“オドぜひ”の愛称で親しまれる中京テレビのバラエティ番組『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ:毎週月曜24:59~、日本テレビ:毎週木曜25:29~)が、この4月で放送開始10周年を迎えた。オードリーに会いたい人・会わせたい人がクチコミを番組に送り、実際に会ってトークを繰り広げるもので、オードリーと素人さん(ぜひらー)の予測不能な化学反応が人気を集め、今や日テレ系列で全国放送されている。
中京テレビと言えば、最近は『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』『それって!?実際どうなの課』が全国ネットで人気となり、『太田上田』も多くの有名人がファンを公言するなど話題を集めているが、『オドぜひ』プロデューサー・演出の富田恭彦氏(CTV MID ENJIN)が語る、ローカル局のプライドとは――。
■人間ってどっかしら面白いところがある
――最近は視聴者参加番組が減っていっていますが、難しさを感じることはありますか?
コロナ以外は、ないです。僕は、人間ってどっかしら面白いところがあるものだと思ってるんで。まだまだ全然いけると思います、日本国民1億人以上は出てないんで(笑)。本当はもっと幅広い年代に男女問わず出てもらいたいと思ってるんです。たまに、子供だとかお年寄りの方とか出てくるとちょっとワクワクしますよね。子供はコントロールが利かない分、楽しいです。
――オードリーさんがよく「他の現場に比べてスタッフが笑わない」と言いますけど、そこにこだわりなどあったりするんですか?
いやいや、笑ってるんですよ! たぶんスタッフが少ないからだと思うんですよね(笑)。ただ笑うタイミングと笑い方は僕の中では気をつけてやってます。僕は素人さんが出てきたときに必ず笑います。「この人、面白いですよ」っていうことをオードリーさんに伝えるために。「笑うな」なんてことは一言も言ってないし、むしろ「笑え」って言ってるんです。面白いときに笑うのは当たり前なんだけど、ある程度、場をこっちでコントロールするために笑ってほしいなって思うんですよね。
――初代のアシスタントは市野瀬瞳アナでしたが、市野瀬アナを起用した理由は何だったのですか?
彼女は当時、中途採用で入社したばかりで、キャラクターをよく知らなかったんです。けれど3人アナウンサーが入ってきた中で、番組でも言いましたけど、「この人がニュース読んでたら嫌だな」と思ったのが彼女なんですよ(笑)。4月1日に入社してきて4月7日が初収録でしたから、その間もあまりしゃべってないですし、まあどうにでもなるだろうと思ってたんで。でも、あそこまで強烈なキャラクターだとは思ってなかったですね。ムキになるところが、すごい良かったですね。
――2代目は磯貝初奈アナでした。まったく違うキャラクターだと思いますが不安はなかったですか?
市野瀬が強烈なキャラで、あの2番手はもういないと思っていたので、なるべく真逆の人ということで磯貝を選びました。いわゆるバラエティ的な勘みたいなものがそんなにすごい人だとは全然思ってなかったんですけど、なぜか不安はなかったですね。彼女には「無理しなくていいですよ」ってことくらいしか言ってないです。
■「賢い人がいっぱい視聴者についてる」感覚
――中京テレビさんは『お笑いマンガ道場』を筆頭に、歴史的にバラエティに強いというイメージがあります。『オドぜひ』で、“中京テレビイズム”みたいなものは何か引き継いだりしていますか?
どうなんだろうなあ…。いわゆる地元の一般の方たちに手伝ってもらって一緒に番組を作っていくっていうことは昔から強いテレビ局だったと思います。僕は以前、『キャイ~ンのギャロンパ』という番組をやっていたんですけど、それも素人の方とキャイ~ンさんと絡ませた番組だったんですよね。そういうところの強さっていうのはあるのかもしれないです。
だから、いま話題になっている『オモウマい店』とか『PS純金』とか好調の番組も、一般の方と一緒に番組作って、その方々の人間性を掘り下げてる。そういう部分は中京テレビが伝統的に持ってるところなのかもしれないなと思います。
――その『オモウマい店』や『太田上田』のように、全国区で人気になっている番組に対してライバル意識みたいなものはありますか?
いや、全くないですよ! 僕たちはなんかもう本当に端っこでやっている番組だから。こっちに変な目が来ないように『オモウマい店』には好調であってくれと、そういう思いしかないです(笑)
――中京テレビのバラエティが全国的にウケている理由は何だと思いますか?
だからまあ情報も欲しいけども、今やっぱりこういう世の中なんで、きっとみんな人としゃべりたいんでしょうね。まあ、そういうところを代弁してくれてるじゃないですか? うーーん……、勘弁して下さいよ! 僕はそんな難しいことは言えないです(笑)
――『オドぜひ』は2019年から全国放送になりました。反響の変化は感じますか?
感じますね。それこそクチコミは全国から頂くようになりましたし、僕らも気になってエゴサみたいなこともするんですけど、リアルタイムでつぶやいてもらうことが多くなりました。本当にうちの視聴者の方って、すごく僕たちのことを理解していただいてるなっていうのはいつもありがたく思うんです。ここを面白がってほしいなってところをやっぱ面白がってくれるんですよね。だからそういうのがすごくうれしいです。なんか上からですけど、「賢い人がいっぱい視聴者についてるなあ」って。
――ローカル局から全国へ…みたいなプライドはありますか?
もちろん、こうして全国放送になることを目標に番組をやってきたましたから。勝ち負けみたいなことはそんなに僕は問わないんですけども、こういう番組はやっぱりローカルの局じゃないとできないよねって思われるような番組であり続けたい。日本テレビでもすぐ作れそうだなと思われるのは嫌だというプライドはありますね。