明日最終回を迎えるNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。7日の放送で、ようやく森山良子演じるアニー・ヒラカワこと安子が、娘のるい(深津絵里)と涙の再会を果たした。視聴者はこの日をどんなにどんなに待ちわびていたことか。しかも森山と深津のハグに、若き日の安子役の上白石萌音と、7歳のるいを演じた古川凛のハグを重ね合わせるという演出の極みに涙腺崩壊する視聴者が続出した。その舞台裏を、制作統括の堀之内礼二郎氏に聞いた。

  • アニー・ヒラカワこと安子(森山良子)と娘・るい(深津絵里)の再会シーン

るいと錠一郎の出会いの場でもあった岡山の偕行社で行われた「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」。クリスマスといえば、濱田岳演じる算太からるいへクリスマスプレゼントが送られたことも記憶に新しいが、今回も聖夜に奇跡が起きた。コンサートが大盛り上がりのなか、ひなた(川栄李奈)が連れてきた安子がるいと対面できたのだ。

同シーンには、チーフ演出の安達もじり氏をはじめ、スタッフ陣も気合十分にスタンバイをしたと言う。「安達がよく言っていますが、途中からドキュメンタリーを撮っているような気持ちでやっていました。ドラマでお芝居をしていただいているんですが、どちらかと言えば、そこで生きている人々の瞬間を撮りたいという思いで、現場に臨んでいました。実際にキャスト陣も、芝居なのかどうなのかもわからなくなるくらいの演技を見せてくれるので、僕たちもそこをちゃんと切り取ろうとしました」

長年会えていなかった親子の再会という一番の見せ場を最高のものにすべく選んだのが、一発撮りだった。「普通、ドラマだといろんな画を作るために、何回もアングルを変えて、何度も同じ芝居をしてもらいますが、この安子さんとるいさんのシーンだけは、その瞬間をきちんと押さえるべく、軽くテストで動きだけを確認し、一発本番に懸けました。カメラも音声さんも照明さんも絶対に外してはいけないと、すごい緊張感がありましたが、役者さんを含め、見事に1カットで決めることができました」

森山と深津は、楽屋で談笑したりはせず少し距離感を保ち、しっかりと気持ちを作って本番に挑んだそうだ。「全員がそのシーンに向けて、一番新鮮な感情を出せるように挑みました。気持ちのフレッシュさをみんなが大事にしている現場でしたし、実際にその瞬間でしか撮れないようなものが撮れたと思います」と手応えを口にする。

また、世代をさかのぼった上白石と古川の抱擁が、再会のシーンをよりドラマチックなものにした。「るいさんと安子さんが再会して抱き合う時に、上白石さんと古川凛ちゃんも笑顔で抱きしめ合うというシーンを合成させました。あのシーンは本当に、この物語の最高のクライマックスになったと思いますし、僕は何回観ても泣いてしまいます」