トヨタ自動車が新型電気自動車(バッテリーEV=BEV)の「bZ4X」を5月12日に日本国内で発売する。価格は前輪駆動(FWD)が600万円、4輪駆動(4WD)が650万円。初年度は5,000台の生産・販売を予定している。全数を「KINTO」を通じたサブスクリプションサービスで販売する方針だが、どんな狙いなのか。
EVの不安解消、トヨタの考えは
トヨタはスバルと共同開発したBEV専用プラットフォームで「bZシリーズ」を展開していく。bZ4Xが第1弾で、トヨタにとっては初の本格BEVとなる。
充電インフラが未成熟で、そもそもBEVの普及が進んでいない日本において、トヨタが重視したのはBEVを顧客に安心して使ってもらうこと。クルマの性能も販売方法も、この考え方に基づいている。
BEVの不安要素といえば、①バッテリー容量(路上で電池切れになったら?)、②バッテリーの劣化、③下取り価格、④メンテナンスのコストなどが思い浮かぶ。まず①について、トヨタはフル充電での走行可能距離559km(FWD、WLTCモード)を実現。輸入車を含めEVは増えつつあるが、bZ4Xの航続距離は長いほうだといえる。例えばメルセデス・ベンツ「EQA」(640万円~)が422km、テスラ「モデル3」のロングレンジ(639万円)が689km、ホンダ「Honda e」(451万円~)が283kmといった感じだ。
②~④の不安を解消するのが、サブスクというクルマの売り方だ。サブスクであれば最終的にクルマを返却するので、下取り価格も、下取り価格の押し下げ要因となるバッテリーの劣化についても心配しなくて済む。月額料金にはメンテナンスや保険なども含まれるので、月々いくらでbZ4Xに乗れるかについても最初からイメージしやすい。
KINTOでは最長10年のbZ4X専用プランを設定。EVの補助金を受け取るためには4年の利用が義務付けられているため、最低でも4年間の利用が条件となるが、5年目以降は最長10年まで利用期間が自由に決められて、中途解約金を支払う必要もない。5年目以降は月額利用料も年々下がっていく。申し込みの受け付け開始は第1期分3,000台が5月12日、第2期分は2022年秋口以降順次の予定。月額料金は5月2日に発表するとのことだ。
ちなみに、全てサブスク(月額料金)で売るのであれば、なぜ本体価格として600万円~という金額を発表したのか。bZ4Xのオンライン発表会ではこの点について報道陣から質問が出たのだが、トヨタ 国内販売事業本部 本部長 佐藤康彦さんは「ライバルや競合車の提示価格も参考にしながら、お客様の反応を確かめたいということも含めて」価格設定を行ったとし、KINTO 代表取締役社長 小寺信也さんは「本体価格がクルマの価値を表すということと、リースを組み立てる実務の中で、任意保険などは本体価格がないと計算できないため」と答えていた。
- トヨタ「bZ4X」の概要
FWD | 4WD | |
全長/全幅/全高 | 4,690mm/1,860mm/1,650mm | 同 |
ホイールベース | 2,850mm | 同 |
車両重量 | 1,920kg | 2,010kg |
一充電走行距離(WLTCモード) | 559km | 540km |
最高出力 | 150kW | 160kW |
最大トルク | 266Nm | 337Nm |
駆動用バッテリーの総電力 | 71.4kWh | 同 |
0-100加速 | 7.5秒 | 6.9秒 |