NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で大部屋俳優・伴虚無蔵を演じている松重豊がこのほど、本作への思いや3代目ヒロイン・ひなた役の川栄李奈との共演の感想を語った。

  • 伴虚無蔵役の松重豊

松重は「このドラマのオファーを受けた時、思い出深い『ちりとてちん』と同じ藤本(有紀)さんの脚本だということだったので、迷うことなく参加させていただくと決めました」と告白。「この作品には、最初のほうは出ていなくて、劇中劇のあたりから台本をいただき読み始めました。『ちりとてちん』の時、藤本さんの本は伏線の張り巡らせ方など、そういうものが本当に読んでいておもしろくて仕方なくて、次の本が届くのが待ち遠しかったのを覚えていました。今回は、展開が非常に早いので、自分の役がこれからどうなるのか、どこに着地するかということなどが、まったく予想もつかないままで、期待と不安が入り混じった気持ちで台本を読み続けています」と語る。

松重が演じている伴虚無蔵は、日本の時代劇を支えてきた大部屋俳優。殺陣は一流で、斬られ役として一目置かれている。ふだんから着流し姿で暮らし、時代劇言葉で話す変わり者。時代劇をこよなく愛するひなた(川栄李奈)にとって、やがて“師匠”のような存在になっていく。

伴虚無蔵について、松重は「撮影所の大部屋俳優の世界というのは、本当に特殊な世界なんですね。システムが非常に複雑で外から計り知れない一面もあったりするので、正直、僕にとっていい思い出だけではなく、清濁合わせ飲むような印象があります。虚無蔵は、時代劇の全盛期に一日に3つの現場を渡り歩くような時代を経験している人です」と解説。「自分自身の力で、時代劇をどうしていけばいいのかはわからないと思うんですが、結髪さんの技術にせよ、美術さんのテクニックにせよ、せっかく培ってきた文化・伝統というものを失ってしまうのは間違いなく惜しいものだと思うので、それを何らかの形で次につなぐことができないものか。時代劇を愛してくれているひなたや文四郎という、この時代の若い子たちに、何かバトンを渡せるんじゃないかと思っている人なんだと思います」ととらえている。

また、「川栄さんの耳と感覚の良さには驚きました」と言い、「川栄さんと僕は関西人じゃないので完全にアウェイなわけですが、役として京都人でなければならない。京ことば指導の先生がいらっしゃるのですが、ご存知のように京ことばや関西ことばは、非常に視聴者からのチェックが厳しいんですよね(笑)。ちょっと違うと『なんやあれ』と言われるという……非常に恐怖感がありまして。あの、昔の撮影所の恐怖心と相まってくるんですが(笑)。京都という文化に……ちゃんと誰が見ても京都人にならないといけないところを、アウェイな二人がやらなきゃいけないわけです」と方言について言及。

その上で、「川栄さんとのやり取りで『凄(すさ)まじくリズム感のいい俳優さんだな』と思いました。そういう言葉のリズム感、会話のテンポ、それが確実にお笑いの元になっていくと思うんですが、そこの勘のいい方っていうのは生まれつきであって、努力して身に付くものではないと思うんですが、そういうものを持っていらっしゃる人です。今後、どんな役をするにしても、その耳と感覚で、将来が楽しみな人だなということは一瞬で見抜きましたけどね!」と川栄の才能を称えた。

そして、「『ちりとてちん』という僕にとって思い出深い“朝ドラ”のころとは、放送時間も違いますし、視聴習慣もたぶん変わってきていると思います。特に、今回、三世代のヒロインということで、怒とうの展開になっていますよね。ただ、藤本さんの脚本は、大河のようにどれだけ長いドラマであったとしても、いろいろなところに伏線が張り巡らされていて、それを回収するだけでも見応えがあります。俳優も藤本さんの本に全幅の信頼を置いていますし、俳優がぜひやりたいと心を動かされる本だと思います。この先どうなるんだろうと思いつつも、一切、前情報をもらわずに台本が届くのを楽しみにしています」と本作の魅力を述べ、「視聴者の方も、そんなわくわくした気持ちで最終回までおつきあいいただければと思います」とメッセージを送った。

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