『進撃の巨人』は単行本世界発行部数1億部を突破した大ヒットダークファンタジー作品です。作品名だけなら普段あまり漫画やアニメに触れる機会のない人でも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。2023年3 月には The Final Season 完結編 前編がNHK総合にて放送されることも決定しており、ますます注目を集めています。

今回は映像化ならではの魅力の一つである主題歌にスポットをあて、全21曲をくわしく解説していきます。また、主題歌の人気ランキングTOP5もご紹介。多くの人を魅了するストーリーに引けを取らない素晴らしい楽曲ばかりなので、改めて注目してみると本編がさらに面白くなること間違いなしです。ぜひ最後までお付き合いください。

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※本記事はストーリーに関する内容が含まれます。ご注意ください※

  • アニメ『進撃の巨人』のオープニング曲

    アニメ『進撃の巨人』の歴代主題歌を一つずつ紹介していきます

アニメ『進撃の巨人』の歴代オープニング曲一覧

「紅蓮の弓矢」Linked Horizon

2013年4月7日から7月7日まで放送されたSeason1 Part1(1話~13.5話)のオープニング曲。 『進撃の巨人』を代表する1曲となっています。

物語の幕開けにふさわしいエネルギッシュで迫力のあるメロディが印象的で、思わず口ずさんでしまう人もいるかもしれません。

紅蓮の弓矢はドイツ語のワンフレーズからはじまりますが、この歌詞を和訳すると「お前たちは獲物か? いや、私たちは狩人だ! 」となります。エレンやリヴァイをはじめとする調査兵団の戦う覚悟が表現されたフレーズですね。

他にも印象的なフレーズはいくつかあり、例えば「屍踏み越えて 進む意思を 嗤う豚よ」は語感だけでもかなりのインパクトがありますが、巨人と戦うことを選択した兵士たちを嘲笑う市民を豚と表したのは、作中でエレンが壁の中で何もしない人間は家畜だと言い放った場面とリンクします。

また、「狩人」を「イェーガー」と歌うのは、主人公のエレンが巨人に対して嫌悪感や激しい殺意を持っていることを示しているようで、まさに物語の展開をギュッと詰め込んだ楽曲です。

「自由の翼」Linked Horizon

2013年7月14日から9月29日に放送されたSeason1 Part2(14話~25話)のオープニング曲。初代オープニング曲に引き続き、Linked Horizonが担当した楽曲です。

大きな話題となった「紅蓮の弓矢」にも負けない名曲となりました。「自由の翼」というタイトルからも分かるように、本楽曲はエレンが所属する調査兵団をイメージして作られた曲です。

ドイツ語の歌詞を和訳すると、「わが友よ! 俺達はこの勝利を祝おう、巨人たちとの戦いの勝利を! 」など士気の高まった兵士たちを思わせるフレーズが多数あります。

行進曲のような出だしが特徴的で、邁進する調査兵団の姿が思い浮かびますね。ロックとオーケストラが見事に融合したとてもクールな1曲です。

「心臓を捧げよ!」Linked Horizon

2017年4月1日から6月17日に放送されたSeason2(26話~37話)のオープニング曲。タイトルの「心臓を捧げよ!」は、調査兵団の兵士が士気を高めるときに口にするセリフから来ています。心臓を捧げるように右手を左胸に当て敬礼する姿は、進撃の巨人ファンの間ではあまりにも有名なポーズです。

「心臓を捧げよ!」がオープニング曲として使用されていた時期は、次々と衝撃の真相が明らかになっていく絶望的な展開でしたが、それでも戦うことをやめない兵士たちの気持ちを歌ったサビには多くの視聴者が希望を感じたことでしょう。

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「Red Swan」YOSHIKI feat.HYDE

2018年7月23日から10月15日に放送されたSeason3 Part1(38話~49話)のオープニング曲。『進撃の巨人』のオープニングといえばLinked Horizonという印象が根付いてきたタイミングで、このビッグネーム2人のコラボは大きな話題となりました。

これまでの巨人対人類の戦いから人類対人類の戦いにシフトしてきた頃で、辛く苦しい展開となった本編。そんな本編に寄り添うように、美しいピアノの旋律と切ない歌詞、それでいて力強い歌声の全てが作品にマッチした1曲です。

白鳥をあえて「Red Swan」(赤い白鳥)としたのは、多くの血が流れる戦いの様子を表しているのでしょう。巨人を倒すことを目的としている兵士たちが、人間を相手にしなければいけない現状に戸惑い葛藤しながらも戦っている姿が浮かび、切なさを感じる楽曲となっています。

「憧憬と屍の道」Linked Horizon

2019年4月29日から7月1日に放送されたSeason3 Part2(50話~59話)のオープニング曲。Linked Horizonがオープニングを担当するのはこれが4曲目、エンディングを含めると6度目の主題歌です。

これまでの楽曲をメドレーとして取り入れ、アップデートを果たしたまさに集大成といえる1曲。聞き覚えのあるフレーズや、作中に登場するセリフを歌詞に入れるなどの工夫が施されており、『進撃の巨人』の世界観がこれでもかというほど表現されています。

初期からずっと携わってきたLinked Horizonにしか作れない楽曲といえるでしょう。

「僕の戦争」神聖かまってちゃん

2020年12月7日から2021年3月29日に放送されたThe Final Season Part1(60話~75話)のオープニング曲。この曲も当時大きな話題となり、PONY CANYONが公開したノンクレジットOP映像は1日で100万回再生を超え、2022年4月現在では5000万回再生を超えています。

これまでの疾走感や期待感の溢れるオープニングとは違い、恐怖心を煽ってくるメロディがファイナルシーズンの幕開けにこれ以上なくマッチした楽曲です。

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「The Rumbling」SiM

2022年1月9日から4月4日に放送されたThe Final Season Part2(76話~87話)のオープニング曲。4人組レゲエパンクバンドのSiMが書き下ろした本楽曲は、作品の雰囲気にぴったりの重厚感かつ緊迫感のあるサウンドや、ボーカル・MAHさんのシャウトが印象的です。

配信開始からわずか1カ月半ほどでストリーミング再生回数6000万回を突破したほか、アメリカのビルボード「ホットハードロックソングスチャート」で1位を獲得するなど、国内のみならず海外でも大きな反響を呼びました。

関連記事:『進撃の巨人 The Final Season Part 2』、OPはSiM、EDはヒグチアイが担当

「UNDER THE TREE」SiM

2023年3月3日に放送されるThe Final Season 完結編 前編のオープニング曲。The Final Season Part2に引き続き、SiMが担当します。

アニメの放送はまだですが、前回の「The Rumbling」で大きな反響を呼んだだけに、今回の楽曲にも期待が高まりますね。

  • アニメ『進撃の巨人』のエンディング曲

    オープニングはLinked Horizonが多く手掛けています

アニメ『進撃の巨人』の歴代エンディング曲一覧

「美しき残酷な世界」日笠陽子

2013年4月7日から7月7日に放送されたSeason1 Part1(1話~13.5話)のエンディング曲。美しくて少し切ないピアノの旋律から始まりますが、サビに向かうにつれて徐々に力強いサウンドへと変化していくこの曲は、声優・日笠陽子さんのデビューシングルです。

タイトルは、ミカサが生きることを諦めた瞬間の「この世界は残酷だ そしてとても美しい」から来ています。ミュージックビデオでは日笠さんが鳥かごを持って歌っている姿が、鳥かごのような壁の中から出たい!と思っていたエレンの気持ちとリンクしていると話題になりました。

「great escape」cinema staff

2013年7月14日から9月29日に放送されたSeason1 Part2(14話~25話)のエンディング曲。 ロックバンド・cinema staffは、アニメとタイアップしたのはこの曲が初めてでした。イントロから気合いの入ったロックサウンドと、エレンの苦悩する様子が垣間見えるフレーズが見事にマッチしています。

ベースの三島さんが書いた歌詞の中に、「生きた屍」「壁の外へ」「刺さった刃」などといった作品の世界観をダイレクトに表現するワードが散りばめられているのも魅力的です。

「夕暮れの鳥」神聖かまってちゃん

2017年4月1日から6月17日に放送されたSeason2(26話~37話)のエンディング曲。原作者・諌山先生の強い希望でタイアップが実現したそうです。

エンディング映像制作には諌山先生も携わっており、2017年放送のED映像の中に2019年に発売される原作の内容が伏線として入っていたことも話題になりました。

讃美歌のような出だしから始まり、美しいメロディでありながらどこか不安を駆り立てられるような不安定なサウンドが特徴的です。不穏な展開となっていたアニメ本編にぴったりの楽曲となっています。

「暁の鎮魂歌」Linked Horizon

2018年7月23日から10月15日に放送されたSeason3 Part1(38話~49話)のエンディング曲。このときまでに3曲のオープニングを担当したLinked Horizonですが、エンディングを担当したのはこの楽曲が初めてです。

オープニングの疾走感溢れるサウンドとは雰囲気が異なりますが、作中に出てくるフレーズやこれまでの歌詞を踏襲した展開はさすがの一言。子どもたちのコーラスから始まるこの曲は、これまでに亡くなったキャラクターに寄り添ったレクイエムとなっています。

サビで四拍子に変わってからは力強い印象となっていて、まさに『進撃の巨人』のためのレクイエムといえるでしょう。

「Name of Love」cinema staff

2019年4月29日から7月1日に放送されたSeason3 Part2(50話~59話)のエンディング曲。今までのエンディング曲とは一味違う雰囲気のバラード曲です。

ピアノのみで始まるイントロが印象的な一曲ですが、ボーカル&ギターの飯田さんがピアノ演奏を披露したのは本楽曲が初めてでした。

これまでのエンディング曲には、美しいメロディの中にも不安や恐怖心が隠されているものや、絶望を乗り越えて進むというメッセージがこめられていました。しかし本楽曲はただひたすらに美しく切ない、そして儚く脆い。そんな雰囲気の一曲になっています。

「衝撃」安藤裕子

2020年12月7日から3月29日に放送されたThe Final Season Part1(60話~75話)のエンディング曲。語りかけるような、囁くような歌い出しなので穏やかな曲かと思いきや、速いビートが刻まれたり、力強い歌い方に変わったりとさまざまな表情を見せてくれます。

エレンをはじめとする複数のキャラクターたちが抱えてきた、怒り・苦しみ・哀しみ・葛藤・戸惑いなど、多くの感情が詰め込まれているようで、『進撃の巨人』の世界観にとてもマッチしていた楽曲です。

「悪魔の子」ヒグチアイ

2022年1月9日から4月4日に放送されたThe Final Season Part2(76話~87話)のエンディング曲。シンガーソングライターのヒグチアイさんが書き下ろした本楽曲は、ドラマチックなメロディと透明感のある歌声が美しくもせつなく心揺さぶられます。

海外でも大きな人気を博し、Apple Musicの J-POPランキングでは、なんと120か国で1位を獲得。ストリーミング再生回数も累計1憶回を突破するなど、熱い反応を見せています。

  • 映画『進撃の巨人』の主題歌

    曲を聞くと劇中の名シーンが思い浮かぶ人も多いでしょう

映画『進撃の巨人』の主題歌一覧

「紅蓮の座標 」 Linked Horizon

2014年11月22日公開の『劇場版 進撃の巨人 前編~紅蓮の弓矢~』の主題歌です。初代オープニング曲である「紅蓮の弓矢」のアンサーソングで、臨場感や迫力が増しました。

木管楽器の四重奏からオーケストラによる壮大な旋律へと展開していく中には、聞き覚えのあるメロディも盛り込まれています。さらにここにロックサウンドも追加され、映画を盛り上げるのにふさわしい一曲です。

歌詞の中には、「獣」「この美しき残酷な世界で」「座標」「進撃」といった多くの伏線が散りばめられているので、原作が完結した今改めて聞き直すとまた違う発見があるかもしれません。

「YAMANAIAME 」澤野弘之(2014年)

2014年11月22日公開の『劇場版 進撃の巨人 前編~紅蓮の弓矢~』のエンディングテーマです。全編英語で書かれた歌詞には、トロスト区奪還の様子も表されています。

本楽曲を手掛けた澤野弘之さんによる劇伴(伴奏音楽)はどれも中毒性が高いことで有名です。躍動感のある旋律の中に、悲壮感や絶望感が紛れ込むサウンドはまさにダークファンタジー作品である『進撃の巨人』にピッタリで、作品の世界観により深く引き込んでくれる楽曲になっています。

「自由の代償 」 Linked Horizon

2015年6月27日公開の『劇場版 進撃の巨人 後編~自由の翼~』の主題歌です。『進撃の巨人』ではお馴染みのLinked Horizonですが、本楽曲は先に映像があり、それに音を合わせていくという新しい試みで制作された一曲となっています。

耳馴染みのあるメロディでありつつも、悲壮感、迫力が増していて非常に劇場版らしいサウンドです。

「theDOGS 」澤野弘之

2015年6月27日公開の『劇場版 進撃の巨人 後編~自由の翼~』のエンディングテーマです。切ない旋律のロックバラードとなっており、これまでの苦しみや葛藤、残酷な現実が一気にフラッシュバックするような楽曲となっています。

YAMANAIAMEに引き続き全編英語の歌詞ですが、劇場版公開から2年後の2017年6月21日、エルビン・スミスのキャラクターソングとして、日本語詞となった「Hope Of Mankind」という楽曲でも発売されました。

「ANTI-HERO」SEKAI NO OWARI

2015年8月1日公開の映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の主題歌です。初の実写化は2作ともSEKAI NO OWARIが主題歌を担当し、どちらの楽曲も全編英語で作詞されました。

本楽曲の作詞はボーカルのFukaseさんが担当。自分の信念を貫き通すためなら周りにどう思われても構わない、という強い意志が込められた歌詞が、エレンにリンクして世界観にピッタリの一曲です。作品同様、MVでもダークな世界観が表現されていました。

関連記事:セカオワFukase、『進撃の巨人』主題歌の制作秘話語る「作風変えなければ」

「SOS」SEKAI NO OWARI

2015年9月19日公開の映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』の主題歌です。

こちらの作詞はピアノ担当のSaoriさんが手掛けています。心癒される美しいサウンドで、映画視聴後の重苦しい気持ちを救ってくれるような楽曲です。

SaoriさんのピアノとNakajinさんが奏でるギターのメロディがとても印象的で、Fukaseさんの透き通るような歌声とよくマッチしています。

アニメ・映画『進撃の巨人』主題歌人気ランキング

今回、マイナビニュース会員の男女506名に、好きな『進撃の巨人』の主題歌を聞いてみました。

ここでは、アンケート結果をもとにした『進撃の巨人』の主題歌人気ランキングTOP5を発表! ユーザーから寄せられたコメントも紹介します。

※対象楽曲はアニメ・The Final Season Part1までの16曲と映画『進撃の巨人』の6曲の計18曲

1位 :紅蓮の弓矢/Linked Horizon(24.4%)

・「進撃の巨人といえばこの曲」」(31歳女性)
・「曲と合わせて流れるキャラクターたちのバトルシーンが良い」(57歳男性)
・「進撃の巨人の世界観が全面に出てて素晴らしい」(37歳女性)

2位 :自由の翼/Linked Horizon(21.0%)

・「前向きになるし、気分が上がる」(38歳女性)
・「歌詞と場面がかなりマッチしていて感銘を受けた」(63歳男性)
・「インパクトが強く、メロディがいつでも出てくる」(69歳男性)

3位: 心臓を捧げよ!/Linked Horizon(16.9%)

・「本当に進撃している感じがする」(50歳男性)
・「凄く印象に残る歌詞でインパクトがある」(55歳男性)
・「壮大な感じがして好き」(48歳男性)

4位:憧憬と屍の道/Linked Horizon(7.5%)

・「世界観にあっていて好き」(42歳女性)

5位 :Red Swan/YOSHIKI feat.HYDE(7.1%)

・「歌詞の独特な世界観やストーリー性があるところが気に入っている」(33歳女性)


なんと上位5曲のうち4曲がLinked Horizonという結果に。

代表的な紅蓮の弓矢をはじめ、数多くの主題歌を手掛けてきただけに多くの人から愛されているようです。作品の世界観にあっているというコメントも目立ちます。

また、そんななか見事5位にランクインしたのは大物同士のコラボ曲としても注目を集めたRed Swanでした。

調査時期:2022年4月22日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計506人(男性: 397人、女性: 109人)
調査方法:インターネットログイン式アンケート

  • アニメ『進撃の巨人』は主題歌も魅力的!

    映画を彩る主題歌も魅力的な楽曲ばかりです

アニメ『進撃の巨人』は主題歌も魅力的!

今回は、『進撃の巨人』の映像作品を彩った主題歌たちを紹介しました。『進撃の巨人』の世界観に寄り添うサウンドの一つ一つが、私たちをより深くまで引き込んでくれることでしょう。

楽曲に込められた想いや伏線を知った上で、ぜひもう一度視聴してみてください。以前とは少し違った印象を受けるかもしれません。