4月にスタートした中京テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(毎週火曜19:00~)が好調だ。5月18日の放送も個人視聴率6.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)をマークし、民放横並びトップに立っている。

想像をはるかに超えるびっくりなお店=オモてなしすぎでオモしろいウマい店=“オモウマい店”を、粘りに粘るリサーチと取材スタイルで紹介していく内容で、毎週驚きの料理と独特のキャラクターを持つ店主が登場するが、どのような手法で発見しているのか。演出を担当する加藤優一氏と竹内翔氏に話を聞くと、そこには中京テレビが地域密着のローカル局として培ってきた取材の極意があった――。

  • 『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』MCのヒロミ(左)と進行の小峠英二 (C)CTV

    『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』MCのヒロミ(左)と進行の小峠英二 (C)CTV

■放送に出るのは100軒に1軒

25日の放送では、特大ボリュームのカツカレーを830円出す栃木県宇都宮市の店や、定食を頼むと大トロの刺身やナポリタンなどを次々にサービスしてくれる千葉県八千代市の店などが登場。そんな特別なお店を探すのは、「1人のディレクターが1日5軒くらい回って実際にメニューを食べたり、店主の方のお話を聞いたりするというのを毎日のようにやっているんですが、放送に出るのは100軒に1軒くらいですね」(加藤氏)という、とにかく“足で稼ぐ”正攻法だ。

ひたすら街を歩き、車を走らせるという“行きあたりばったり”スタイルで探していくが、ポイントは「外観が気になったら入ってみる」。その上で、「どういう思いでお店を開いて料理を作っているのか。どのお店にも“良いところ”や“お客さんのためにという信念”はあると思いますが、取材スタッフがそういう部分を見つけられるかが鍵になっています」(加藤氏)と明かす。

  • 5月25日の放送に登場する特大ボリュームのカツカレー (C)CTV

■ネタ切れの心配は…

これを毎週のレギュラー放送で紹介していくのは、ネタ切れの心配もありそうだが、現在は関東を中心にリサーチしているため、「まだ見知らぬ土地に、たくさんあると思うので大丈夫です」(竹内氏)。それに加え、「今は値段が安いとか、量が多いという店を中心に紹介していますが、それだけが飲食店の魅力ではないので、まだまだ別の見せ方があると思います」(加藤氏)と構想を巡らせる。

テレビ向けに、大盛りや激安をアピールするお店を紹介することは「ゼロです」と断言。「そういうお店かどうかを見るために、直接足を運んで交渉していますから」(加藤氏)といい、「パフォーマンスではなく、日常としてお客さんのためにやっている店主さんやお店を伝えるようにしています」(竹内氏)と強調した。

番組を見ていると、従来取材NGだった店が、この番組ではOKになるケースが多々あるが、口説き方の秘けつを聞くと、「何かテクニックを使っているというのは全くないんです(笑)」(加藤氏)と回答。その中でも大切にしているのは「直接足を運んで、店主の方のお顔を見て、『取材させていただきたいです』と伝えるのを徹底的にやるということです。電話やメールで取材交渉はしないですね」(同)と、やはり足で稼ぐスタイルが奏功しているようだ。