「金の切れ目が縁の切れ目」は、打算的な人間関係を言い表したことわざです。日常会話でもよく使われる表現なので、意味や使い方などを確認しておきましょう。
今回の記事では、「金の切れ目が縁の切れ目」の意味や由来、類語・例文などを紹介します。また、英語表現についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
「金の切れ目が縁の切れ目」の意味とは
「金の切れ目が縁の切れ目」とは、お金がなくなってしまうと同時に人間関係も途切れてしまうことをいいます。男女関係の様子を表す際に使われるケースが多いですが、友人関係やビジネス関係においても使われます。
経済状況が苦しくなって恋人にお金を使えなくなった途端に振られてしまった。収入が良かった時は毎日のようにさまざまな人が飲みに誘ってくれたが、失業した途端に誰からも声がかからなくなってしまった……というのは、よくある話。
お金を持っていると「何かしらの利益をこちらに与えてくれるのではないか」という下心を持った人が集まってくることがあります。しかし、そのような人たちはお金がなくなると「この人とつきあっても得しないな」と思い、離れていってしまうもの。このような打算的な人間の行動を表現したのが、金の切れ目が縁の切れ目ということわざです。
「金」と「縁」が「切れる」という表現から勘違いされがちですが、「お金と縁がない」あるいは「貸したお金を返さないなどの金銭トラブルによって縁が切れてしまった」という意味合いで使うのは誤用になるので注意が必要です。
「金の切れ目が縁の切れ目」の由来
金の切れ目が縁の切れ目という言葉は、遊女と客の関係が由来だと言われています。
客がお金を持っている間は遊女にちやほやされ贔屓にしてもらえますが、お金がなくなった途端に冷たくあしらわれ、「お金があるときにしか相手にしてもらえない」ということからこの言葉が生まれたようです。
「金の切れ目が縁の切れ目」の使い方・例文
「金の切れ目が縁の切れ目」の正しい使い方や例文をみていきましょう。
家族にも使える?
「金の切れ目が縁の切れ目」は、その由来から主に男女関係やお金によって繫がっているビジネスライクな関係について使われる言葉です。しかし、実際にはお金だけで繫がっている関係だけでなく、親子や夫婦などの家族関係についても使われます。
親子に使う場合、現在の法律では「親子の縁を切る」ことは原則できないので、「金銭的援助をしなかった子どもと疎遠になる」「年金暮らしになってお金をくれなくなった親に会いに行かなくなる」などの状況を比喩的に表現したものになります。
夫婦関係の場合は、お金がなくなって離婚した状態を指すこともあれば、婚姻関係は続いているもののお金がなくなって不仲になった状態を指すこともあります。
いずれにしても、法律上で縁が切れているかどうかは関係なく使われるので、覚えておきましょう。
例文
実際に金の切れ目が縁の切れ目を使う場合は、下記の例文を参考にしてみてください。
- 会社の経営が苦しくなり、彼女の好きなものを買ってあげられなくなった途端に別れを切り出されてしまった。まさに「金の切れ目が縁の切れ目」の言葉通りだ
- 金の切れ目が縁の切れ目で、母は父がリストラされた途端に離婚した
- 金の切れ目が縁の切れ目と言うが、私が高収入だった頃の友人で今も連絡を取っている人は一人もいない
「金の切れ目が縁の切れ目」の類語・言い換え表現
金の切れ目が縁の切れ目には似たような意味を持つ類語がいくつかあります。言い換え表現として使える場合もあるので、あわせて確認しておきましょう。
愛想づかしも金から起きる
「女性が男性に愛想を尽かすのは、金銭問題が原因となることが多い」という意味です。彼氏・彼女の関係だけでなく、夫婦関係にも使われます。
なお、金の切れ目が縁の切れ目は人間関係全般に使えますが、こちらは男女関係にのみ使われることわざです。
富貴には他人も集まり貧賤には親戚も離る
「お金がたくさんあり、身分も高いときには他人も集まってくるが、貧乏になり地位もなくなると親戚すら近寄らなくなる」という意味です。
金の切れ目が縁の切れ目に比べると知られていない表現ですが、お金がなくなって人が離れていくということを言い表したいときには、こちらの表現を使ってもいいでしょう。
「金の切れ目が縁の切れ目」の英語表現
金の切れ目が縁の切れ目を英語で表現したいのであれば、英語で似た意味を持つ下記のような言葉を使ってみましょう。
- When poverty comes in at doors, love leaps out at windows. (貧困がドアから入ってくると、愛は窓から飛び出していく)
- Love lasts as long as money endures. (愛はお金がある限り続く)
「When poverty〜」は、「When poverty comes in at the door, love flies out at the window.」と言う場合もあります。「leap(跳ぶ)」と「fly(飛ぶ)」、ドアと窓が単数か複数かという若干の差はありますが、ほぼ同じような意味合いです。
「金の切れ目が縁の切れ目」の意味を正しく理解しよう
「金の切れ目が縁の切れ目」は、お金がなくなってしまったことで途切れてしまった人間関係を言い表す時に使うことわざです。恋愛関係に対して使うことが多いものの、家族や友人関係に対しても使えます。
また、今回紹介したように、お金がなくなったことで人が離れていく様子を言い表した言葉は他にもあります。表現の幅を広げるためにも、ぜひあわせて覚えてみてはいかがでしょうか。