『仮面ライダーオーズ/OOO』の最新作Vシネクト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』が、3月12日より全国劇場にて期間限定上映される。

  • 左から渡部秀、三浦涼介 撮影:大門徹

本作の舞台は平成仮面ライダーシリーズ第12作『仮面ライダーオーズ』(2010年放送)最終回から「10年後」の世界。仮面ライダーオーズ/火野映司役の渡部秀、そして彼の変身に必要なコアメダルを持つ相棒アンク役・三浦涼介をはじめ、当時のレギュラーキャストが再結集し、「オーズ完結編」と呼ぶべき壮絶なストーリーが繰り広げられる。

映画の公開を記念し、マイナビニュースでは渡部秀と三浦涼介による『オーズ』スペシャル対談を敢行。1年間にわたるテレビシリーズの撮影で育んだ2人の強い絆は、放送開始からおよそ12年になろうとしている現在でもまったく変わることがない。ついに『オーズ』完結の時を迎えた現在の心境や、本作が形になるまでの道のりについて、そして10年後の映司、アンクを演じる際の心がまえを、熱く語ってもらった。

■プロフィール
渡部秀(わたなべ・しゅう) 1991年生まれ、秋田県出身。2008年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞し、芸能界入り。2010年に『仮面ライダーオーズ/OOO』の火野映司役を演じ、幅広い年齢層から注目される。テレビドラマ『科捜研の女』に橋口呂太役で2017年(SP~第16シーズン)より参加し、最新の第21シーズン(2021年)にも出演中。『進撃の巨人』(2015年)や』『シュウカツ』シリーズ(2016年)『科捜研の女―劇場版―』(2021年)などの劇場映画、舞台、CMなど多方面で活躍を続けている。
三浦涼介(みうら・りょうすけ) 1987年生まれ、東京都出身。2002年の映画『おぎゃあ。』で俳優デビューを果たす。2005年には『超星艦隊セイザーX』でビートルセイザー/ケイン役を務め、子どもたちのヒーローとして親しまれる。仮面ライダーシリーズには『仮面ライダーディケイド』(2009年)第10、11話に出演後、『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』(2010年)のアンク役でレギュラー入りし、熱烈なファンを獲得。ドラマ、舞台、映画の話題作に出演すると同時に、歌手として多数の楽曲をリリースし、活躍を続けている。

――10年前のオリジナル・キャストが勢ぞろいし、テレビシリーズの「その後」を描く作品が実現するというのは、かなり難易度の高いことだったのではないかと思います。本作の企画が立ち上がり、実際に製作が決定するまでに、どんな出来事があったのでしょうか。

渡部:本格的に「オーズの新作を作る」と決まったのは、1年前の今ごろでした。撮影は秋頃からスタートしたので、そこから半年ほど前ですね。

三浦:もうそんなになるんだね。

渡部:製作決定のタイミングで、僕からりょんくん(三浦)に連絡は入れてました。

三浦:本当はもうちょっと早い段階で撮影に入るはずだったんですけど、キャストのスケジュールの都合で、押してしまったんです。

渡部:新作をやると決まって、次のステップはキャストがどれだけ集まれるかということでした。それにコロナ禍のご時世で、状況が落ち着くまで少し待っていようという時期もあり、そんなこんなで撮影開始が延びてしまったんです。

――多方面でご活躍されている、お2人のスケジュールを合わせるだけでも大変だったのでは。

三浦:基本はそこですね。

渡部:映司とアンクの出番が多いですし、お互い別の仕事に入っていたこともあって、まず僕らのスケジュールがどの時点でクリアになるかが重要でした。その後、他のキャストのスケジュールをどう組み込めるか、どのシーンに誰が出られるか、一人ひとり調整していったそうです。この人はここが出られない、じゃあこの日ならどうかという風に、プロデューサーの方々がすごく苦心しながら調整されていました。

――本作の撮影にあたり、お2人はあえて「10年前のイメージに近づけよう」と意識されていたそうですね。

三浦:そのあたり、僕と秀くんとの間に「暗黙の了解」がありました。特に「昔のイメージに寄せよう」という話はしていないのですが、お互い「グリードのアンクは年齢を感じさせない見た目でいたほうがいい」と思っていて、僕自身も「10年」の壁は乗り越えたいポイントのひとつだと思っていました。

渡部:普通のドラマ作品だと、10年ぶりの新作を作るとなったとき、それなりの歳月を経て容貌が変わったキャストがいても、ファンの方たちはそれを「味」だと捉えてくださるかもしれない。でも特撮ヒーロー作品の場合、子どものころにテレビで観ていたイメージが強烈に残っているので、年齢的な変化を受け入れられないところもあるのかな……と思うんですよ。そんなことを考えると、可能な限り当時のイメージに近づけたほうが、出る側、観る側双方にとって一番いいんじゃないかという結論にたどりつきました。

――渡部さんは今回、かなりウエイトを絞られたとうかがいました。撮影開始まで、具体的にどんな努力をされていたのですか。

渡部:細かい努力としては食事制限とかトレーニングとか、いろいろあるんですけど、最終的には「気合い」でした。今回は「絶対にこの映画を成功させるぞ」という目標を定め、そこに到達できるようにいろいろなことをやっていました。それは僕にとって、まったく苦ではありません。自然と「俺はここまでやるんだ」という目標が勝手にできあがって、勝手にスタートし、勝手に仕上げていった感じ。重要なのは日々の意識であり、気合いだったんです。

――三浦さんは『オーズ』テレビシリーズから年月を重ねて、現在はますますの美しさといいますか、妖艶さが増している気がします。今回のアンクを演じるにあたってどのような役作りをされたのでしょうか。

渡部:妖艶というか、色気というか。

三浦:色気ねえ(笑)。でも僕も秀くんと同じような気持ちで、昔と変わらないアンクに見えるように外見を整えようとしました。ただ、テレビシリーズのときは特に何か無理をしていたわけでもなく、ナチュラルに生きていたらアンクという人物像が出来上がり、そこにビジュアルがはまっていった感じでした。無理をしていないので、けっこう楽しんでいたと思います。

今はもうアンクという役を楽しんでいたあのころに簡単には戻れないだろうと思いますし、10年の間に良くも悪くもいろんなものが自分の中に溜まってきた感覚もあります。ちょっと溜まりすぎちゃったかなって思ってたから(笑)、アンクをふたたび演じるというのは、僕にとってよきタイミングでしたね。コロナ禍で家にいる時間が以前より増えて、部屋の掃除をしたり洋服の整理をしたりするように、自分自身をもう一度しっかり見つめ直す機会をもらえたような気持ち。急激に痩せようとか無理をせず、長いスパンでじっくりと戻していくことができました。

渡部:撮影開始が当初よりズレ込んだおかげで、僕もしっかりと調整ができました。当初の予定だと梅雨を目前に控えて、ジメジメする日が増えてくるのが厳しかったかもしれません。

三浦:ジメジメが一番イヤなんですよ。

渡部:アンクの髪は毎朝すごい時間をかけてヘアセットしていたのに、梅雨時の撮影では湿気でセットが崩れちゃうんだよね。

――そういう意味では、今回のVシネクストは「環境」まで味方につけ、みなさんベストな状態で撮影が行なわれたとも考えられますね。

渡部:それだけでなく、いろんな運によって支えられた作品だなあって、改めて感じます。

――今回のストーリーはかつてないほどシリアスな内容でしたが、初めに台本を読まれたお2人はどんな印象を持たれましたか。

渡部:映司の「軸」はテレビシリーズのときから今回のVシネクストまで、正直「変わらないな」と思いました。ですから役を演じる上で特に意識したのは、「映司が映司のまま立つ」というスタンスです。この10年間、リアルに僕が感じてきた映司への思い、そしてこの作品に対しての思いを乗せ、ただそこに立つことに努めました。りょんくんはどうだった?

三浦:うーん、(アンクの)出番が多いなあって思った(笑)。責任重大だなという不安と、いかに10年「経っていない」感じを役に乗せていけるかという思いがありました。この映画をご覧になる大切なお客様=ファンのみなさんに、僕らが最初に台本を読んだとき抱いたような「感動」をしっかり伝えられるのかどうか。やっぱり、そこはすごく考えていました。

――他のキャストのみなさんも、以前と変わらぬ若々しさを残しつつ、さらに大人の魅力を身に着けられていて、素晴らしかったです。

渡部:特に、女性陣はみんな経験を重ねたことですごく魅力が増した感じ。里中役の有末(麻祐子)なんて女優としての貫禄がありました。

三浦:大御所感が出てましたね(笑)。

渡部:パッと見のビジュアルは、以前よりも落ち着いた感じがあるんじゃないかと思うんです。でも、久しぶりに会っても中身は変わってませんでした(笑)。比奈役の(高田)里穂ちゃんも同じだったよね。当時は10代の女の子だったのが、今や20代で、大人のお姉さんになっていた。

三浦:当たり前なんだけど、10年経ったんだなあってしみじみ思うよね。