令和仮面ライダー第2弾『仮面ライダーセイバー』の“その後”を描いた新作Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏(トリオ)』(監督:上堀内佳寿也)が、1月28日より全国劇場にて期間限定上映される。

テレビシリーズ最終章から8年後、かつて世界の均衡を守って邪悪な敵と戦った3人の剣士、仮面ライダーセイバー/神山飛羽真、仮面ライダーブレイズ/新堂倫太郎、仮面ライダーエスパーダ/富加宮賢人の物語。父を失った少年・陸(演:嶺岸煌桜)を引き取り育てている飛羽真、実の父親と名乗る男・篠崎真二郎(演:橋本さとし)と遭遇を果たす倫太郎、そして婚約者・立花結菜(演:飛鳥凛)との平穏で幸せな生活を送る賢人。8年の歳月を経た彼らに待ち受ける新たな試練と、それを乗り越えるべく繰り広げられる激しい戦いが、極めてシリアスなタッチで描写された。

  • 左から内藤秀一郎、山口貴也、青木瞭 撮影:大塚素久(SYASYA)

プロフィール
内藤秀一郎(ないとう・しゅういちろう)。1996年生まれ、埼玉県出身。WEB番組『真夏のオオカミくんには騙されない』(2017年)での出演をきっかけに、ドラマ『星屑リベンジャーズ』(2018年)、映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)など、テレビドラマ、映画、舞台で活動。『仮面ライダーセイバー』(2020年)の神山飛羽真/仮面ライダーセイバー役でテレビドラマ初主演。テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』にレギュラー出演する。
山口貴也(やまぐち・たかや)。1997年生まれ。神奈川県出身。映画『OUT OF THE BLUE~俺の人生無駄ばかり~』(2019年)、AbemaTVのリアリティショー『オオカミくんには騙されない』(2017年)、各社CMなどに出演。趣味はドライブ、スニーカー、特技はサッカー、泡立て。『仮面ライダーセイバー』の新堂倫太郎/仮面ライダーブレイズ役でテレビドラマ初出演(初レギュラー)を果たす。
青木瞭(あおき・りょう)。1996年生まれ。神奈川県出身。2016年にGirlsAward×avex『Boys Award Audition2nd』BoysAward Audition賞を受賞し、芸能活動を開始。2017年から「劇団4ドル50セント」劇団員として活動。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンの手塚国光役で好評を博す。2020年『仮面ライダーセイバー』にて仮面ライダーエスパーダ(仮面ライダーカリバー)/富加宮賢人役で活躍。現在、日本テレビ系『真犯人フラグ 真相編』(2022年)に出演中。

Vシネクスト上映を記念し、本作の中核を担う3人の仮面ライダー、飛羽真役の内藤秀一郎、倫太郎役の山口貴也、賢人役の青木瞭にお集まりいただき、テレビシリーズとは一味も二味も違う“大人”の雰囲気漂う本作の台本を手にしたときの印象や、密度の濃い本編を締めくくる主題歌「Bittersweet」のPV映像を撮影したときの感想、そして上堀内監督と綿密かつ熱いディスカッションを重ねながら作り上げた本作での演技について、思いのたけを語り合ってもらった。

――全国上映に先がけ、1月12日に本作の完成披露上映会が開催されました。いち早く鑑賞されたファンの方々は、テレビシリーズよりもぐっと大人っぽさを増したみなさんの姿に驚きつつ、スーパーヒーローと悪との戦いの影で発生していたとされる“怒り・悲しみ”のドラマに引き込まれ、大いなる感動があったように思えます。完成披露の際、舞台挨拶のステージに立たれたときの、それぞれの思いを教えてください。

内藤:ステージから客席を見渡して、初めてこの映画をご覧になった方たちの反応を目の当たりにして、安心しました。僕たちが作品を通して伝えたいことが、ちゃんと伝わったかどうか心配で「どうでしたか?」と訊ねたのですが、そうしたらみなさんが大きな拍手で応えてくださって……。あのリアクションをいただくために、僕たちなりにすごく頑張っていましたから、安心、安堵の気持ちが大きかったです。

山口:非常に話が複雑で、シリアスな内容でしたから、僕も「観客のみなさんに自分たちの気持ちが伝えられたかどうか」は気になりましたね。撮影中は自分の信念に従って、自信をもって演じていましたけれど、その結果をどう受け止められたか、素直な感想が知りたいと思いました。

青木:1年間やりきった『仮面ライダーセイバー』の集大成であり、僕たちの卒業作品。キャスト、スタッフ全員で「最高の作品にしよう」と努力をしながら撮影に取り組むことができて、本当によかったと思います。完成披露では、たくさんのファンの方たちから応援の拍手をいただき、ようやくこの作品が公開されるんだなあと実感がわきました。

――本作の台本を読まれたとき、率直にどう思われましたか。また、どんな部分に力を込めようと考えましたか。

山口:また難しいの(テーマ)が来たなあ……って最初は思いましたよ(笑)。

青木:でも、今回みたいに難しい題材にチャレンジするのが『セイバー』の醍醐味になっちゃった感じはあるよね。

山口:単純な話じゃなくて、スッキリしないのが『セイバー』っぽいというか。

内藤:でも、今までの『セイバー』とは違う、大人びたムードが全編に感じられるストーリーだと思いましたね。

山口:台本をいただいたとき、倫太郎の前に実の父親が現れるという部分を中心に読み込みました。これまで倫太郎には肉親がおらず、ソードオブロゴスという大きな「家族」を背負って8年間生きてきたのが、今回は本当の家族と出会います。このとき、僕の中で抱いた感情を大切にしたいと思ったんです。真二郎役の橋本さとしさんとお会いしたとき、この人なら倫太郎の父として納得できる!という気持ちになりましたし、もうこの身を任せて体当たりで演技をさせていただきました。橋本さんとの2人のシーンでは、ずいぶん引っ張ってもらいました。父と子の感情のぶつかりあいで勝負しようと、気合いを入れました。

内藤:台本を一読して、難しい物語だなと痛感しました。世界の平和や人々の幸せを守って悪と戦っているヒーローの、その「戦い」の裏側でいろんな被害が起きていた。そういう部分を描いた作品で、とても重苦しいテーマに正面から挑んでいるんです。この作品で飛羽真を演じるにあたっては、ヒーローはいかなる局面に立たされても決して「逃げてはいけない」、ヒーローである者の、心の強さを見せたいと思い、そこに気持ちを込めたつもりです。飛羽真はこれまで、世界を救うためにヒーローをやっていましたが、この作品では「陸を守る」ためだけに動いています。飛羽真の「親」としての姿に重点を置きました。

青木:賢人は今回、結婚を約束した女性と暮らしながら、翻訳家として人生を歩んでいます。飛鳥凛さん演じる結菜と2人でいるシーンでは、とんでもないくらいいろんな考えを巡らせながら芝居を固めていきました。劇中で感情が高ぶり、賢人が泣くシーンがあるのですが「ここは泣いたほうがいいんじゃないか」などとはまったく思わずに、自然と涙がこぼれていました。とても思い入れがあるシーンです。また本作では、仮面ライダーエスパーダが新フォーム(アラビアーナナイト)に変身して戦いますから、これをどこまでカッコよく表現できるか、にもかなり力を入れています。

――飛羽真、倫太郎、賢人、それぞれの8年後の姿について、どんな印象を持たれましたか。

青木:飛羽真の8年後の印象は、以前の飛羽真らしさこそ失くしていないものの、あのころの常に明るい飛羽真、約束を大事にする飛羽真というより、物事を論理的に捉え、ちゃんと考えて行動する大人になっているなと感じました。倫太郎は特別どこかが変わったという印象がなかったのですが、橋本さんと対峙しているシーンを観たとき、「話し方とか、覚悟の決め方とかが昔の倫太郎と違うぞ」と雰囲気が伝わってきました。テレビシリーズのころの倫太郎は少し子どもっぽさ、あどけなさがあったのが、今回では表情もグッと凛々しくなっていた。体格は変わっていないのに、8年という歳月を感じさせるオーラを身に着けているのがすごいなって、純粋に思いましたね。

山口:以前の飛羽真はどんなことに対しても「大丈夫」って言う人でしたけど、今回の作品ではできることはできる、できないことはできないと判断をします。陸の親として「できないのであれば、こうやって解決していくんだぞ」と物事をしっかり教える、そんな姿勢を見せることのできる人に成長したんだなあと感じました。賢人については、ずっとソードオブロゴスの仲間として接してきた倫太郎からすると、やっと平和な時間が訪れたな……と安堵する思いがありました。でも賢人らしさというか、人の深いところまで見抜いて、その中で自分なりの答えを見出していく聡明さ、素直さみたいな部分も残っていて、そこが印象的でしたね。

内藤:僕から見た今回の倫太郎は、テレビシリーズのときみたいに目が離せない危なっかしさがなくなり、安心感というか、大人っぽくなったなという印象です。賢人は……なんか翻訳家になって色気が増したかな。

青木:わかる(笑)。

内藤:やっぱり、婚約者がいるというのは大きいですね。愛する人を守って戦う男の強さも感じられ、頼もしさと艶っぽさが感じられました。

――テレビシリーズ最終章の撮影からそんなに月日が経っていないのに、みなさん見事なまでに8年後のイメージを作られて演技をされているなあと改めて思いました。

内藤:そうなんですよ。「仮面ライダーセイバー ファイナルステージ&番組キャストトークショー」(2021年10月開催)からほとんど間をおかず、本作の撮影に入りました。

山口:最終章から8年後の姿を演じるにあたっては、それなりの時間が経過したんだなと自分なりに想定しながら撮影に臨んでいましたね。

青木:スケジュールとしてはこのVシネクストを撮った後、『仮面ライダーリバイス』とのコラボ映画を撮影したんです。

――昨年12月に公開された映画『仮面ライダー50周年記念映画 仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』ではテレビシリーズ「最終章」直後、すなわち『仮面ライダーリバイス』の仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝(演:前田拳太郎)と飛羽真が出会ってからそれほど日数が経っていない時間軸でした。一度Vシネクストで8年後を演じた後、また時間を引き戻して直近の飛羽真たちを演じられたというわけですか。『ビヨンド・ジェネレーションズ』の撮影で、特に印象に残ったシーンがあれば教えてください。

青木:『ビヨンド・ジェネレーションズ』にもたくさん思い出に残る場面があったけど、戦いが終わり「しあわせ湯」に『セイバー』のみんながやってきて、『リバイス』のみなさんとお風呂に入ったり、脱衣所で遊んだりしたのは特に楽しかったよね。

山口:楽しかった!

青木:役のことは常に意識していましたが、お芝居をしているというより、ひたすら楽しんでいたという。

内藤:とても自然な芝居だったと、自分でも思う(笑)。

青木:お風呂の力ってすごいなって、改めて感じました。誰とでもすぐ親密になれる、人と人との壁を無くしちゃうんですね。

内藤:でも、銭湯の撮影ってわりと大変だって、拳ちゃん(前田)が言っていました。『リバイス』の第1話なんて、お風呂に入るシーンで5~6時間くらいかかったそうだし。それ聞いて、ビックリしました(笑)。