日本車両のウェブサイトにて、JR東海向けに新造している在来線通勤型電車315系の概要が紹介された。315系は日本車両の新ブランド「N-QUALIS」で製作された最初の車両。車両の内外にブランドのロゴとマークを示す銘板を配置している。

  • 日本車両の新ブランド「N-QUALIS」の第1号となるJR東海の新型車両315系(2021年12月の報道公開にて撮影)

315系は新しい構造の構体を採用し、「平滑できれいな外板」を実現。構造部材を効率よく配置し、強度向上を図った。先頭部スカートは、障害物を軌道上から排除する機能を向上した形状としている。電気システムにおいては、非常走行用蓄電装置(2022年夏以降、順次搭載)、制御伝送装置、電気駆動式ドアシステムを採用。非常走行用蓄電装置は、停電時でも最寄り駅までの自力走行や、長時間の駅間停車時にサービス機器を稼働させることを可能にしている。

制御伝送装置は、従来に比べて伝送速度が飛躍的に向上。車両の制御や各機器の状態を監視し、車両不具合時の早期対応と車両検修の省力化を図る。電気駆動式ドアシステムは、荷物等が挟まると閉める力を自動的に弱める機構を搭載しており、その検知精度も向上させたという。

台車はJR東海の次期特急車両HC85系と同じく、日本車両のオリジナルとなるNS台車を採用。NS台車の特徴である台車枠構造とタンデム式軸箱支持方式により、メンテナンス性が向上するほか、曲線通過性能と走行安定性・乗り心地を両立する優れた走行性能を発揮できる。

  • 315系の車外・車内に「N-QUALIS」ブランドの車両であることを示す銘板を配置

JR東海のキハ25形やHC85系に搭載されてきた振動検知装置も315系に搭載。台車などの異常を早期に検知して重大事故を防止するとともに、脱線・衝突・転覆を早期に検知し、事故による被害拡大を防止する。振動検知装置で取得する振動データや、車両の各種機器の動作状態、故障記録を頻繁に車両基地に送信する機能もあり、車両不具合時の早期対応、故障の未然防止や車両検修の省力化などが期待できるという。