川栄が演じるひなたは、時代劇が大好きな少女でもある。「時代劇はあまり見ていないのですが、これまでに役をやらせてもらうなかで、学んでいった感じです。何年か前に舞台をやらせてもらった時、幕末や戦国時代のものでしたし」と言っていたが、川栄自身も舞台『AZUMI 幕末編』や『AZUMI 戦国編』で主人公のあずみ役を立派に務め、見事な殺陣を披露していた。

「今回、実際に太秦映画村にも初めて行かせてもらいましたが、本当にその時代を感じるセットだったので、そこでお芝居をさせてもらえて、より時代劇に近づけた気がします」と心を弾ませる。

ちなみにひなたは、尾上菊之助演じる時代劇映画のスター・桃山剣之介の大ファンで、彼が主演を務める「棗黍之丞」シリーズもよく見ていたという設定だ。「時代劇の侍は本当に芯が強いイメージがありますが、ひなたも『侍のように凛として弱音を吐かず』と自分に言い聞かせながら生きています。自分自身も、日々いろいろな台詞を覚えていかなきゃいけないなかで『もうダメだ! できない』と言っちゃいますが、その時にその言葉が頭の中に流れてきます。だから自分自身も侍に救われてるなと思うところもあります」

『カムカムエヴリバディ』は3人のヒロインが、母から娘へとバトンをつなぐ3世代100年のファミリーストーリー。これまでの物語を観てきて、とても感慨深かったそうだ。

「特に安子編の時代は、戦争などいろんなことがあり、女性がしっかりと芯を持って、強く生きていかなければいけない時代だという印象を受けました。ひなたの時代になっていくと、すごく自由でのびのびと暮らしていますが、おばあちゃんがそういう大変な目に遭ったからこそ、今のひなたがいると思うので、つながりみたいなものをすごく感じます」としみじみ。

「本当に展開が早くて、一瞬で10年とか時間が飛ぶ時もあり、演じる時は頭のなかで整理しなきゃと思うこともあります」と言いつつ、「今回、私は幅広い年代を演じさせてもらいますが、普通のドラマなら、そこまでふり幅のすごい役をやれる機会ってあまりないので、そこは朝ドラ特有のすごく良い経験ができているなと思いながら、楽しんでやらせてもらっています」とうれしそうに語った。

最後のひなた編では、安子編、るい編とリンクするシーンが多数散りばめられていくようで、そこも大いに期待できそう。もちろん、まだまだのびしろを感じる女優・川栄李奈自身の成長ぶりにも注目したい。

■川栄李奈(かわいえ・りな)
1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説の出演は『とと姉ちゃん』(16)に続いて2作目。2018年に『恋のしずく』で映画初主演。ドラマの近作は『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(20)、『知ってるワイフ』(21)、『ドラマ 星影のワルツ』(21)など。映画の近作は『ステップ』(20)、『地獄の花園』(21)など。また、メインゲスト声優を務める劇場版『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(ちんぷうでん)』が4月22日より公開。

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