メルシャンは、輸入ワインの新ブランド「Mercian Wines」(メルシャン・ワインズ)を3月より発売する。徹底的に”日本人が好む味わい”にこだわった新商品で、担当者は「多くのお客様に、気軽にワインを楽しんでいただくきっかけになれば」と展開に期待を寄せる。
ブレンドワインの新しさ
Mercian Winesは「ラグジュアリー・コレクション」「ディスカバー」「クオリティ」の3シリーズで展開する。
まず3月1日から全国発売されるのは、ディスカバーシリーズの「メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクトブレンド レッド / ホワイト」。どちらも産地の異なるワインを絶妙な割合でブレンドした商品。容量は750mlで、瓶のボトルで提供される。
パーフェクトブレンド レッドは、スペインの「ペニンシュラ」、オーストラリアの「アンドリュー・ピース」「アンゴーヴ」という3つの赤ワインをブレンドした。半年をかけて世界18カ国729のワイナリーから候補を検討し、185種類の原酒サンプルをあたり、約300回もブレンドの試作を繰り返したというから驚く。香味開発責任者の赤宗行三氏は「日本人が好む味わいを追求しました」と振り返る。
日本人が好む味わいとは、どんな味なのだろう?赤宗氏は「お客様嗜好調査や国内市場で売れ筋のワインを研究した結果、日本のお客様には、少し甘さを残し、香りに特徴のある、けれど酸味・渋みなど強い癖がないワインが好まれる、という傾向が見えてきました」と分析している。
3つのワイナリーのワインをブレンドすることでメリットも得られた。まず何より、産地や品種に限定されないオリジナルの味わいが実現できた。そして、北半球(スペイン)と南半球(オーストラリア)から年2回、フレッシュなワインが供給されることで、商品の新鮮さも維持していける。さらには、収穫したブドウの品質に左右されない、品質の安定したワインが作れるようになった。
ここで筆者もテイスティングする機会を得た。まずは、新商品のパーフェクトブレンド レッドについて。グラスをまわすと果実のような上品な香りが立ち上がる。少し口に含むと、まろやなか口当たり。酸味、渋みはあまり強くなく、ほのかな甘みが舌全体に広がる。なるほど全体のバランスが良い。後味として、わずかに酸味と渋みが残り、それが余韻となって持続した。
続いて、ブレンド元となった「ペニンシュラ」「アンドリュー・ピース」「アンゴーヴ」の3つの赤ワインも味わってみる。アンゴーヴは複雑な香り、口に含むと酸味が強くて骨太な印象。アンドリュー・ピースはやや酸っぱさがあるが飲みやすい。ペニンシュラは花の香り、樽の香りが感じられる風味の豊かなワインで、しっかりした味わいだった。どれも性格が全く異なる銘柄。これらを絶妙な比率でブレンドした商品が、パーフェクトブレンド レッドになる。ブレンドの妙が面白く感じられた。
一方で、パーフェクトブレンド ホワイトは「ペニンシュラ」「アンゴーヴ」の2つの白ワインのミックスとなる。こちらはフルーティで、調和のとれた仕上がりになっている。香りは華やか。口に含むとしっかりとした味わいが残り、すっと消えていく。さわやかな酸味が程よく、とても飲みやすかった。
日本人に飲みやすいボルドーも登場
このほか、ラグジュアリー・コレクションシリーズから「メルシャン・ワインズ ボルドー」が3月8日より全国発売となる。容量は750mlで、瓶のボトルで提供される。
こちらはボルドーの新進気鋭の造り手であるジュリアン・マンゴー氏と共創したワイン。従来のボルドーワインの「重たくて渋くて飲みづらい」イメージからの脱却を目指した。 追求したのは、ブドウ本来の香味を活かした味わい。ブレンドシリーズと同様に3つの原酒のブレンドで、その比率はマルベック50%、メルロー20%、メルロー(オーク)30%となっている。担当したマーケティング部の小泉麻衣氏は「日本のお客様に向けて、より果実味があり、より飲みやすいスタイルを追求しました」とアピールした。
消費者の反応は?
ところでワイン造りにおいて「産地(国)」は重要な要素とされている。その土地ならではの味わいを守るため、国際的に厳格なルールも存在するくらいだ。しかし今回のメルシャンの取り組みは、産地の特徴を大事にしながらも産地に縛られないことで実現できる味わいにフォーカスした。
国内の消費者からは「いままでなかった。どんな味になるのか試してみたい」「コーヒーもブレンドで味が変わる。ワインのブレンドも気になる」といった好意的な評価が早くも寄せられているという。
メルシャンでは、市場構成のなかで最大の”輸入ワイン”のカテゴリで新しい発見、喜びを消費者に提供することで、ワイン市場全体の活性化を目指していく。「冒険したいけれど選べないというお客様にも、輸入ワインならではの上質感・多様性を楽しみたいお客様にも、安心して選んでいただけるブランドにしていきたい」と語るのはマーケティング部の伊藤佳奈子氏。
今後も、メルシャンの安心感と信頼感、日本の消費者に最適化した味わい・コンセプト、世界のパートナーとの共創により、新しいワインの魅力を創出していくと意欲を見せた。
最後に赤宗氏、小泉氏にコメントをもらった。
「ワインには品種、産地など、難しい要素があります。このためワイン=難しい飲み物と思われがちですが、今回のブレンズは難しい要素をすべて取り払って、純粋に味わいを楽しめる商品としてご提供します。食べ合わせについても、日本の食卓に合うように作ってありますので、気軽な気持ちでワインの世界を味わってもらえたら」(赤宗氏)
「ブレンズでワインの深みに入っていただいた後は、ラグジュアリー・コレクションとして、特別な日に飲むワイン、贈答用のワインなども用意しています。こちらも楽しんでもらえたら嬉しいです」(小泉氏)