• (左から)布袋寅泰、松本人志、中居正広、新庄剛志 (C)フジテレビ

2回目ということで、前回より進化している点を聞いてみると、中嶋氏は「トークの内容は、前回よりもさらに面白くなっています。極論として大げさにいうと、1秒も無駄がない。しゃべっていない間も含めて、すべて必要な2時間10分になっています」と回答。

それに加え、「日頃から番組作りは、見てくださっている方が『この雰囲気をずっと味わっていたい』『この現場に自分もいたかった』と思ってもらえる空気作りが大切であって、それこそがテレビの醍醐味だと思っているのですが、それが完璧に実現できたという感じです。緊張したり、うまくいかなかったりするのもこの番組の特色なので、必ずしも和気あいあいということではないんですが、そこも含めて“いい空気”が実現できたのはうれしいですね」と強調する。

その空気作りが、2回目でより達成できたのはなぜか。

西村氏は「最初は新しい番組を作ろうということで、松本さんも中居さんも我々も、どういう番組になるのかというのはやってみなければ分からない部分もあったんです。それが、1回目で『まつもtoなかい』という番組はここが面白いんだとか、こういう番組でいいんだということをみんなが確認し合って共有できたので、今回はそこを迷わずにいろいろ実現することができたと思います」と説明。

具体的に、「決して笑いの量を競うものでもないし、トークがどうなっていくのか分からないことを突き詰めていくというのも、この番組の面白いところ。例えば、長渕さんを前にして、大悟さんが緊張で頭20分しゃべれなかったんですよ。これが普通のトーク番組だったら『こんなにしゃべってなかったら、OAでどうしよう』と不安になったり、『カンペ出したほうがいいんじゃないか』と思ったりするんですけど、この番組は『このままもうちょっと待ってみよう』と判断する。結果、その時間の中で関係性が変わっていくのが描けているので、そういった普通のトーク番組ではあり得ないものができているんじゃないかと思います」と事例を明かした。

“トークがどうなっていくのか分からないことを突き詰めていく”という姿勢には、事前に細かくトークテーマについて打ち合わせをしないという方式が反映されている。「普通の番組だとエピソードを聞き出したりしますが、“この番組はこういう場です”というのをひたすら説明するのが、『まつもtoなかい』の打ち合わせです。それでも皆さん一流の人たちなので、やっぱりすごいエピソードが出てくるんですよ。本番中にも『これはすごくいい話が聞けてるなあ』と感じます。もしかしたら、他で1回話したことがあるかもしれないことも、この番組では話し方の熱というのが圧倒的に高いと思います」(西村氏)。

  • 長渕剛(左)と千鳥・大悟 (C)フジテレビ

■話を引き出す中居、うまく水を向ける松本

ここまで本音を打ち明ける背景は、ゲスト同士がリスペクトし合ってるという関係性があるのはもちろんだが、それに加えて中居のMC術も大きいという。「今回、長渕さんが若いアーティストへの思いを語ってくださっているのですが、中居さんの話の引き出し方がすごくて、相当集中している感じでした」(中嶋氏)。

ゲストのみならず、MCが本音を吐露する場面が見られるのも、この番組ならでは。特に松本は、他の番組で核心に迫る質問を向けられても、ボケでかわすことが多いが、真正面から受け止めて答えているのが印象的だ。

中嶋氏は「そこも、中居さんになら真面目にしゃべって“預けても大丈夫”という信頼があると思いますし、当然ゲストの皆さんが本音を話されていることへのリスペクトもあると思います」と推察。西村氏は「松本さんがすごいと思うのは、ご自分の話をすることで、そのトークの場を本質的な話に持っていこうとするときが結構あるんです。自らさらけ出しながら、うまく水を向けるということを、おそらく考えてらっしゃるんだろうなと思います」と分析した。

こうして演者たちが語る本音が“大人の事情”に触れるような内容でも、制作側が忖度して編集で切ることはしない。「今の世の中だと言葉だけが切り取られることを恐れて表現がどんどん狭まってしまうということがあるかもしれませんが、ちゃんと文脈があっての中の話を切らなきゃいけないという判断はないです。収録現場にいるときから当然使うに決まってると思いながらやっています」(西村氏)、「松本さんも中居さんも当然そこを受け入れてゲストの皆さんが正直に話をしてくれているので、切るかどうかは議論にもならないですね」(中嶋氏)。