自社の売上や利益をさらに増やすには、販路拡大が欠かせません。販路拡大の方法にはオンライン・オフラインの2種類があり、それぞれメリットがあります。
この記事では販路拡大の具体的な方法、効率的に進めるためのコツについて解説します。自社にとって適切な方法を選択するための参考資料としてみてください。
販路拡大とは商品を販売する経路を増やすこと
まず販路とは、商品・サービスを販売するときのルートのことを意味します。売上・利益を上げるために顧客を新たに獲得することを、販路拡大または販路開拓と呼びます。
零細・中小企業は会社をさらに成長させるため、販路拡大にも注力する必要があります。ただし、販路は多ければ良いとは限らない点に注意が必要です。
販路によっては売上が立っても、実際に入金されるまでに時間がかかり、中小企業にとってはダメージとなる可能性もあるからです。多種多様な販路を管理するコストも発生します。
また販路を獲得するにはお金も人財もかかりますので、効率的に進めていく必要があります。
オンラインの販路拡大方法
販路拡大の方法は、オンラインとオフラインに分かれます。まずオンラインについては、下記のような手段があります。
1.ECサイト・モール
オンラインショップへの出店はメジャーな販路拡大方法の1つです。Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングといった大手企業が運営しているECサイトは、集客力や信頼性が高いのがメリットです。
中小企業や小規模の個人でも出店するケースが多く見られます。リアル店舗を必要としないので出店・運営コストも低いのがメリットですが、手数料についての規定はよく確認しましょう。
2.メルマガ
役に立つ情報・お得な情報をメルマガで発信するのも1つの方法です。メルマガ登録者は顕在的な顧客候補なので、上手にコミュニケーションをすれば契約に至る確率も高いでしょう。
ユーザーの反応はメルマガの開封率・URLのクリック率などで把握することができます。データを見ながらメルマガ内容もブラッシュアップしてきましょう。
3.SNS
今や大手企業もマーケティングに利用するSNSは、販路拡大にも役立ちます。特に若年層の顧客を獲得したい場合、TwitterやInstagramなどのSNSを活用したコミュニケーションは重要です。
SNSでの情報発信をきっかけに自社のサイト・ブログにアクセスしてもらい、実際の商品・サービスの購入へつなげていきます。
4.Webサイト・ブログ
SNSなどでコンタクトを取った後に重要となるのが、会社のWebサイトやブログです。アクセスしてきた人は商品・サービスについて一定の興味関心を持っているので、さらにしっかりと魅力を伝えることが重要となります。
5.ネット広告
この数年で急成長しているネット広告も、販路拡大に有益な手段です。マス広告に比べて費用が安いので中小企業も利用しやすく、データを使った効果検証もしやすいのがメリット。
費用対効果を分析しながら、上手に数字を伸ばしていきましょう。
6.ウェビナー
ウェビナーでは、自社の商品・サービスについて詳しく説明することができます。ウェビナーに申し込む人は自社に興味をある程度持っているため、成約率もやや高いでしょう。
インターネット環境さえあればどこからでも参加できるのもウェビナーのメリット。対面式のセミナーには参加しにくい、遠方の顧客を獲得できる可能性もあります。
オフラインの販路拡大方法
ここからはオフラインで行う販路拡大方法について見ていきましょう。
1.展示会・商談会
B to Bの販路拡大で多く採用される方法です。展示会や商談会に出展し、会場に集まった顧客候補に商品・サービス内容を対面で細かく説明します。
出展する費用がかかり準備も必要ですが、来場者は意欲が高く、商談までつながる可能性が高いのがメリットです。
2.行政の支援サービス
自治体では中小企業を対象に、販路拡大の支援を行っています。たとえば中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)では、B to B向けマッチングサイトの運営、展示会への出展支援、eコマース支援、海外との商談会の開催などを行っています。
販路拡大のノウハウがあまりない企業、サポートしてほしい企業にとっては有用なサービスでしょう。
3.飛び込み営業
今の時代に古いと感じる方も多いと思いますが、現在もなお飛び込み営業を展開する企業も存在します。成功率は非常に低いものの、実際の表情が見えるという安心感があります。
対面で話しながら商談を進めたいと考える会社もまだ存在するため、うまくマッチすれば飛び込み営業で成果を得ることも可能です。
4.テレアポ
飛び込み営業と並んで、テレアポも昔ながらの販路拡大方法です。飛び込み営業よりも短時間で数多くの人・企業に接触できるのがメリットです。
テレアポも成約率は低いですが、コストの安さというメリットもあるため、費用を抑えながら新規販路を獲得したい場合に適しています。
5.ダイレクトメール(DM)
はがきやFAXなどのダイレクトメールは、商品・サービスとマッチする顧客候補に送付すれば、開封されやすいメリットがあります。一方でマッチしないと読まずに捨てられてしまうので、どんな方に送付するかが重要です。
販路拡大を成功させるためのコツ
販路拡大を成功に導くには、以下の点を意識しましょう。
1.ターゲットを設定する
闇雲に進めても効率的な販路拡大にはなりません。ターゲットを設定し、ターゲットに合った販路を選ぶ必要があります。
マーケットを調査したうえで、どのような顧客を獲得すべきかを決めましょう。
2.助成事業・補助金などの制度を活用する
販路拡大に伴う出費を補助してくれる制度があります。たとえば公益財団法人の「東京都中小企業振興公社」では、展示会への出展等に関する助成事業を行っています。
助成率は2/3以内、限度額は150万円となっています。たとえば出展費用が210万円の場合、140万円を助成してもらえます。
費用の全額を助成してもらえるわけではありませんが、資金の少ないベンチャー・スタートアップにとっては心強い制度と言えるでしょう。
オンライン販路拡大の事例
中小企業でオンラインでの販路拡大に取り組んでいる事例を2つ紹介します。
星製作所
星製作所は、東京都八王子市に本社を構える板金部品のメーカーです。タッチパネルの筐体、発電所内の金属部品など、多岐にわたる産業機器向けの板金部品を手掛けています。
同社は10年以上前からオンラインでの販路拡大に注力しています。小さな工場が生き残っていくためには何が必要なのかを考えた結果、Webを活用した新規客の獲得に着手したとのこと。「板金ケース.com」というサイトを立ち上げ、「自由自在1個からセミオーダー」をキャッチコピーとしました。
展示会での販促活動などが功を奏してネーミングが浸透していったことで、オンラインでの受注が増え始めました。リピーターも多くなり、事業の柱の1つになっていったそうです。
ディグランド株式会社
ディグランド社は地図を活用したスマホアプリの開発・販売を手掛けており、セールスパーソンに最適化した地図にメモする顧客管理アプリの「Diground BIZ」が主力商品です。
スマホアプリということもあって主な集客はオンラインで行ってきましたが、あらゆる販促活動を自己流で行ってきており、アイデアが枯渇していたのが課題だったとのこと。
そこで東京都中小企業振興公社のオンライン販路開拓支援サービスでアドバイスを受け、基礎からマーケティングに取り組みました。ホームページをB to C向けからB to B向けに改修し、効果も出てきているそうです。
今後はリスティング広告の活用、新規顧客獲得手法の確立、管理の仕組み化などに取り組んでいくとのことです。
販路拡大について、オンラインとオフラインの具体的な方法を紹介しました。
人脈のある専門家やビジネスコミュニティ、ビジネスマッチングサイトなど、最近ではオンラインのプラットフォームも増えました。初期費用や手数料などのコストは様々ですので、前述した販路開拓を成功させるためのコツを参考に戦略を練るようにしましょう。