転の導入も進めるとのこと。

今後のおもな取組みについても紹介。同社が直面している重要課題のひとつでもある「京王線車内で発生した傷害事件対応」として、2023年度末をめどにリアルタイム伝送機能を持つ車内防犯カメラおよびホーム上防犯カメラを全車両・全駅に設置するほか、車両併結による車内通路非貫通の解消や対話式車内通報装置の整備などに対応するため、車両新造を進めるとしている。座席指定列車サービスの拡充も図り、「京王ライナー」のサービス拡充に向けた5000系の増備に加え、「一部座席指定列車の導入等による終日運行の検討」を進めることも明記された。