女優の大島優子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、2月27日・3月6日の2週にわたって放送される『ボクらの丁稚物語2022 ~涙の迷い道と別れ道~』。令和の時代に“丁稚奉公”で職人を目指す家具製作会社・秋山木工に飛び込んだ若者たちを追った作品だ。

そこに映し出されるのは、時代に逆行するかのように、厳しい修業の中で徹底的に叱って育てられる若者たち。その姿に、大島はかつての自身を重ねたという――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

■秋山木工社長の厳しさの中に感じる「愛」

一流の職人を目指して秋山木工に入社した新人たちは、住み込みで修業する、いわゆる“丁稚奉公”。酒もタバコも恋愛も禁止、スマホは私用で使えず、家族への連絡は手紙だけ、さらに修業期間は、男性も女性も丸刈りとなるのが決まりだ。

番組が追ったのは、2017年入社組の3人と、その後輩である2019年入社組の1人。同じ釜の飯を食い、共に修業を続ける4人だったが、その間に、次第に大きな溝が生まれていく……。

  • 丸刈りで喜びの涙を流す2019年入社の山田さん (C)フジテレビ

『ザ・ノンフィクション』では、昨年2月にも秋山木工へ密着した様子を放送。今回はその続編となるが、大島は「前回も見ていたので、勝手に知り合いを見てるような感覚になっちゃって。『ザ・ノンフィクション』って、その近さがどの回でもありますよね。そこに飛び込ませてもらって、感情移入させられて共感してしまうので、今回は最後のほうに泣きそうになりました」と打ち明ける。

特に、「途中で脱落してしまう人がいると、すごくショックです。『あんなに親に誓ってたのに!』って思ってしまいます」とのこと。一方で、「こっちから見ると狭い世界の中で生きているから、どうしても耐えきれずに脱落してしまう。そんなところを見ると、『しょうがないのか……どうか幸せに生きてほしい』と思いますね。若いのですごく未来が長いじゃないですか。何でもできる年齢だと思うし、修業で人生の厳しさを学んでいると思うので、とにかく応援する気持ちしかないです。何だか、母性として見てますね(笑)」という。

自分が秋山木工の丁稚になったら……という想像もしたそうだが、「たぶん負けず嫌いだから、やれそうな気がします。スマホが使えないというルールも、それに則ってやれると思います」と自信。また、「今は個人の社会になってきてるから、手に職を付けるというのは独立したときにすごく力になるなと思います」と納得した。

このシステムを確立した、秋山利輝社長に対しては、「『家具を作るための職人を作るんじゃなくて、人間性があっての職人を作る』とおっしゃっていて、そこに愛があるなと思いましたし、そういう場所が令和にもあるのは素晴らしいなと思いました」と印象を持ったそう。さらに、「丸刈りにするのも、社長から『丸刈りにしたいか?』って、強要せずにちゃんと聞いてるじゃないですか。伝統を守りつつ、時代の変化に合わせていて、温故知新という面でも素敵だなと思いました」と、細かいやり取りから感じ取った。

  • 秋山社長(右)に叱られる4人の丁稚たち (C)フジテレビ

■一番思い出したのは「先輩・後輩の人間関係」

番組では厳しい修業で、丁稚たちが叱られる場面も登場するが、大島自身もそうした経験があったと明かす。

「AKB48に入った当時はずっと叱られていました。『目を合わせて挨拶しなさい!』って怒られていました」と振り返り、「最初の5年で礼儀というものを一番叩き込まれました」と歌やダンスの技術だけでなく、人間力の成長にもつながった。

それだけに今回の映像を見て、当時を想起する場面があったそう。「一番思い出したのは先輩・後輩の人間関係ですね。先輩として後輩にどう教えるかというのは、自分のことも精いっぱいなのに、人のことを考えなきゃいけない大変さがあるので、すごくシンパシーを感じました。でも、教えていると自分の気付きもたくさんあったんですよね」と、糧になったことを語っている。

  • 技能五輪に挑む先輩・佐藤さん(左)と後輩・山田さん (C)フジテレビ

●大島優子
1988年生まれ、栃木県出身。06年からAKB48に所属し、14年に卒業。映画『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞など、多数の受賞を果たす。その他、『スカーレット』『青天を衝け』(NHK)、『東京タラレバ娘』『ネメシス』(日本テレビ)、『教場』(フジテレビ)などのドラマ、『闇金ウシジマくん』『ロマンス』『真田十勇士』『ボクたちはみんな大人になれなかった』などの映画に出演。4月には、映画『女子高生に殺されたい』『とんび』の公開が控える。