トヨタの新型「ノア/ヴォクシー」には、これでもかというくらいに便利機能が詰め込まれている。運転支援システムには抜かりがなく、スマホを使った遠隔駐車機能まで盛り込む念の入れようだ。ただ、機能は新しさや豊富さよりも、実際に使えるかどうかが大事。いくつか試してみた。

  • トヨタの新型「ノア」

    新型「ノア/ヴォクシー」の先進機能、使ってみると?(本稿の写真は撮影:原アキラ)

3ナンバー化でも安心? 遠隔駐車を使ってみる

まずは、実際に使用しているのをあまり見かけたことがない自動駐車システム「アドバンスト パーク」だ。スイッチを押すだけで、従来の縦列駐車と並列のバック駐車だけでなく、並列の前向き出庫、前向き駐車とバック出庫が行えるようになったのが新しい。試乗車がハイブリッド車だったため、スマートフォン(スマホ)を利用した車外からのリモートパーク(入庫と出庫の両方)まで可能となっていた。

スマホで駐車/出庫を行う準備として、まずは使用するスマホを車内ディスプレーにbluetooth機器登録し、「Remote Park」(リモートパーク)アプリをダウンロードする。スマホとスマートキーを持ち、車内でアプリを立ち上げて「車両追加」で登録し、名前や画像を追加設定すれば準備完了だ。

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    シフトレバーの横にある「アドバンストパーク」のメインスイッチ

駐車時には、①駐車スペースの前でクルマを停止→②車内ディスプレーで「駐車プラン」を選択→③Advanced Parkメインボタンを押す→④車内ディスプレーでRemote Parkスイッチをタッチ→⑤駐車プランの選択肢をタッチ(並列/縦列)→⑥設定完了をタッチ→⑦スマホとスマートキーを持って車外に出る→⑧アプリを立ち上げ、クルマと接続されたらOKをタップ→⑨駐車プランを確認したらOKをタップ→⑩操作画面がでてきたら円の中をタッチして指をぐるぐる回す、という流れになる。捜査範囲は3m以内だ。

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    前後に移動させるのか、並列/縦列駐車を行うのかを選択する車内ディスプレーの画面表示

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    スマホで駐車プランを確認

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    指でぐるぐると円を描く動作をするとクルマが動く

クルマは表示に従って動き始めるので、駐車が完了するまでスマホの指を動かし続ける必要がある。指を離すとクルマも止まる。駐車が完了したらクルマの電源が切れてロックがかかる。約5分経つとリモートパークは中止となるし、3m以内の進行経路上に立つと「障害物」と認定されて支援が中断してしまう。このため、操作時は車両の内側に立つのがいいとされている。

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  • クルマを外から駐車させることができた

出庫時にはクルマの3m以内に近づき、スマートキーでアンロック→アプリを立ち上げてクルマと接続し、Power ONをタップして車両電源を立ち上げる。出庫方向を選択してOKをタップすると操作画面が立ち上がるので、あとは指を回し続ける。クルマが希望の位置まで来たら乗り込みボタンをタップして乗り込む。

文章にすると工程がたくさんあって時間がかかりそうに思えるが、実際の操作は簡単。指をぐるぐる動かし続けなければならないのは少し大変だが、先代モデルに比べボディが大型化し、全車3ナンバーとなったノア/ヴォクシーを見て、駐車に不安を抱いたユーザーにとっては嬉しい機能なのではないだろうか。

安心降車システム「SEA」とは?

後方の状況をよく確かめないまま運転席のドアやスライドドアを開けて外に出たら、目の前を自転車が通り過ぎてヒヤッとしたことはないだろうか。乗員が後方の状況をきちんと確かめてあげればいいのだけれど、元気な子供たちは、不意に飛び出してしまうこともある。こんな時に役立つのが、ブラインドスポットモニター(BSM)のセンサーを活用した「安心降車アシスト」(SEA:Safe Exit Assist)だ。

センサーは、後方から接近する自転車などの車両を距離と加速度などで検知。ドア1枚分以内の幅に近寄ってくる場合は、ドアミラーのインジケーターとスピードメーター内の表示部分を点灯させ、ブザー音と音声表示で注意を促す。パワースライドドアを開けようとした場合はわずかな隙間を残して途中停止するし、自転車が少し離れた場所を通過し、安全が確保できる距離ならそのまま開く。こちらもしっかりと機能していることが確認できた。

  • トヨタの新型「ノア」

    後方から自転車が接近してくると安心降車システムが作動し、パワースライドドアがストップ

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    メーター上のオレンジの矢印で車両接近を表示。ブザーも鳴る

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    車内から通過する自転車を見た様子。降りていたら間違いなくぶつかっていた

ノア/ヴォクシーでは多くの装備がオプション設定となっている。パワードアなどの快適便利パッケージ、デジタルミラーなどのドライビングサポートパッケージ、ディスプレイオーディオなどのコネクティッド関係、トヨタセーフティセンス、トヨタチームメイトなどを追加していくと、数十万円の増額はあっという間。ここだけは唯一のマイナスポイントになるかもしれない。