鉄道・運輸機構とJR九州は19日、西九州新幹線の大村車両基地完成記念式典を実施した。3月20日に大村車両基地の一般公開も開催予定。西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)は2022年9月23日に開業し、武雄温泉駅にて在来線特急列車と同じホームで乗換えを行う「対面乗換方式」により運行される。

  • 大村車両基地の一般公開は3月20日に開催。N700S「かもめ」の車両見学も行われる

西九州新幹線では、在来線と接続する既存の武雄温泉駅、諫早駅、長崎駅をはじめ、新たに嬉野温泉駅と新大村駅を設置。新大村駅に在来線の駅も併設される。大村車両基地は新大村駅から北へ約2.5kmの位置(所在地は大村市竹松町)に設置され、西九州新幹線の車両を留置し、定期的な検査・修繕といった車両メンテナンスを行う車両基地に。西九州新幹線の開業と同時期に、大村線の新駅となる大村車両基地駅の開業も予定している。

大村車両基地の総面積は約10.9万平方メートル。基地延長は約1km。最大幅員は約170m。留置線2線をはじめ、仕交検線2線、全検整備線1線、転削線1線、臨修線1線、台振線1線、解体線1線、引上線1線、車体検修線1線を備え、いずれも6両対応となっている。仕交検庫や台振庫をはじめ、塗装場や車両洗浄装置も設置。保守用車の留置や検修を行う設備等も用意されている。

  • 大村車両基地の総面積は約10.9万平方メートル、基地延長は約1.0km

  • 仕交検庫の内部

  • 台振庫の内部

車両メンテナンスに関して、2日に1度行う仕業検査、3万kmまたは30日以内に行う交番検査は大村車両基地の仕交検線で実施。60万kmまたは18カ月以内に行う台車検査に関して、大村車両基地の台振庫で台車の脱着を行い、九州新幹線の熊本総合車両所で検査を実施する。120万kmまたは36カ月以内に行う全般検査については、大村車両基地の台振庫で車体検修、塗装場で車体塗装を実施し、機器の検査は熊本総合車両所に運んで実施するとのこと。車両に不具合が発生した際、必要に応じて行う臨時検査・修繕は、おもに臨修線・転削線で実施される。

完成記念式典では、鉄道・運輸機構理事長の河内隆氏、JR九州代表取締役社長執行役員の青柳俊彦氏、長崎県知事の大石賢吾氏、大村市長の園田裕史氏らが出席。鉄道・運輸機構の河内理事長は、挨拶の中で西九州新幹線について、「工事はいよいよ最終段階に入っています。4月からは、全線にわたる新幹線施設の監査・検査を実施する予定です。その後、JR九州による乗務員の訓練、国土交通省による最終の完成検査を経て、9月23日に開業を迎えることとなります」と述べた。

JR九州の青柳社長も挨拶。3月20日に開催される大村車両基地一般公開について、「2,600人にこの車両基地を見ていただこう、ということで公募しましたところ、なんと10倍を超える2万7,000人の応募がありました。北は北海道、南は沖縄まで、多くの皆さんが応募されており、明日は全国から多数の方がこの基地を見に来られます。西九州新幹線に対し、日本中の皆さんが期待している証だろうと思っています」と語った。

  • 完成記念式典では、鉄道・運輸機構の河内理事長、JR九州の青柳社長、長崎県の大石知事らが挨拶

  • 出席者によるテープカットと記念撮影が行われた後、車両基地の各設備とN700S「かもめ」を見学した

長崎県の大石知事は、「完成したばかりの真新しい車両基地を一望し、この地で西九州新幹線全車両の安全・安心が確保されることを心強く思っています。今後、見学会や地元のイベントなど実施することで、県民の皆様が親しみと愛着を持った施設となることを期待しているところです」「5月連休明けにも試験走行が開始される予定と聞いています。県民の皆様が新幹線を見る機会も増え、ますます開業に向けた機運が盛り上がっていくものと考えています」と挨拶。その後、出席者らによるテープカットが行われた。式典終了後、大村車両基地に留置されたN700S「かもめ」の車内(3・4号車のみ)も公開された。

3月20日の大村車両基地一般公開は、今年1~2月の参加者募集で当選し、「当選通知」を持つ人のみ入場可能。開業準備の進む車両基地と、基地内に留置されたN700S「かもめ」を見学できる。